世界中をぷらぷらしてきた

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7月11日朝、俺はいつも通り車の中で目を覚ました。今日は大震災から4ヶ月目を迎える節目の日だ。実際、被災地各地では毎月11日に月命日としてどこかしらで慰霊法要が取り行われていたが俺は参加したことがなく、今回の石巻の慰霊法要が初めてであった。起きてからコンビニに移動し歯を磨いて顔を洗う。ボランティア当初は右も左も分からなかった石巻の街を今は地図も見ないで走れるまでになった。俺は朝食のカレーパンをかじりながら、おっさんと待ち合わせをした避難所へと向かった。

この避難所は何度か訪れたことがあるが中に入った事はない。この日も駐車場でおっさんを待ち、慰霊法要の会場へ向かう予定であった。避難所の入り口からおっさんが出てくる。おっさんは見慣れた作業服ではなく礼服だった。

おっさん「おはよう!わざわざ悪いな」

俺「おはよです!ってか礼服とか似合わないですねwww」

おっさん「自分でも思うよ。兄ちゃん、今日は俺の車で行こう。乗せてくからこっちに乗ってくれよ」

俺「あれ?俺の車は?」

おっさん「ここに停めておけばいいさ。ああ、車上荒らしとかあるから貴重品だけは置いていかないようにしてくれよ」

俺「うん。分かった」

俺はおっさんの軽トラへと乗り込んだ。手で窓を開けて慰霊法要の会場へ向かった。

俺「おっさん?この風呂敷なに?」

おっさん「・・・・・・・・・・、ああ、これは甥っこの写真だよ」

俺「・・・・・・・・・・・・・」

俺は一瞬で悟った。今まで一度も口には出さなかったが、おっさんは甥を津波で亡くしていたのだ。

おっさん「なんかな、踏ん切りがつかなくてな。俺の知り合いでも大勢いるんだけど、震災からちょうど四十九日経った日に慰霊法要があったんだよ」

俺「はい」

おっさん「なんかな。今でも信じられなくてな。甥の家に行ったら『おんちゃん!』って元気に出てきてくれそうでな」

俺「・・・・・・・・・・」

おっさん「四十九日の法用にも俺は行ったんだけど会場には入れなかったんだ。入ったらこう、甥の死を認めてしまうことになりそうでな。もう無理なのは分かってるんだがな」

俺「・・・・・・・・・・」

おっさん「でも今日はちゃんと中に入るつもりだ。甥の両親も来てる。兄ちゃんには悪いけど一緒に見守ってくれないか?」

俺「うん。俺なんかで良ければ」

おっさん「有難うなぁ」

車はアッという間に会場へと到着した。大勢のお坊さんが会場の準備をしている。その周りには礼服を着た大勢の人達が虚ろな表情で並べられたパイプ椅子に座っていた。仕事柄、これまで多くの葬儀に参列してきた事があるけれども、この日程重い空気を見た事がなかった。おっさんは受付を済ませると案内されたパイプ椅子へと腰掛けた。その隣に俺も腰掛ける。周りは礼服を着た人でいっぱいなのに俺だけツナギ姿だったのが変な気持だった。法用は着々と進み、焼香となると参列者が順にお焼香へと向かっていった。中には立ち上がることも出来ない若いお母さんの姿もあった。3月10日、まさか翌日にあんなことになるなんてこの世の人間で誰もが思っていなかったであろう。本当にあの日、あの時から変わってしまったんだ。何もかもが。

法用は1時間半程度で終了し、その後俺はおっさんと再び軽トラへと乗り込んで避難所へと向かった。

おっさん「兄ちゃん有難うな。俺もこれでやっとふっきれたよ」

俺「そんな・・・」

おっさん「いや、これから強く生きていく為には現実も受け入れないと駄目なんだ。だからいいんだ」

俺「うん・・・そうだけど。おっさん、あんまり無理しないでね」

おっさん「俺は大丈夫さ」

俺「そういや今日は作業ないの?俺ツナギ着て来たんだけど」

おっさん「作業はないよ。もうずっとな」

俺「え?どゆこと?」

おっさん「兄ちゃん、今晩地元に帰るのか?」

俺「いや、作業あると思ってたから残るつもりだったんだけど・・・・」

おっさん「ちょっと飲みにいかねぇか?」

俺「おっさんと?・・・・・・いいよ!」

おっさん「よし!じゃあ俺は着替えるから、○○の居酒屋わかるか?」

俺「うん」

おっさん「そこに18時に待ちあわせよう。勿論サシ飲みでな」

俺「分かった!」

それから俺はおっさんと別れ、ツナギから着替えてコンビニなどで時間をつぶした。そして待ちあわせの時間、おっさんはいつものおっさんの格好で現れた。

俺「あれ!?奥さんですか?」

おっさん「ああ」

おっさん妻「こんばんわ、話は旦那から聞いてます。本当にお世話になりました」

俺「いやいや、俺特別何もしてませんよ」

おっさん妻「今日はゆっくりしていってくださいね。帰りは迎えにくるから遠慮しないで」

おっさん「おう、有難うな。おし、行くか」

俺「うん」

こうして俺はおっさんと居酒屋へと入った。とりあえずの生ビールを注文し、これまでの作業の話などをしながら楽しく過ごした。

おっさん「兄ちゃん?兄ちゃんってなにか夢あるのか?」

俺「え?なに唐突に」

おっさん「いやな、普段はどんな生活してるのかなと思ってよ」

俺「ああ・・・。う~ん。夢ではないけどさ」

おっさん「なんだ?」

俺「俺ね、旅をしてるんだよ」

おっさん「初耳だな。どこに?」

俺「バックパッカーって言うんだけどリュック背負って気の向くままに世界中をぷらぷらと」

おっさん「兄ちゃん金持ちなんだな」

俺「いやいや、全然そんな豪華な旅行じゃないよ。本当の貧乏旅行」

おっさん「へぇ~、旅か。いいな」

俺「うん。凄くいいよ」

おっさん「彼女はいねぇのか?」

俺「・・・うん」

おっさん「好きな女は?」

俺「・・・まぁ」

おっさん「なんだいるんじゃねぇか。どうだ?うまくいってるのか?」

俺「それがこの震災で連絡取れなくなっちゃって」

おっさん「無事なんだよな!?」

俺「ああ・・・勿論。だって韓国人だもん」

おっさん「え?」

俺「あははは、びっくりするよね」

俺はこれまでの旅の話、腐っていた生活、2chの事、ブログの事、そんな事を全ておっさんに話した。

おっさん「なんだって!?じゃあ俺の事も書いてあるのか!?」

俺「うん。名前はおっさんだけどね」

おっさん「それを大勢の人が見てくれてるのか?」

俺「うん。大勢かどうかは分からないけど、顔も知らない人が見てくれてるよ」

おっさん「はぁ~。凄い時代になったもんだなぁ」

俺「それでさ、俺もうすぐ30歳になるんだよ。でね?これを期に旅はやめようと思うんだ。だから最後にどうしても行きたかった場所に行きたいんだよ。でもさ、世間一般からすれば30にもなって仕事もしないで海外旅行?ってことになるじゃん?だから後ろめたくてさ」

おっさん「う~む。でも兄ちゃんは行きたいんだろ?」

俺「うん。行きたい」

おっさん「行けない理由ってのはそれだけか?例えば親とかは大丈夫なのか?」

俺「うん、親はまだ健在だし。まぁでも良くは思わないかな」

おっさん「兄ちゃん」

俺「うん?」

おっさん「これ選別だ」

俺「ちょwwwwなにこれwww」

おっさん「選別だ。これを旅費の足しにしろ」

俺「待って待ってwww2万も受け取れないよ。てか1円も受け取れないよ」

おっさん「いいんだ。黙って受け取れ」

俺「無理無理!!」

おっさんは1万円札をクシャクシャにして俺の胸ポケットへ押し込んだ。

俺「駄目だって。ちょっと待ってよ。俺は資金の面では誰の力も借りない事にしてるんだよ!」

おっさん「じゃあ保険の意味で持ってろ」

俺「本当に大丈夫だってば!」

おっさん「頑固な奴だな」

俺「だってこれが俺の旅のポリシーなんだもん」

おっさん「海外はいいか?」

俺「うん・・・まぁ嫌な事も沢山あるけど、いいとこも沢山あるよ」

おっさん「どこが1番良かった?」

俺「そうだなぁ、やっぱり南米かな」

おっさん「南米か~。想像できねぇなぁ。俺なんか死ぬまで行けないだろうな」

俺「そんなことないよ」

おっさん「兄ちゃんよ」

俺「?」

おっさん「兄ちゃんはさっき30歳にもなってって言ったけど、俺からすればまだ30の若造だ。可能性はまだ無限にある。その好きな女の事だって、旅の事だって、成功でも失敗でも構わないけれど後悔しないようにだけしろ。今回の震災で心底思ったけど、どれだけ健康で安泰な生活している人でもいつどうなるかなんて本当に分からないもんなんだ。だから、後悔しないように生きてくれ」

俺「生きてくれって・・・。でも、うん。分かったよ」

おっさん「で、いつ行くんだ?」

俺「予定では10月末かな」

おっさん「そうか。で、いつ戻る?」

俺「分からないwww年内には戻る予定だけど本当に最後だしさ、納得いくまでやってみる」

おっさん「そうかそうか。じゃあ、帰ってきたらまた飲もうな」

俺「うん!!!お土産買ってくるよ!!」

おっさん「おお、楽しみにしてるよ」

俺「あれ?ところで作業がないとか言ってたのはなんなの?」

おっさん「ああ、石巻の現場はもうないんだよ。俺は明後日から南三陸にいくんだ」

俺「えええええ!?マジで!?」

おっさん「ああ。大工は忙しいんだぜ」

俺「じゃあ・・会えなくなっちゃうじゃん」

おっさん「会えるさ。戻ってきたら会う予定だろ?そん時に一緒に彼女も連れてこいよ」

俺「うっはwww分かった!マジで俺頑張るよ!!」

おっさん「兄ちゃん!俺兄ちゃんと出会って本当に救われたよ。有難うな」

俺「ちょっとやめてよ」

おっさん「あの日、なんだこいつって正直思ったけど本当に頼もしかったぞ」

俺「照れるって」

おっさん「俺も頑張るからな」

俺「うん、俺も頑張る!おっさんは体だけ壊さないよにしてよ」

おっさん「有難うな」

その後、閉店になるまで俺はおっさんと酒を酌み交わした。
次におっさんに会えるのは最後の旅を終えてから。俺は旅と同じ位その再会が楽しみでならない。



石巻ボランティア編 完
コメント
この記事へのコメント
あんたは偉い。これからもブログ楽しみにしてるよ。
2011/08/18(木) 06:56:43 | URL | #-[ 編集]
なぜか涙が出る。
2011/08/18(木) 12:41:59 | URL | #-[ 編集]
最後にどうしても行きたかった場所
ってどこ?
2011/08/18(木) 20:28:11 | URL | #-[ 編集]
なんか泣けてくる今までの旅のぷらぷらとは
想像できない何かが生まれた気がした。

頑張れ~リサに想いのたけをぶちまけてきて!!

ボランティアお疲れ様!!ありがとう

2011/08/18(木) 22:59:35 | URL | 623 #-[ 編集]
なんか、おっさんにもぷらにも頭が下がる思いだ。

でも、7月だと、4ヶ月目だ。
申し訳ないが、そこが気になった。直してもらえると嬉しい。
2011/08/19(金) 23:33:06 | URL | #FU5iNRZc[ 編集]
ボランティアお疲れ様でした。

10月からの旅が最後の旅だなんて・・・。
2011/08/21(日) 14:37:28 | URL | ぷりぷり #-[ 編集]
いつも楽しく読ませてもらってます。
ボランティア活動、おつかれさまでした。
旅行楽しみですね!
その後のブログも楽しみにしてます。
2011/08/25(木) 15:19:19 | URL | #-[ 編集]
仕事柄って、このブログに書いてたっけ?
(いちお全部読んでいるのだが・・・)

10月、南米、やり残したことか。頑張って!!
2011/09/03(土) 19:43:42 | URL | あ #cRy4jAvc[ 編集]
はじめまして。
ボランティア本当にお疲れ様でした!

今年になっていろいろなことが起きて、私は生き方を見失いそうになってた頃に
こちらのブログを見つけて読み始めました。
今はここまで全ての記事を読んで、希望のようなものを見た気がしています。

ぷらぷらさんは今年で旅を終えてしまうかもしれないけど、
その記録はずっと残っていてほしいなと思いました。

どうか無理をせずに過ごして、旅からは無事帰ってくださいね。
そして恋が実ります事をお祈りしてます!
2011/09/07(水) 03:52:18 | URL | #-[ 編集]
涙出るわ、ほんと
俺は全く被災してないけど
取引先と支社が被災地ど真ん中でさ
亡くなった顔もいっぱい居るんだわ

涙出るわ

ぷらさんお疲れ様
ありがとう
2011/09/08(木) 18:27:28 | URL | #-[ 編集]
感動してウルウルきました。コメントするつもりは無かったのですが。
南米編を読んで、面白くてクセになり、ここへ来て感動話。心が温かくなりました。
もう30代ではなくて、まだ30代。どうしようもない自分だけど、やれる気がします。
2011/10/23(日) 20:42:46 | URL | 通りすがり #-[ 編集]
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