世界中をぷらぷらしてきた

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バスが走り出して数時間。当然のことながらアメリカはでかい。しかし南米でのバス移動と違ったのは景色だった。砂漠に荒野ばかりだった南米の移動とは違い必ずどこかしらに建物は見えたし人の生活する雰囲気が感じられた。バス移動は南米の「カマ」に比べるとシートのリクライニングもなければ食事もでないし後方にトイレもないが、社内にwi-fiが整っておりコンセントもあるので好きなだけネット三昧できるのが良かった。しかしそれでも背伸びできないのは疲れるし、なにより隣に座っている太った女性が俺の座席にまでデカいケツを乗せているので窮屈で仕方がなかった。バスは2度ほど休憩所を経て朝にバッファローの町へと無事に到着したのであった。

運転手へ「ここがバッファロー?」と聞くと「そうだよ」と呆気なく答えが返ってきたので荷物を降ろしてターミナルの中にあるであろう観光案内所を探す。NYで宿探しが散々だったので兎にも角にも宿だけは早めに見つけておきたかったのだ。

俺「あのー、安宿を探してるんだけどこの近くでいいからどこか泊まる場所はありませんか?」

受「宿なら沢山あるわよ。この近辺だったらここが安いわね」

俺「おお、有難う!それとここからナイアガラの滝に行くまではバスが出てるの?」

受「そうね。ここのターミナルからバスが出てるわよ」

俺「おおおお!」

これは幸先が良い。適当にこのバッファローなる町を観光して2日~3日過ごしたらまたここからバスに乗ってナイアガラまで行けばいいだけだ。なんという完璧なルート。今までの旅でここまでスムーズに事が運んだことがあっただろうか。当の本人である俺でさえ記憶がない。

俺「そうだ!それと両替をしたいんだけど、この辺に両替所はない?」

受「そうねぇ・・・両替所は・・・ないけど銀行があるわよ」

俺「うん、銀行でいいや。どこ?」

受「30分程あるくけどいい?あっ!

俺「うわぁ~嫌だなぁその『あっ』。嫌な予感しかしないんだけど」

受「イグザクトリィ!その通りよ。今日は土曜日だから今日と明日は銀行がやってないのよ」

俺「マジで?今日土曜日だっけ?」

受「あなた全然現金ないの?」

俺「いや15ドルあるけど・・あと日本円なんだよね」

受「大きな町じゃないから日本円取り扱っているところは分からないわねぇ」

俺「15ドルって結構やばいよね?」

受「15ドルで泊まれるホテルなんて聞いたこともないわ」

俺「ですよね・・・」

受「あ、あなたクレジットカード持ってないの?」

俺「あ、あるよ!クレジットある!」

受「それならクレジットで支払いができるわ。それで月曜日にまた両替すればいいんじゃないかしら?」

俺「すばらしい!そうしましょ!じゃあここの宿が1番安いのね?ありがとー!」

受「気をつけてね」


アメリカという国は思いのほか日本円の両替が面倒くさいかもしれない。南米、インド、中東、アジアと空港で一気に米ドルに変えてひどい思いをしたので今回は必要な分だけこまめに両替しようとしたのが仇となったようだ。でも考えてみるとクレジットカードがあるんだから100ドル程度キャッシングしても問題ないだろう。バッファローを抜ければナイアガラからカナダに入る予定だし、米ドルもそう必要はないはずだ。地図を眺めながら歩きいざホテルへ到着すると受付の姉ちゃんの言うとおりクレジットカードでの支払いも可能なようだ。

俺「じゃあカードで。2日泊まりたいんだけどいい?」

おっさん「OKさ。じゃあこれにカードを入れて」

俺「あい」

お「・・・・・・。あれ?

俺「うわぁ・・・また『あれ?』って嫌な予感しかしないなぁ」

お「うーんなんか使えないみたいだな。他のカードないのか?」

俺「ないよ。ちょっと待ってよ使えないわけないよ。この前使えたんだから何かの間違いだよ」

お「そうは言ってもこれ見ろよ。な?」

俺「うーん。なんでエラーなんだろう」

お「仕方ない。縁がなかったってことだな。じゃあな」

俺「おいおい待てよ!東南アジアみたいな対応すんじゃねーよ。ちょっと電話貸してくんない?カード会社に電話するからさ。かくかくしかじかで手持ちが15ドルしかないんだよ」

お「まったく・・・ほれ」

俺「ありがとう」

ピポパポピ・・・・

「○井住友VISAカードです。本日の営業時間は終了しました。現在は自動音声にて・・・」

俺「うおおおお!時差忘れてたあああああ!」

お「で?どうすんだ?」

俺「あの、俺15ドルしかないんだけどこれで2日面倒みてくんない?月曜日におろしてきて支払うからさ」

お「無理無理!そんなことはできないよ」

俺「お願いします!マジでお願いします!だって俺宿ないんだよ!?」

お「駄目だ駄目だ!」

俺「ねぇ、頼むよ。お願いします」

お「無理だな」

俺「あ!!ATM!ATMこの辺にありますか?」

お「銀行ならここから10分も歩けばあるけど今日は休みだぞ?」

俺「ATMなら休みも関係ないでしょ?ちと行ってくるから荷物お願いね!!」

お「おい!荷物持ってけ!おい!!!」


俺はパスポートと財布だけを握り締め銀行へ走った。これは非常にまずい。最悪ホテルに泊まれなかったらバスターミナルで野宿すればいいかとも考えていたがどう見ても24時間やっているような規模のバスターミナルではないし、NYの時みたいに追い出されたらどうにもならない。祈るような思いで俺は銀行へ向かったが、おっさんは10分程で銀行があると言っただけで方向は言っていない。俺はどこに向かっているんだ・・・。

何度か道を尋ね結局20分以上かかって銀行へ到着。


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しかし当然のように銀行は閉まっていた。おいおいATMも使えないのかよ。

宿に戻って日本人旅行者がいないか尋ねてみようと思ったが他に銀行があるかもしれない。考えてみるとATMさえあればいいのである。俺は町の人にATMの場所を尋ねた。案内されたのは小さな商店でATMにはVISAの文字もある。助かった・・・。これでキャッシングすればなんとかなりそうだ。ナイアガラまで行けば日本円を両替してくれるところもあるだろう。カードをATMへ入れる。

「You can't use」

なんでじゃい!!!

ATMも定休日ってか!?どうなってんだよこれ!

俺「あの、キャッシングしたいんだけど何で使えないの?」

手当たり次第に通り過ぎる人に尋ねる。

俺「100ドル引き出したいんだけど・・・」

俺「あの・・・すみません・・・」

いくら話しかけても誰も取り合ってくれなければ使い方も教えてくれない。冷たいぜアメリカ人。トモダチ作戦はどこにいったんだよ!もうこうなったら諦めて宿のおっさんに泣きつくしかないだろう。なーに。最悪弟子入りする感じで宿の前に座り込めば入れてくれるだろう。大和と過ごしたシリアでの野宿に比べればどうってことはない。そんな時、諦めて宿へ戻ろうと歩いていると神から声がかかった。

女性「どうしました?日本人ですよね?」
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スタテンアイランドへ船が到着する。ぞろぞろと荷物を持って船を降りる乗客の中に混ざりグッタリとうなだれて俺も下船した。何をしているんだろう俺は。とりあえずせっかく来たので何か観光でもしようじゃないか。俺は船の係員に尋ねることにした。

俺「あのー、何かこの付近で歩いて観光できる場所ってありません?」

係「ないね」

俺「いやほら、何かしらはあるよね?」

係「ねーよ」

俺「マジ?何もないの?」

係「お前何しにきたの?」

俺「いや自由の女神が見たくて・・」

係「それこの船じゃねーしね」

俺「それ俺もさっき知ったとこでして・・・」

係「あーでも帰りの船から見れるからそれでいいんじゃないの?」

俺「マジ?帰りは見えるの?」

係「遠くにだけどな。この天候だしガスってたら見えないから保障はしないけど」

俺「よし帰ろう!今すぐ帰ろう!何時に船出るの?」

係「なに?お前帰るの?」

俺「だって何も観光する場所なんかないんでしょ?」

係「ああ・・・まぁそうだな。帰りの船はこの船だ」

俺「この船って今乗ってきたこれ?」

係「ああ。このまま折り返すんだ」

俺「代金は?」

係「無料さ」

俺「乗ります」


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恐らくスタテンアイランドへの最短上陸時間を更新したのではないだろうか。その時間わずかに1分。本当に何をしにきているんだ俺は。係員の言うことを信じて左側の席に座る。乗客は先ほどの1/10もいないだろう。船はまたユックリと動き出した。乗客の誰もが外の景色になど興味はない。俺は新聞を読んでるオッサンに話しかけてみることにした。

俺「あの、自由の女神ってどこです?」

お「ああ、もうすぐ見えるから甲板にでも出てるといいよ」

どうやらもうすぐらしい。さすがアメリカだ。これがインドなら200%自由の女神は見えないだろう。マンハッタンに戻るという船は何故か違う場所へ連れていかれ安宿へ案内されるのがオチだ。そう考えると一つの国で随分と違うものである。当然と言えば当然だが色々旅してるとそれが特に色濃く感じるものだ。まだかまだかと外を眺めること10分。200m程先にそれらしきものが見える。


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(全開ズーム)


うーん・・・やはりこの程度のものだよなぁ。

その後船はマンハッタンの船着場へと無事に到着し、俺は宿へ戻ることにした。しかしこのまま宿へ戻っても明日のバスの時刻まで随分と時間が空いてしまう。またタイムズスクエアに行ったところで何もすることはないし、1人でレストランに入るのも虚しい。大体チップという文化が日本人の俺からするとどうにも理解できない。食事の15~20%もなんで支払わなければならんのじゃ。その他に国の税金やら州の税金やら色々かかって普通に夜飲んで食べてやったら1人3000円は軽くかかってしまう。この先まだ長い俺にはもうこれ以上浪費はできない。とにかく退屈なのでホテルまでは歩いて帰ることにした。雨もいつの間にかやんでいる。途中、9.11同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンターを見学し、工事現場のトイレを借りてウンコした後俺は宿へ帰った。今日はもうどこに出かけることもないので荷物をパッキングする。次の目的地はナイアガラの滝の手前にあるバッファローという町だ。バッファローチキンウィングという食べ物はここが発祥とのことだ。どんな食べ物かしらないが酒のツマミに最高と書いてあるので行ったら是非食べたいものだ。もう乗らないであろう地下鉄のメトロカードに残金5ドル分があったので同じ部屋のオーストラリア人の若者に買い取ってもらい誰よりも先にその日は眠りについた。

翌日、天候は悪くなかった。バスターミナルまでは歩いて30分。マンハッタンの景色もこれで見納めである。今回の予定ではトロント、バンクーバーにも行く予定なので大都市は結構回るがマンハッタン以上のものはないだろう。バスターミナルに到着するととてつもなく広かった。グレイハウンドの長蛇の列に並び行き先を告げると「ここのカウンターではない」と言われまた並びなおし、やっと自分の番になると出発が遅れているので待っていろと言われてしまう。大都会NYでもこんな遅れることがあるんだと不思議と驚いた。結局バスは3時間半も遅れて出発することとなった。地下にあるバス乗り場へ向かうと大勢の客が荷物をバスの中へ突っ込んでいる。


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今日はこのままバスで眠れば明日の明け方にはバッファローの街中へ到着だ!グレイハウンドのバスはフリーのwi-fiもあるしコンセントもあるので時間つぶしは困らないしバッファローでの観光場所や宿なんかもバスの中で探してしまえば良い。なんて順調な旅路なんだ。これはオーロラも期待せざるをえない。

そう。勿論それはすべて妄想なのであり、ここから本当の地獄が始まったのであった。
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雨が降っていた。NYにやってきて明日で1週間になる。約3日程は気合を入れてマンハッタン島を観光していた俺だったがやはり都会は性に合わなかった。やはり人工の建造物やらなんかを見て回っても心ときめかないのである。1週間も高い宿代を払って滞在しておいて言うのもおかしな話だが、昨日一昨日と朝から雨が降っていてとても観光する気分にはなれなかった。真冬のNYなのに雪ではなく雨なのが痛かった。温暖化の影響はここ北米にもきているのだろうか。とりあえずこれ以上NYに居ても何もすることがないし、天気予報を見ても明日明後日は雨のようだ。宿の滞在期限も切れてしまうし、これ以上高い宿代を支払ってNYにいる意味はないだろう。考えてみると俺の目的はオーロラを見ることなのだ。さっさと北上して進まないと肝心のオーロラ鑑賞の日数が少なくなってしまうじゃないか。部屋のドアを開けて外に出るとどんよりとした雲が空一面に広がっていた。いつ雨が降ってきても不思議ではない。宿のランドリーに5日分の洗濯物を放り込むと俺は長距離バスターミナルへ向かった。

さて、どこへ行こう。ここ2日間の引きこもり生活の中で導き出した俺の答えは3つだ。

①NY~ボストン~ナイアガラ

②NY~シカゴ~トロント

③NY~バッファロー~ナイアガラ

とりあえずターミナルの受付の姉ちゃんに話をしてみることに。

俺「こんちは。えーとかくかくしかじかで・・・」

姉「ナイアガラに行きたいならバッファローから入るか直接ナイアガラシティへ行くのがいいわよ」

俺「あ、直接行けるの?」

姉「そうね。ここからバスで9時間ってとこかしら」

俺「うーん。でもせっかくアメリカまできて1都市しか行かないってのもあれだしなぁ。ボストンからナイアガラってのもあり?」

姉「それも問題ないけど値段が高くつくわよ」

俺「そなの?因みにどのくらい?」

姉「直接ナイアガラなら90ドルね。ボストン経由なら150ドルってとこかしら」

俺「そんな高いの!?あ~じゃあもうバッファローってとこでいいや」

姉「OK分かったわ。明日でいいの?」

俺「うん明日でお願いします。あーそれと俺もうNYに5日位居るんだけどどっか観光でオススメの場所ってない?」

姉「どこに行ったの?」

俺「ヤンキースタジアムでしょ~、エンパイアステートビルでしょ~、ロックフェラーセンターでしょ~、タイムズスクエアも行ったし、博物館にも行ったよ」

姉「自由の女神は?」

俺「あ・・・それだわ・・・」


すっかり忘れていた。自由の女神なんてもんもあったっけ。姉ちゃんが言うには地下鉄でマンハッタン島の一番下まで行ってバッテリーパークという場所から観光船が出ているらしい。値段は20ドルとちと高いがNYまで来たんだしやはり見ないと駄目よね。

俺「ありがとう!じゃあ早速行ってくるよ!雨降りそうだし急がなくちゃ!」

姉「Have a nice trip!楽しんでね!」


とりあえずチケットを買うためだけに来たのでガイドブックは宿にある。しかし宿に戻ってる間にも雨降り出しそうだし面倒だし、自由の女神なんて観光名所は有名だろうからガイドブックなんか無くても行けるだろう。幸いカメラは持ってるしね。というわけで俺は最寄りの地下鉄駅から地下鉄へ乗り込んだ。


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自由の女神へ向かう遊覧船乗り場のある駅へ着くとポツポツと雨が降っていた。仕方がないので傘を購入し遊覧船乗り場を探すが、これがどうにも見つからない。仕方がないので道を歩いている人に声をかけると「バッテリーパークならあっちだよ。歩いて10分くらいかな」との親切な案内をしてもらえたので1人とぼとぼと向かった。歩いていると目の前に船着き場のようなものが見える。見た目からしてもここで間違いないだろう。俺は中へ入った。


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が、誰も居ない。雨だから観光客が少ないのであろうか。

チケット売り場は何故かシャッターが下りているし人もまばらだ。もしかしたら今日は定休日かなんかか?いやいや世界レベルで有名な観光名所に定休日があるとは考えられない。俺は床を掃除していたおばちゃんに話を聞くことにした。

俺「あの、今日ってもしかしてクローズですか?」

お「やってるわよ。30分刻みの運航で今船が出たばっかりだから人がいないのよ」

俺「おおおお!良かった!それえチケットはどこで買えるの?」

お「チケットはフリーよ」

俺「へ?無料なの?」

お「どうしたの?」

俺「マジで?なんか知らんがスゲーラッキー!ありがとう!」


ベンチで待つこと20分。徐々に人が集まってくる。中には大きな荷物を何個も持った人がいる。観察していると皆チケットを買う様子もないので本当に無料なのだろう。今日は何かの記念日なのかな、とにかくラッキーだ。5分前になると船乗り場へのゲートが開かれ、続々と人が船へと乗り込んでいく。俺はその人に紛れて船へと乗り込んだ。


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船の甲板へ出ると大粒の雨が降っていたので自由の女神が見えるまで船内で待機することにした。船は汽笛を鳴らしてユックリと動き出す。考えてみると船に乗ったのって中東を南下して紅海を渡った時以来かもしれない。あの時は窓もなかったなぁ。Dさん元気かなぁ。などと俺は遠くを見つめていた。船が出港して15分。マンハッタン島が遠くに見える。天気が良くないので高層ビルが靄に隠れて上半分が見えない。


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灰色の空と灰色の海。何も見えない。退屈な窓の外を眺めるとカモメが一羽船の周りを飛んでいた。


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そのカモメを眺め、暇つぶしに俺はカメラのシャッターを押しまくった。20分をもう過ぎたのに未だ自由の女神の姿は見えない。そんな離れているもんなのか?徐々に俺は不安になってきた。それより何よりカモメを追いかけていたらカモメ意外にも変な船がこの船と並走しているじゃないか。なんだこれは。


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おいおい銃まで付いているじゃないか。これは本当に遊覧船なのかよ。徐々に不安になってきた俺は辺りの乗客を見渡してみる。そして異変に気づく。観光客っぽいの俺しかいないじゃないか。皆大きな荷物や食糧を持って船に乗っている。船のベンチに座って既に眠りこけている人も少なくない。あまりに不安になった俺は係員を探して尋ねた。


俺「あの・・・これ自由の女神はいつ見えるの?」

係「自由の女神?」

俺「うん・・・」

係「何言ってんだお前。これはスタテンアイランドに行く船だぞ」

俺「はい?!」


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係「だから、これはスタテンアイランドに行くフェリーなの」

俺「自由の女神は?」

係「そんなもんずっと向こうさ。見えやしないよ」

俺「ふざけんなって!!俺は自由の女神を見にきたのに!!」

係「知らん知らん!」

私は一体何をしているのか。
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泣きながら両替所を探し悪いレートで1万円を両替した俺は宿のオヤジにたたきつけ、少しぬるくなったビールを飲み干すといつの間にか眠りこけっていた。目が覚めると午後5時。いつもなら更にビールをあおって眠る俺だがこの日は何故かやる気があったのでシャワーを浴びて再度宿を出た。エンパイアステートビルまでは歩いて50分。バックパックからオーロラ撮影用にと購入した三脚を持って俺はブロードウェイを歩いた。


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途中何度も募金を呼び掛ける魔物に絡まれたが逆に募金して欲しいくらいの財政状況だったので華麗にスルーし募金をするどころか「エンパイアステートビルってどっちよ?」と道を尋ね俺は目的地へと向かった。NYの日の入りは思いの外遅く、午後6時にしても外はまだまだ明るかった。


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教えられた通りに歩いているつもりが全然目的地に到着せず、もうタクシーでも拾って宿に帰ろうか悩んでいた時、奴が視界に入った。

「おおお・・・この高層ビル群の中でも更に高いなぁ・・・」


地球の歩き方によると、とにかく夜景が素晴らしいとのことと、とにかく混雑すること、更には夜景を撮影したいならば場所取り必須とのことだったので夕暮れも訪れていないのに俺はエンパイアステートビルの中へと足を踏み入れた。当然ながら人は全くいない。


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係員に「こんな時間に何しにきたの?」と言われんばかりではあるがスマートに展望エレベーターのチケットを購入したった一人で乗り込む。エレベーターに乗る前に厳重な身体検査があるが特に何も引っかからなかった。


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展望デッキに到着すると外には誰も人影がない。皆中で待機しているようだ。この軟弱者共が。20ドル以上払ってきてるのに場所取りしなかったら何しにここに来ているのかわからないではないか。俺は扉を開け外へ出た。が、しかし一瞬で中へ戻ることとなった。寒い。とにかく寒いのである。風も半端じゃなく強い。どうやら皆日が暮れるまでここで待機するのだろう。中にはトランプをやっているグループもあった。それよりまずカップル率が多過ぎる。欧米さんは人目をはばからずあっちでチュッチュ、こっちでチュッチュである。そのまま行為に及んでしまうのではないかと心配する勢いだが俺の連れは三脚とカメラのみ。ここはグッと堪えて1番いい場所をキープするのに専念するべきだろう。午後6時半、少しずつ空が暗くなり始めビルの電気が点っていく。あと少しの辛抱だ。手は既に感覚はない。三脚は設置してみたが吹きつける強風に今にもDive to Blue状態。中のヌクヌクとした展望室から見れば「なにあのキモい日本人。1人で何やってんの?」と思われてそうだが黙らっしゃい。お前等がチュパチュパしてる間にも俺は虎視眈々と最善の撮影ポイントを押さえてるんだよ。せいぜいチュパチュパした後に後悔するがよかろう。だが絶対にこのポジションは譲らん。

そして午後7時を回ったころ、辺りは本当に見たこともないような素晴らしい夜景が!それを見て中から出てくるチュパ野郎共。ここぞとばかりに三脚を広げケツを突き出しファインダーを覗き込む。すまん、ミラーレスなのでファインダーなどなかった。ただひたすらシャッターをきりまくる!しかし俺は思った。結構ガラガラなのだ。自由に歩いて回れるし、俺の横には先ほどのチュパ野郎がキャッキャ言いながら写真を撮っている。俺は何をしているのだろう。

チュパ男「エクスキューズミー?ちょっと写真撮ってくれよ」

俺「え・・?ああ、うん。はいいくよ~笑って~1,2,3!うん!いいよ!」

チ「サンキュー!有難うな!お前も撮ってやろうか?」

俺「え?俺?」

チ「ほら、カメラ貸せ」

俺「やめてっ!そんなことされたら泣いてしまいそうだからやめてっ!」

チ「なんだなんだ。変なやつだな」

俺「構わないで!私に構わないでっ!!!」

チ「おい・・行こうぜ・・・」


何が悲しくてそんな写真を撮られなきゃいかんのだ。俺はただ夜景が撮りたかっただけだ。いいんだ。分かってた。1人で来る場所じゃないんだろうなって薄々気づいてた。地球の歩き方さんも枠外にそう親切に書いてあった。あらかた撮影し終わった俺はそそくさとエレベーターを降り、ガッチガチにかじかんだ手に息を吹きかけながら宿へ戻った。アメリカに到着してまだ3日。明日はどうしよう。これから何処に行こう・・・・。


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(エンパイアステートビルから見るマンハッタンの夜景)