世界中をぷらぷらしてきた

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目が覚めると灰色がかった天井が見えた。飲み過ぎたのか頭が痛い。相変らずドミトリーの天井についているファンは暑いだけの空気をかき回していた。焼けるように喉が渇いていたのでベッドから飛び降り共同冷蔵庫の水を取りに向かった。部屋に戻るとドミトリーに人の姿はなかった。若干体がダルかったのでベッドへ登り、昨日の出来事を思い出す。そういえば佐々木とA子と随分盛り上がってシベリアへ行く話になったっけ・・・。

恐る恐る佐々木がチェックインしているシングルルームのドアをノックすると眠たそうな顔で佐々木がやってきた。

俺「おはよー。昨日のこと・・・覚えてる?」

佐「おはよで・・・す。はい。覚えてますよ」

俺「で、どう?」

佐「どうって?」

俺「ほら、昨日の話」

佐「ああ、うーん。実際飲んでたしどうでもいいかな」

俺「マジで?そっか~!良かった!心底良かった。お前いい奴だなぁ」

佐「あ~。でもとりあえず今日航空券買いに行くんですよね?俺等もビザの申請に行くんですよ」

俺「そう言えば次どこに行くんだっけ?」

佐「カンボジア行ったらインドに飛ぶ予定です」

俺「インドか~」

佐「あ~。今何時ですか?そろそろA子達起こさないと」

俺「もうお昼過ぎだね」

佐「やっべ。今日は絶対行こうと思ってたんでA子とB子起こしてきますね」

俺「ビザ申請するのって代行でしょ?そんなら俺も一緒に行くよ。航空券見たいし」

佐「分かりました。じゃ、またベンチで」

一旦佐々木と別れた俺は部屋へ戻り顔と歯を磨き、佐々木と待ち合わせたベンチへ向かった。

A「おはようございます~」

俺「おおおはよ~。具合はどう?二日酔いになってない?」

A「うーん。ちょっと頭痛いかも」

B「ぷらさんおはようございます。朝ご飯一緒に食べに行きましょ」

俺「え~。俺飯はいいや。航空券見に行きたいだけだし、外まで一緒に行こうよ」

B「分かりました」

佐「お待たせです。行きましょうか」

こうして佐々木、A子、B子と4人で外へ向かった。相変らずの日差しに若干クラクラしつつも東南アジアの熱気に触れて外を歩き、香辛料の匂いを嗅いでいると、いつの間にか二日酔いも忘れテンションが上がっている俺がいた。

俺「ねぇ、さっき朝飯って言ってたけど俺なんか食えそうかも」

佐「マジすか?」

俺「うん。ね、Bちゃん?」

B「うん!もう私お腹ぺこぺこだよー!」

俺「じゃ、お店行く前にちょっと腹に何か入れてこうぜ」

ちょうど横にあったレストランへ入り、当たり前のようにビールを注文する。それは大瓶2本が空いた時だった。

佐「あ~マジでぷらさんシベリアかぁ。なんか悪い事した気分になってきましたよ」

B「なにそれー?」

A「あー!!思い出したー!!」

俺「おいおい、ちょっと待てって。さっきあの話は冗談ってことだったんじゃないの?」

A「駄目駄目ー!私認めてないもーん!」

俺「えー!?」

佐「そういや昨日あんま話聞いてなかったんですが、ぷらさんに行って良かった国聞いたじゃないですか?」

俺「え・・・ああうん」

佐「インドってどうだったんですか?」

俺「え?インド?」

佐「はい」

俺「いや話たじゃん。インドに行こうと思ってビザ取得したんだけど破棄して、好きな女追いかけてトルコ行ったんだって」

佐「あ、言ってたかも!あれ!?じゃあインドは行ってないんですか?」

俺「そうだよ。ほら、これがその時破棄したビザ」

佐「うわwwwマジだwww」

A「ぷらさん西回りで旅してるとか行っててバックパッカーの聖地インドに行ってないってどうなってるんですか!?」

俺「あ~それに関しては返す言葉もねぇよ。姉ちゃーん、ビールもう1本~」

佐「ぷらさん?じゃあ一緒にインド行きません?ほら、これからビザ申請もするし」

俺「インド!?だって俺真冬の服しか持ってないよ」

佐「なんとかなりますって!」

俺「えええええ・・・・」

佐「まずチケットだけ見に行ってみません?」

俺「ん~・・・・・」

乗り気でない俺もチケットを買わない事には旅は始まらない。レストランを後にして渋々旅行代理店へと向かった。とりあえずニューヨークまでのチケットを確認する。

俺「えーとアメリカま・・・で・・・は・・・10万!?あれ!?日本と変わらないじゃん!!」

佐「え?マジですか?」

俺「え・・・うん」

A「シベリアまではー?」

俺「シベリアwwwwえーっと・・・わからねぇwwてかどこに行けばいいのww」

佐「ロシアじゃないすか?でもロシアのどこだろ」

俺「そんな適当に飛んだらやばいだろww」

佐「ほら、もう一緒にインド行きましょうよ。インドなら安いでしょ」

俺「えーっとインドは・・・え!?12000円!?

佐「ほらほら、これはもう運命でしょ!」

俺「え・・マジ?行っちゃう?」

A「一緒に行きましょうよー!」

こう考えてみるとインドもいいかもしれない。俺の旅の中で心の中に引っかかっていたインド。いつかは行かなければならないとは思ってたけど、結局今までズルズルきてしまっていた。これってもしかして行けって合図なんじゃないのか?しかも男1、女2のグループと一緒に行ける・・・?いやいや、待て、よく考えろ俺。今まで女のケツ追いかけて旅してきて良かった事なんか1度もなかった。でも・・・三度目の正直ってこともあるかも・・・。

A「ぷらさんー!行きましょうよー!」

俺「おっさん!インドまで大人1名ね!あとビザね。」

2度目のビザ申請。用紙を記入し5日後に再度お店へ顔を出すことになった。それから数日の間、佐々木とA,Bはバンコク市内やアユタヤへ行くとの事だったので毎日のようにゴロゴロとして過ごしていた。バックパックに詰め込んだダウンジャケットなどの防寒具をいずれまた戻ってくるこの宿へ預け、カオサンで夏服を適当に買い込んだ。しかし冬のインドは思った以上に寒く、数週間後俺は爆死するのであった。


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あれから4日が経ちビザ取得の前夜、俺達は再び4人で飲みに行くことにした。

「お疲れー!!!」

俺「ぷはー。いつ飲んでも美味い!で?アユタヤとかどうだった?」

A「うーん、ちょっと微妙だったかなぁ」

俺「だろうなw」

B「ワットポーが1番良かったかも」

佐「それでも微妙だったけどな・・」

俺「まぁまぁ、まだ旅の序章ですから!でもね、これから俺が一緒になれば大丈夫!きっとハードでスリリングなインドの旅になることをここに約束するよ!」

佐「それは楽しみですねw」

俺「じゃ、ここに明後日からのインドを祝して、もう1回乾杯しよう!!」

佐&A&B「え?」

俺「なんだよ・・・」

佐「明後日から俺等カンボジアっすよ」

俺「え!?」

佐「行ったじゃないですかカンボジアの後にインドに飛ぶって・・・」

A「私もどうやって一緒に行くのかなってずっと思ってたんだぁ」

俺「おい・・・なんだよそれ・・・」

佐「え・・・なんか微妙っすねこれ・・・」

俺「んじゃ何?明後日お前等はカンボジアなの?」

佐「はい」

俺「俺は?」

佐「イン・・・ド?」

俺「佐々木?」

佐「はい?」

俺「お前ちっと歯食いしばれ」

A「キャー!!」

佐「ま・・・待ってくださいって!!!あっちで会いましょうよ!あっちで!!そもそもインドのどこに飛ぶんですか?デリーですか?」

俺「そうだよ」

佐「アウトは?」

俺「デリーだよ」

佐「デリーINのデリーOUT!?」

俺「そうだよわりーかよ」

A「私達カルカッタINのデリーOUTだよ」

俺「佐々木、やっぱ歯食いしばれお前」

佐「いやいやいやいや!!!!」


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こうして俺は2日後の深夜、真夜中にカオサンからタクシーで空港へ向かい、インドへ飛び立ったのであった。
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タイで過ごすこと4日。これといって観光するような事もなく、暇さえあれば通りをブラブラし買い食いばかりする日が続いていた。バンコク市内はそれほど観光するような場所もないので旅人の入れ替わりは激しく、宿へやってくる旅人の姿は毎日のように代わっていた。この日、詐欺にあった大学生Kを見送るべく、最後まで宿に残っていたSと一緒にKのフライトの時間まで夕飯を食べようという話になっていた。談話室で待ち合わせていたのでベンチでに座ってボーッとしているとエレベーターから新たに旅人がやってきた。男1、女2のグループだった。見た感じそこまで長期の旅をしているようにも見えないし、年齢もやはり大学生位だろうか。随分若い。

男「あ、ども。受付そこすか?」

俺「ども。そこですよ」

S「ぷらさーん、お待たせー。あれ?K君は?」

俺「まだ来てないよ」

男「これからお出かけですか?」

俺「うん。今日帰国する奴いるから、最後に一緒にこれから飲みに行こうって話してたんだ」

男「いいですね!俺達も混ぜてもらえませんか?」

俺「え・・俺はいいけどS君どう?」

S「俺も全然いいですよ。大人数の方がワイワイで楽しそうだし」

俺「うん、じゃあチェックインして荷物置いたらここに来てよ。待ってるから」

男「はい」


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その後、6人でカオサン通りに面しているレストランへ入った。

皆「じゃ、かんぱーい」

俺「ふぅ。いやこんな大人数で飲むのってなかなか無いから新鮮だなぁ。あ、俺ぷらって言います」

男「はじめまして佐々木です(了承済)」

A子「A子ですー。それとこっちはB子」

B子「はじめまして~」

K「3人で旅してるんですか?」

佐「うん。俺等大学生なんだけど休学して一周券でこれから一周なんですよ」

俺「へぇ~!一周か!そっか!それで始まったばっかりだからまだ小奇麗なんだね」

佐「そうかもですね」

S「しかし男1に女2ってまた凄い組み合わせだね。なんか理由あるの?」

A子「同じサークルの仲良しなんですよ。佐々木は私が高校から一緒で仲良しなんです」

俺「羨ましいよ。俺も女の子と旅がしたかったよ」

佐「したかったって事は旅終わったんですか!?

俺「まぁ、終わったようなもんかな」

佐「へぇー!どこが1番良かったですか?」

俺「それ皆に聞かれるんだよなぁ。どこも良かったけど、やっぱずっと行きたかった場所だったしウユニかなぁ。行くんでしょ?ウユニ?」

佐「やっぱりウユニかー!勿論行きますよー!」

そんなお互いの話をしながら飲んでいるとKの飛行機の時間が迫ってきた。

K「俺、そろそろ行かなくちゃ。あ~もっと皆と一緒に居たかったなぁ」

S「元気だしなよ!また戻ってくればいいじゃん!」

K「うん、絶対そうするよ。有り難う!見送りは大丈夫だから」

S「何言ってんだって。見送るよ」

俺「そうだね。K君見送ったら適当に何か買い込んで宿で飲まない?」

佐「いいですね!」


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こうして俺達はKがタクシーに乗り込み、走り去るのを見届けると屋台でツマミを買い、セブンイレブンで酒を買い込んで宿へ戻った。

俺「ふ~。じゃあ改めて乾杯!」

S「ねぇ?もしかしてシングル泊まってる?」

佐「はい。俺はシングルでA子達はダブルですよ」

S「そこはやっぱり一緒の部屋じゃないんだ?」

Sが随分と酔っ払ってる感じがする。まぁそんな俺も人の事は言えず随分酔っているのだけれど。

A子「ぷらさんはこれから帰国するんですか?」

俺「いや、これからだよ」

B子「え?だって旅終わったってさっき・・・」

俺「ああ、なんて言えばいいんだろ。まぁ色々あってさ」

B子「じゃあこれからどこか行くんですか?」

俺「うん。アメリカにね」

B子「アメリカ?」

俺「そうそう」

A子「アメリカ行くのになんでタイにいるんですか?」

俺「話すと長くなるんだけど・・・・・・ってわけでさ」

A子「へぇ~!」

佐「ヒック。ぷらさん、オーロラってどこで見るんですか?」

俺「うーん。一応アラスカかカナダなんだけど、現実的に考えてカナダかなぁ」

S「オーロラって俺のイメージだと北欧とかシベリアなんだけどなぁ」

佐「ああ、それ言えてる。なんかカナダでオーロラって結構簡単そうじゃない?」

俺「なんだよお前等・・・」

佐「ぷらさん、やっぱ男はシベリアですよ」

俺「いやいや・・・」

佐「カナダでオーロラ見たってのよりも絶対シベリアでオーロラ見たって方が凄いでしょ?」

俺「そりゃそうだけどさ」

佐「それだけ過酷な旅してきたなら絶対いけますって!」

俺「あーもうやめてくれよ。俺は以前もインドに行くはずが中東行ったりして酷い目にあってんだからさ」

佐「俺、旅ってそんなもんでいいと思うんですよ。予定なんか立てないで気の向いたまま、風がふくまま動けばいいと思うんですよ。ヒック」

俺「一周券で航路決まってる奴に言われたかねぇよw」

佐「A子?絶対カナダはないよな?」

俺「お前なんでそこまでカナダを否定するんだよ。ナイアガラも見れるし、俺はニューヨークから北上していく予定なんだよ。もうガイドブックも持ってるの!」

A子「でもシベリア鉄道ってなんか響きがいいですよね」

俺「知らないよそんなの。そんな君らはシベリアとやらに行くの?」

A子「いきませ~ん!」

俺「意味わからんよ」

佐「ぷらさん、でもやっぱり今タイに居るんだしアメリカに行くには遠回りじゃないですか?シベリアならねぇ」

俺「いいんだよ無駄で。俺の旅なんかそんなもんだから」

こんな押し問答が延々と続き、B子はいつの間にか談話室のベンチで爆睡。Sも既に眠りこけている。佐々木とA子は未だ元気で俺にシベリアを強く勧めてくる。随分酔っ払っていたんだろう。実際今出来る限り思い出して書こうとしているが、どうしてもボンヤリとしか思い出せない。ただ唯一思い出せる事がある。

A子「ぷらー!」

俺「なんだよww」

A子「男の子でしょ!?男らしくきめちゃいなさい!」

佐「A子酔っ払い過ぎだろwww」

A子「うるさいっ!」

俺「あーもううるさいなぁ。じゃあお前等賭けしようぜ」

佐「賭け?」

俺「ああ。実は俺、旅しながら各国の人に『おめでとう』って書いてもらった紙を持ってもらって撮った写真を集めてるんだよ」

佐「なんでそんなもん」

俺「まぁ聞けよ。ここにビールの栓があるだろ?今からコイツをコイントスの容量でピンと上に弾くから、表が出たら俺の勝ち。俺はカナダに行くしお前等は行く先々で面倒でも必ず写真を撮って俺にメールで送ること」

佐「裏だったら?」

俺「シベリアに行ってやるよ。どうせ明日航空券買いに行く予定だったし、お前等買うとき付いて来いよ。証拠になるでしょ?」

A子「面白いかも!!」

俺「どう?」

A子「やるやるー!でも待って、じゃあちゃんとしたコインにしようよ。これでいい?」

俺「お、100円玉じゃん。いいね」

佐「誰が弾くんですか?」

俺「それは俺しかいないだろう?」

A子「あたしがやるー!」

俺「駄目だっつの。シベリアに行くかカナダに行くかの選択肢くらい俺が決めるのが当然だろ」

佐「ですね。よ~し。じゃあ嘘とか泣き落としは駄目ですよ?」

俺「うん、いいよ。その代わり裏が出たら絶対に絶対に写真送れよ!絶対だからな!」

佐「分かりました。じゃあ、いきますか」

俺「おう。こっちが表な。Aちゃんよーく見とけよ」

A子「おう!」





ピーーーーン




それから1ヶ月後・・・・。


















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俺はカナダのガイドブックを眺めながらガンジス川のほとりで泣いていた。
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早朝より成田空港でビールを流し込み、搭乗手続きを済ませる。今回はJALで行くタイわくわく紀行。まぁ、その大半がバンコク市内のホテルに流れ込むのに対し、俺は1人寂しくカオサンへと向かうのであるけれども。いざ飛行機へ乗り込み、予め買い込んでおいた週アスと隣の客が眠ってから見ようと思っていたエロ本を座席のポケットへ仕込み、スチュワーデスに早速ビールを要求すると上空で安定飛行してからでないとお渡し出来ないと怒られた。飛行機は時間通りに成田空港を飛び立った。どんどん小さくなっていく街並みを眺め、やがて雲の上に出ると先程のスチュワーデスがビールを持ってきてくれた。さすがJAL、サービス精神は凄い。しかしどうせ1本では足りないと思ったので持ってきてくれたスチュワーデスについでにもう1本くれと伝えたところ、今渡したビールを飲み終えてからだと言う。どこの居酒屋のグラス交換システムなんだと思いつつも黙って封を切りグビグビ。思いっきりゲップをしたら隣に座る女性に睨まれた。失礼。

1時間で3本程ビールを空け、週アスもエロ本も読み終えたのでガイドブックでもう一度オーロラの為の勉強をする。これからタイに飛ぶと言うのにオーロラのガイドブックを広げていたからであろう、隣の女性が話しかけてきた。

女「どこに行かれるんですか?」

俺「え?アメリカです」

女「タイからアメリカに行くんですか?」

俺「はい」

女「・・・・。」

会話は終わった。

これからフライトまで時間は随分と長い。俺はスチュワーデスを呼び、焼酎のお湯割りをオーダーしたがお湯割りはできないらしい。仕方が無いので水割りでもらうことにした。しかし焼酎を飲みながら上空1万メートルでオーロラのガイドブックを読みながらタイへ向かう。本当にワケがわからん。


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その後いつの間にか眠ってしまっていたらしく、目が覚めたのはスチュワーデスに着陸態勢に入るので座席とテーブルを元の位置に戻すように言われた時だった。気が付けば既に飛行機はカンボジアの上空を過ぎ、タイへ入っていた。ふと思い立ったように携帯電話に入れていた東南アジアの写真を見返してみると懐かしい思い出がこみ上げてきた。思い起こせばあの時、思い立ったように旅に出ていなければ今もこうしてバックパックを担ぐことはなかったであろうし、ピラミッドにもマチュピチュにも行く事は絶対になかっただろう。人生はなにがきっかけで動き出すか本当に分からない。これから待ち受けているであろう感動とトラブルのどちらも受け入れて旅を満喫する。そう考えると本当に楽しみで楽しみで仕方がなかった。そんな思いにふけっていたら、スチュワーデスに電子機器の電源を切れといささか本気で怒られた。さーせん。

飛行機はタイはスワンナプーム国際空港へ無事着陸。飛行機と空港を繋ぐパッセンジャーボーディングブリッジを渡っているとタイの香りがした。日本の夏と同じような暑さだが、やはり日本と同じではなく、なんとも形容しがたいあの独特の東南アジアの香りだ。入国審査の為に長い列に並び、入国カードを記入する。最初はこのカードの記入すらもままならなく困っていたが今はなんのこともない。イミグレーションでも特に面倒な質問もされず、荷物を受け取って俺はベンチに腰掛けた。


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当初の予定では明日にでもタイを発ってアメリカへ飛ぶ予定であったが、このタイの雰囲気を感じてしまった以上スグにタイを離れるわけにはいかなくなった。その為タイには不要なダウンジャケットなどの防寒具をバックパックの奥に押し込み、逆にTシャツなどを引っ張り出して俺はタクシー乗り場へと向かった。3年という時間は空港も大きく変えていた。今まではタクシーで向かうはずであったカオサンにもメトロで移動できるようになったらしい。しかしタイのガイドブックを持っていない俺はよく分からないので450バーツも支払い、タクシーへ乗り込んだ。もう俺のテンションは最高潮だ。渋滞に巻き込まれながら1時間程かかりカオサンへ到着。喧騒の中タクシーよりバックパックを下ろし背負う。何度も何度も歩いたこの道。3年ぶりでも道に迷うことはなかった。俺は自分の中では安宿というより雀荘と思っている場所へ向かいチェックイン。ドミトリーに荷物を降ろした。宿は何も変わっていなかった。ふと横を見ると1人横になって本を読んでいる旅人を発見。彼はSと名乗った。

俺「どもー」

S「あ、こんにちは。どちらから来られたんですか?」

俺「いや日本からですよ」

S「ああ、これからなんですね。俺は一通り回ってまたタイに戻ってきたとこなんですよ」

俺「へぇ~。じゃあもう旅して長いんですか?」

S「う~ん。2週間ってとこ」

俺「そっか。あの、もし良かったらちょっと飲みに行きません?」

S「え?今から?」

俺「うん。お腹空いちゃって」

S「うーん。飲むだけならいっか。OK、いきましょう」

こうして俺はSと飲みに行く事にした。Sは大学院生で東南アジアを周遊する感じで旅をしていた。俺達は互いにビールを注文し飲み始めた。カオサンはどこか少し観光名所化していて以前までの雰囲気が無くなりつつあったが、それでも海外の気分を体験するには十分な場所だった。物乞い、土産売り、スタイル抜群の姉ちゃん、けたたましい音を立てて走り抜けるトゥクトゥク。俺と同じように今やってきて大きなバックパックを背負っている旅人、その旅人を自分の宿へ連れて行こうとする客引き。また逆に荷物を背負い、これから帰国するのか、また別の国へ旅立つのか消えていく旅人。その姿を見ながら飲むだけでとても面白かった。

S「どうしたんです?」

俺「ああ、なんか懐かしいなぁって」

S「あ、以前来た事があるんですか?」

俺「うん。3年程前にね」

S「へぇ~。これからはどこに行かれるんです?」

俺「実はアメリカなんだよね」

S「ええ?日本からタイに来たのにアメリカに行くんですか?遠回りじゃないですか」

俺「まぁそうなんだけど色々あってさ。まず日本から直接行くより安上がりなのと、なんかタイに来たくなって。懐かしいんだよね。ちと大袈裟かもしれないけど、俺の旅ってここから始まったからさ。そんでまた色々あってなぁ。話すと長くなるんだけど、ほんとこの旅のおかげで今の俺があるようなもんだからさ。どうしてもカオサンに来たくなって来たのよ」

S「随分と長旅してられたんですか?」

俺「いや、そこまでではないけど。それなりにかな」

S「凄いなぁ。そうだ・・・実は宿にKって大学生がいるんですけど金巻き上げられて宿で落ち込んでるんですよ。良かったらそいつも一緒に誘って飲みませんか?なんか気の毒なんですよね」

俺「マジ?可哀想に・・・。いいよ。酒買って宿で飲もうよ」

宿へ到着すると何人か旅人が戻ってきておりベッドに横になったり談話室で煙草をふかしていた。談話室で飲もうという事になっていたのでベンチに腰掛け封を開ける。するとSがKを連れて来た。見るからに日本を歩いているようなお洒落な格好をした男だった。

俺「こんちは。はじめまして」

K「こんにちは。はぁ」

俺「ああ、S君に話は聞いたけど大変だったね。どうしたの?」

K「いや実は一昨日到着したんですけど、そこの通りでしゃがみこんで泣いてる女の子いたんですよ」

俺「うん」

K「韓国人でパスポートなくしたみたいで、再発行の手続きはとったんだけど、それまで過ごす金がないから貸し手欲しいって。その人日本に知り合いがいるから、その人のつてでお金も返すって言うから貸したんですよ」

俺「マジで・・・?いくら?」

K「8万円です」

俺「ちょww多過ぎるでしょ」

K「いや、自分はキャッシュカードもあったんで手持ち渡したんですよ」

俺「はぁ・・・ほんで?でも返ってくる可能性だってあるわけじゃん」

S「それがキャッシュカードで金引き出そうとしたら残高0になってたらしいんですよ」

俺「マジ?」

K「はい・・・もう意味わからなくて・・・」

俺「え!?じゃあ一文無しなの?」

K「はい・・・でもS君が1万円貸してくれて・・・帰りの航空券はあるんでそれまでなんとか・・・」

俺「いつ戻りなの?」

K「1週間なんで5日後です」

俺「ほんじゃ全然観光もしてないの?」

K「もう諦めました」

俺「可哀想過ぎる・・・まぁ、元気だしなよ。俺もいっぱいトラブルあったけど、ちょっと高い授業料だと思ってさ。ね?ほら元気だして。ビール1本あげるから」

K「ありがとうございます」

俺「おっし。ほんじゃ俺はシャワーでも浴びてくるかな」

S「あ・・・・今使えないですよ」

俺「大丈夫大丈夫。ホットシャワーなんか求めてないから。水で全然OKだよ」

K「いやそうじゃなくて・・・・」

S「ま、行ってみてくださいよ。そっち」

俺「ああ、場所は分かるから大丈夫だよ。じゃ、また後でね」

俺は1人部屋に戻り荷物を引っ張り出しシャワー室へ向かった。が・・・・。


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シャワー室ではウサギが飼われていた。

俺「・・・・。まぁ・・・別に1日位シャワー浴びなくてもいっか・・・・」
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女性「あら、大切になさってるのね~」

俺「ああ、いや・・・修理して使いまわしてるだけですよ」

女性「それって凄く大切な事よ。これからも大切にしなくちゃね」

俺「ああ・・・はい。それでは」

帰国した成田空港のベンチで隣の年配の女性に俺は話しかけられた。

「これって・・・・まだ旅続けられるって事なんかな」

宮城県への帰省の為の高速バスの車内で目を瞑るとここ3ヶ月間の出来事が鮮やかに蘇ってくる。旅を終えるといつも味わう余韻のような感情だ。帰国するとどうしても空しく感じる。あの非日常という旅の世界から突然現実世界に引き戻されてしまったような感覚、俺はもしかすると帰国したくなかったんじゃないのか?いや、それはない。現地であれほど「早く日本に戻りたい」と何度も思った。でも・・・・。東日本大震災の発生から5ヶ月程が過ぎ、夏の暑さも最盛期を迎えた8月のとある日に俺は旅立ちを決意した。しかしその旅立ちが1ヶ月後れの9月下旬になったことには色々な理由があった。

ボランティア生活を終え地元に戻った俺はその日のうちにバックパックを押入れから引っ張り出した。南米から戻って1度も使っていなかったバックパックは埃を被って少し寂しそうだった。旅立つための荷物はとっくに準備出来ているのになかなか出発できない。これは俺自身の気持ちの問題でもあった。ボランティア生活で色んな人に出会い、生活してきた。今も必死でガレキや建物の修復などに追われている人を横目に、大手を振って海外旅行などとなかなか言い出せないところがあった。そんな悶々とした気持ちを払拭したかったのか、俺はおっさんに電話をかけてみた。

俺「おっさん久々だね、どう?元気?」

お「おー!兄ちゃんか!久々だな!元気でやってるよ。そっちはどうだい?」

俺「うん、特に変わりはないよ」

お「そうかそうか。そう言えば兄ちゃん旅立つのはいつなんだ?」

俺「いや・・・それがさぁ」

俺は思いをおっさんへ伝えた。

お「あーなるほどな。あれだ、兄ちゃん真面目過ぎんだな。別にいいんだよ行って。中にはそりゃ面白くない顔をする馬鹿もいるかもしれないけど、俺みたいに土産話を楽しみにしてる奴だっているんだからさ。そんなこと気にしないで行ってこい!ガハハハ」

俺「あー、なんか少し吹っ切れた気がする。ありがとうおっさん」

お「前に飲んだ時に年内には戻るって話だったよな?それと肝心なことを聞き忘れてたんだけどどこに行くんだ?アメリカか?」

俺「うん、年内には戻るよ。ああ、そういえば行き先言ってなかったね。うーん、これはまだ少し悩んでるんだけどさ」

お「うん」

俺「長いこと色んな所に旅をしているうちに、ここに行きたいなって場所がいくつか出てきたんだよ。アンコールワットだったり、ピラミッドだったり、マチュピチュだったり、ウユニ塩湖だったり」

お「ほう」

俺「でね、その最後がオーロラなのよ」

お「オーロラってあれか?あの寒いとこで見れるやつか?」

俺「そうそう!」

お「北極とかか?」

俺「そんなとこ行ったら死んじゃうよwうーん、現実的にはカナダかアラスカか北欧かな」

お「結構色んなところで見れるもんなんだな」

俺「うん。でも北欧は高そうだし、多分・・・アラスカかなぁ」

お「よし!気分が変わらないうちに行って来い!そんで帰ったら写真見せてくれよ」

俺「分かった!有り難う!!」

こうして俺は旅立ちを心に決めた。

しかしおっさんに言われて初めて気付いた。オーロラってどこに行けば見れるんだ?翌日から俺はインターネットを駆使しオーロラの情報を集める事にした。結果、アラスカのフェアバンクスから更に北上した場所でオーロラを見るか、カナダのイエローナイフで見る事に決めた。しかし突然その場所へ行っても特に面白くもない。やはり旅では移動が面白い。俺は考えた挙句、ニューヨークからナイアガラまで北上し、ナイアガラからカナダへ入り、そのまま更に北上をするというルートで旅をすることを決めた。そうなると次は航空券である。だがこれが非常に高い。10万超えがほとんどである。アメリカの他の都市への変更も視野に入れて探してはみたものの、結局然程変わりはなかった。こうなればもう直接交渉しかない。俺は旅行代理店へ電話をかけた。

俺「あの・・・成田からニューヨークまでの航空券が欲しいんですけど」

旅「はい。そうしますと燃油込みで12万程ですね」

俺「もっと安いのは無いんですか?」

旅「生憎お客様指定の日程ですと空席が・・」

俺「うーん。どうにかして安く行けませんかね?」

旅「そう申されましても日本国内の航空会社が・・・」

俺「あれ!?」

旅「はい?」

俺「今思ったんだけど、例えばタイとかに飛んでタイで航空券買えば安くあがりませんかね?」

旅「それは・・・ちょっと分かりませんけれど・・・」

俺「そっか!よし!調べてみよ。有り難うございました」

その夜、俺の予想は的中していた。メールでタイの旅行会社に問い合わせたところ、国内で買う値段の1/3程で入手が可能のようだ。タイまでの航空券を含めての2万程安い計算だ。それに久々にタイへ行くのも悪くない。翌日、俺はタイまでの航空券を入手した。

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そして更に最新版ガイドブックまで購入。

俺の旅は未だかつて無い程の充実した装備を身にまとい、ここにスタートするのであった。


出発の朝、サラリーマンと共に電車に揺られバックパックを担いだ俺の姿があった。仙台駅を出る高速バスの出発時刻は朝8時半。笑顔で俺を送り出してくれた家族や友人に感謝し、最後になるであろう俺の一人旅は幕を開けた。いつもならば当日搭乗する飛行機にも、今回は万全を期して成田に前泊である。

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新宿からスカイライナーで成田へ向かい、ホテルへチェックインすると時刻は午後3時を回っていた。夕飯は近くの居酒屋に飲みに行くとして、それまでの間は日程の最終チェックだ。勿論予定通りにいくなどと都合のいいことは思ってもいない。ここ数年の旅で俺は学んだのだ。予定はあくまで予定なのだと。ベッドに横になってガイドブックを再三チェックしていると猛烈な睡魔に襲われ、いつの間にか俺は眠っていた。目が覚めると夜の8時だった。しかしジェントルな俺は慌てない。ここは成田市、そう、俺が住んでいる田舎町とは違うのである。俺はシャワーを浴び、颯爽とフロントへと向かった。

俺「あの、何か食べたいんですけどこの辺りに歩いて行ける居酒屋なんかありますか?」

兄「ございません」

俺「あ、そうですか。ええ!?」

兄「生憎この近辺には何もございませんのでタクシーをお呼びしましょうか?タクシーでしたら1000円以内で飲食店へご案内できるかと思います」

俺「え・・・1000円も・・・。でも・・・うん。お願いします」

兄「かしこまりました」

恐るべしスカイ○ート成田。外に出たら真っ暗闇だったぜ。

タクシーへ乗り込み、運転手さんオススメの居酒屋へ連れて行ってもらうと時刻は9時半に。

俺「あの、1人なんですがいいですか?」

店「ラストオーダー今日は10時だからあと30分しかないけどいい?」

俺「え・・・。でもまぁいいや。お願いします」

店「お1人様ご来店ー!」


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とりあえず入店と同時にラストオーダー30分前なので一気に生2杯と焼酎をハーフボトルで注文。1人でグビグビ飲み始めた。しかし1人、暇潰しにUさんへ電話するもでない。どうやら仕事中のようだ。DさんもYさんも電話には出ない。俺は嫌われているのだろうか。結局カウンターに居座り続け、閉店時間を30分以上過ぎた11時前に俺は再びホテルへと戻り、1人チューハイを飲みながらガイドブックを見ているとUさんから電話がかかってきた。

U「ちょっとー!急にどうしたの?仕事中だったよ」

俺「Uさんお久しぶりです!へへへへ」

U「なによ?なにかあったの?」

俺「実は俺今成田にいるんですよ」

U「は?マジで?」

俺「うん。明日からまた旅立つんだ」

U[えー。マジでー?こっちは毎日汗水垂らして仕事してるのにいい身分だなー」

俺「まぁまぁ、そう言わずに」

U「それで?どこにいくの?アメリカ?」

俺「うん。ニューヨークから北上してナイアガラ見て、それからカナダでオーロラの予定!」

U「うわぁーいいなぁー。マジでいいなぁー」

俺「あ、Uさんごめん、Yさんって旅仲間から電話だ。切るね」

U「え!?ちょっとちょっと・・」

ブツッ・・・・。

俺「もしもし!?」

Y「ぷら君!?久しぶりだね!どうしたの?」

俺「いや実はかくかくしかじかで」

Y「はぁ~、相変わらずだなぁ。君には随分苦しめられたからなぁ」

俺「そんなことないでしょー!?」

Y「まぁ、そう思ってるのは本人だけだよ。それよかやっぱサンダルで行くの?」

俺「勿論ですよ!これは俺のポリシーですからね!」

Y「ポリシーはいいけどオーロラ観測するような場所で裸足にサンダルは本当に無謀だと思うよ?俺アルゼンチンのウシュアイアってとこに行ったけど、スニーカーでも凍傷になるかと思ったもん」

俺「鍛え方の違いですよ」

Y「鍛えようがねぇじゃん。まぁいいや。とにかく気をつけて楽しんできてよ。成田にいるなら一緒に飲みたかったなぁ。帰ってくる時は連絡してよ。一杯やろう!オーロラの写真見せてね!楽しみにしてるよ!」

俺「分かりました!また連絡しますね!」

そして翌日、俺は実に3年ぶりにタイへと向かって旅立つのであった。

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長いことパー速でも連絡が出来ずに申し訳ありませんでした。書き込もうとするとエラーになってしまい書き込めなかったり、自分のPCの調子が悪くなったりでネット関係にはしばらくの間全く触っておりませんでした。

さて近況報告ですが、年末に戻ることが確定しましたのでご報告させていただきます!

具体的な日付はまだ正式には決まっておりませんが、20日前後に成田へ到着する予定で今のところ予定を組んでいます。わけあって今回は資金が十二分に余っているので残りの数日間は少しゆっくりしようと思っています。今回も情けないことに数々のトラブルに見舞われ、今自分自身でも途方に暮れています。正直早く日本に戻ってしまいたいです。

兎にも角にもあと数日、日本へ帰国してから報告がてら皆さんとお会いできるのを楽しみにしております!
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