世界中をぷらぷらしてきた

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慣れない環境からなのか、はたまた緊張からなのか、昨晩ろくに睡眠を取らなかったにも関わらず俺は朝の7時には目を覚ました。外気温-10度程もある韓国、オンドルというシステムで常に床はポカポカだが布団から出ると家の中だというのに凍えるような寒さであった。いつもなら二度寝するところだが何故か今日に限って目が冴え渡っている。しかし外に出ようにもリビングでリサパパと鉢合わせになっては敵わない。リサが来てくれるまで暇を潰そうにも暇つぶしの道具が何も無い。部屋を見渡しても目につくものは大きなピアノとタンスとドレッサーだけだ。




タンス!?




しかし韓国まで来てお縄になっては困る。俺は心の中で「リサ・・・早く来てくれ・・」と願い、延々と布団の中で丸くなっていた。結局のところ1時間経っても部屋のドアがノックされる事はなかった。ドアの外では足音や生活音が聞こえる。誰か起きている事には違いはないが、それがリサだという確証は無い。最悪リサママでもいいのだが言葉が全く通じないので困る。だが、そのうち徐々に尿意をもよおした俺は仕方なく部屋から出ることにした。

俺「も・・・モ~ニ~ン」

リサママ「おはようぷら~」

俺「・・・・・・・」

リサママ「・・・・・・」

駄目だ・・・次の言葉が通じない。

俺「あの・・・トイ・・レ・・・」

リサママ「どうぞ」

ああ、この部屋とトイレの個室間のなんと素晴らしいことか。人に触れ合わない事が非常に心細かった中東や東南アジアの出来事が嘘のようだ。必要以上に長いトイレを済ませて再びリビングに戻るとリサママが朝食の準備をしててくれていた。

リサママ「ぷら~?リサ、OK?」

俺「え!?そりゃもうOKですけど・・・」

リサママ「OK・・・OK・・・」

俺「嗚呼・・・何がOKなんだ・・・」

リサママ「ぷら?GO!GO!」

俺「へ!?ああ!リサを起こせってこと?」

リサママ「うんうん!」

俺「OK~!」

親公認の寝起きドッキリ許可を貰った俺は意気揚々とリサが眠っている寝室へ向かった。こっそりドアを開けると薄暗い部屋に寝息が聞こえる。どう見ても不自然ではあるし、リサパパに見つかったら刺殺されてしまいそうだが俺はソロリソロリとベッドへ近付いた。布団にスッポリ隠れて眠っているリサ。俺は殺されてもいいので一緒に布団に入ってしまいたかった。

その時、リサの目が開いた。

リサ「・・・・・・・・・・」

俺「・・・・・・・・・・・・」

互いに目が合う。リサは寝ぼけているのか状況がまだ飲み込めていないようだ。

リサ「・・・・・・・・・・・!?」

ガバッと起き上がり布団で顔の半分を隠すリサ。化粧をしていないので凄く子供っぽい顔に俺はまたキュンキュンになった。

俺「おはよう~!ママさんに起こして来てって言われてさ」

リサ「分かった・・起きるからリビングに行ってて・・」

俺「あい~」

リビングに戻り、リサを起こした事をリサママに伝えようとするとベランダで煙草を吸っているリサパパの姿が目に入った。

俺「あの・・リサ・・・起こしました・・」

リサママ「有り難う、ぷら?煙草、あっちね(全部ジェスチャー)」

俺「いやいやいや、大丈夫です」

リサパパ「おはよう」

俺「おおお・・おはようございます!!」

リサ「おは~よ~」

リサママ「ほら、早く座って。もうご飯できたわよ」

リサ「は~い。あ、ぷらはここね」

俺「あい」

リサママ「リサ?お兄ちゃん達も起こしてきて」

リサ「は~い」

こうして俺、リサ、リサパパ、リサママ、兄夫婦という6人での朝食が始まった。

俺以外「チャルモゲッスムニダ~(いただきま~す)」

俺「おおおう!?」

リサ「いただきますって意味だよ。ぷらもやってみて」

俺「ちゃるもげっすむにだ~」

リサママ「あははは、ぷら上手ね~」

リサパパ「ふん」

リサ「さ、食べよう。ぷら取ってあげるね」

俺「有り難う。これ何?」

リサ「うん?味噌スープとノリと漬物とキムチだよ~」

俺「おおお・・・なんか日本の味噌汁とは違って随分刺激的な味だね・・・」

リサ「そう?私これ凄い好きなんだ~」

俺「はぁ・・・このキムチは自家製?」

リサ「そだよ~。食べてみて」

俺「うん。頂きます。モグモグ・・・ブホッ・・・・」

リサ「キャー!!」

俺「ちょ・・・辛い・・・・」

リサママ「あはははははは」

リサパパ「・・・・」

俺「いや・・・その・・・スパイシー過ぎて・・・悪気は無いんです。リサ・・ごめん・・俺食えない・・・」

リサ「私も嫌い。辛いんだもん」

俺「そういやリサ・・韓国人なのに辛いの嫌いだったよね・・・」

リサ「私の友達も嫌いな子いっぱいいるよ~」

俺「韓国も時代は変わってるのね・・・」

結局、キムチの辛さで口の中が麻痺しほとんど朝食を食べられなかった俺はそのまま部屋に戻り、昨晩言っていた民族村という所へリサ、リサ兄夫婦と4人で向かう事になった。リサママ、リサパパに見送られてマンションから出ると外は一面の銀世界であった。

リサ兄「どう?韓国は寒いでしょ?」

俺「ああ・・はい。こんなに雪があってビックリしました」

リサ兄「これでも今年は少ないほうなんだよ。じゃ、車持ってくるから待っててね」

俺「はい」

そして俺達はリサ兄の運転で一路民族村を目指す事となった。旧暦とは言え元旦である。道路に車の姿はほとんどなく、改めて今日が正月なんだという気持ちになった。つい1ヶ月前に日本で正月を迎えている俺にとっては凄く不思議な感じであった。都市部ではどうなのか分からないが、印象としては家族で厳かに過ごすといった印象を俺は受けた。


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リサ兄「着いたぞ~。あ、ぷら君はお金いいからね。お客さんだから」

俺「いや、俺も払いますよ」

リサ兄「いいのいいの!」

俺「ありがとう~」

民族村とは古き韓国の文化を体験できる場所であった。通常訪れた事がないので何とも言えないが、中に入ると大勢の人が凍った池の上でソリで遊んでいたり、独楽を回していたり、イメージすると昭和初期の頃の日本と然程変わりないような風景が見れた。

俺「へぇ~、なんか昔の日本みたい」

リサ「日本も昔はこんな感じだったの?」

俺「そだね」

その後、民族村内部を4人で歩き回るとあっという間にお昼になってしまった。

リサ兄「お、電話だ。もしもし・・?うん、うん・・・分かった」

リサ姉「どうしたの?」

リサ兄「俺の従兄弟がいるんだけど今丁度家に来たみたいなんだよ。でも俺達がここに居るって言ったら今から来るって。昼飯奢れってことだろ・・・まったくよ~」

リサ「じゃあ何か食べて待ってよ~。私ぷらと一緒に席取っておくね」

リサ兄「はいはい。じゃ、何か買ってくるよ」

リサ兄は食べ物を買いに出かけ、俺とリサのみで席を確保する事となった。

リサ「ぷら、私もちょっと食べるもの買ってきていい?」

俺「へ?でもお兄ちゃんが・・・」

リサ「大丈夫だからここで待ってて」

俺「うん」

数分後、リサが持ってきたのは酒であった。

リサ「はい!」

俺「ちょwwwはいってwwこれなに?」

リサ「マッコリだよ!韓国のお酒なの!Uちゃんが、ぷらにはこれだけ出してれば大丈夫って・・」

俺「Uwwwさwwwんwwww」

リサ「これ飲んでてね!私はオレンジジュース!」

俺「じゃ、せっかくなので謹んでいただきます!」


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それから数時間、俺の記憶は曖昧である。リサの従兄弟が合流し、一緒に飲んでいたところまでしか記憶が無く、気がつくと見知らぬ店のソファーで俺は爆睡していたのであった。

俺「う・・・うん・・・」

リサ「ぷら!?大丈夫!?」

俺「ここは・・・?」

リサ「ここはお母さんのお店だよ」

俺「へ?お母さん?」

リサ「そう~。今朝も言ったけどお父さんはお母さんが外で働くのを良く思わないんだ~。でもお母さんだってずっと家の中にいたら窮屈だから、息抜きで趣味のお店をオープンさせたの。これはお父さんには秘密だよ?」

俺「ああ・・・そうなんだ・・・。で・・・?この店って?」

リサ「レストランだよ~」

俺「マジ?凄いじゃん!」

リサママ「ぷら~?起きた~?はい、特製チゲ鍋!」


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俺「ちょwwwwこれまた寝起きには厳しい攻撃的な色だね・・・」

リサママ「さぁ、食べて!温まるわよ!」

俺「リサ・・・リサも食べなよ」

リサ「私は辛いのは・・・」

俺「やっぱ辛いのか・・・。じゃ、一口だけ・・・ズズッ」



ブハッ!!!!



リサ「キャー!!!!」


俺「リサママ・・・。こ・・・これ・・・」

リサママ「大丈夫そんな変な味かしら・・どれ・・。ふんふん、美味しいじゃない」

俺「えええ・・・・・?マジで・・・?辛いよ~」

リサママ「男の子なんだから我慢して食べなさい」

俺「ううう・・・・」

リサ「ぷら!はい!ビール!」

俺「ちょwwwwリサwwww泡だけじゃんwww」

リサママ「あんた!勝手に店のもの触らないの!!」

俺「いやいや、大丈夫!いただきます」

それから2時間程お店に滞在し、再びベロンベロンとなった俺なのであった。

リサママ「ぷら?」

俺「あい」

リサママ「リサもいるし、お父さんが心配するから先にマンションに戻ってもらっていいかしら?」

俺「ああ・・・はい!」

リサママ「お父さんは本当にリサの事大切にしてるから心配するのよ」

俺「はぁ・・分かる気がします」

リサ「じゃあタクシーで帰ろう~!」

リサママ「ちょっと待って!」

俺「へ?」


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リサママ「これ、家でお父さんと飲みなさい」

俺「ちょっとwwwサーバーからペットボトルに生ビールとかwww」

リサママ「はい」

俺「有り難うございます」

リサ「ねぇ~?お父さんからメールきてた。早く戻ろう~?また機嫌悪くなっちゃうよ~」


そしてまた・・・地獄が始まるのであった。
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お通夜のような深夜の晩餐を終え、俺は部屋へ戻った。完全にアウェーな雰囲気ではあったが、こうして個室があるだけでもありがたい。俺はベッドに横になった。既に時刻は深夜の1時を回っている。

「はぁ・・・明日は何をするんだろう」

少し気重な感じで寝転がっていると無性にトイレに行きたくなってきた。考えてみれば随分ビールを飲んだ。しかしトイレに行くにはリビングを通らなければならない。だが我慢するのは不可能だ。俺は仕方なしにリサがまだリビングにいると信じ、部屋から出た。左を振り向きリビングを確認すると、そこにはリサの姿はなく、リサパパがウィスキーをチビチビやっているだけであった・・・。

俺「は・・・はぁ~い。あの・・・トイレ・・・」

リサパパ「・・・・・」

リサパパは何も言わずに後ろにあるドアを指差した。トイレに入り用をたす。こんな重苦しい雰囲気ではウ○コすら出来ないではないか。俺は誓った。絶対に婿になど行かないと。

用を済ませ外に出るとトイレの前にリサが待っていた。

リサ「ぷら、このままシャワー浴びちゃって」

俺「え?今日はいいよ」

リサ「駄目だよ。バスタオルとかここに置いとくね」

俺「えええ・・・ああ・・・はい」

俺は再び扉の中に入りシャワーを浴びる事にした。意味も無く念入りに股間を洗い、リサが使っているシャンプーだと意気込んで洗っていたが、考えてみるとリサパパも同じものを使っているのだなと思うとゲンナリした。わずか5分程度のシャワーを終え、体を拭いていると扉一枚挟んだリビングがなにやら随分と騒がしい。シマウマ柄のパジャマに身を包んだ俺はそのままそっと扉を開けた。

リサ「ビックリしたよ~!!」

リサママ「よく来たわね!!」

リサパパ「おかえり」

俺「あの・・・」

リサ「ぷら!こちら私のお兄ちゃん!そしてこっちがお嫁さんだよ!」

俺「え・・・?なんでこんな時間に・・」

リサ「泊まるって言っといて驚かせようと帰ってきたんだって~!」

俺「ああ・・・あの・・はじめまして。ぷらと申します」

リサ兄「はじめまして」

リサ姉「こんばんわ、こんな時間にビックリさせちゃったわよね」

俺「おおお!英語!!」

リサ「そうそう、2人とも英語の先生なんだよ~」

俺「へぇ~」

謹賀新年に加え、新婚旅行から戻った家族がいる所に突然お邪魔してしまい浮いている俺だが、今まで会話の中心が俺であったのが新婚旅行から戻った兄とお嫁さんに移ってくれるのは非常に有難かった。

リサ兄「父さん、飲もうよ!これ買ってきたんだ」

リサパパ「おお、よしよし、じゃあ皆で飲もうか」

俺「わ~い」

リサパパ「君は疲れてるんだから早く寝なさい」

俺「は・・・・はい」

リサ「ちょっと!別にいいじゃん!!」

リサパパ「なに!?大体だなぁ・・・」

俺「はわわわわ・・・寝ます!僕寝ます!!すぐ寝ます!!!」

リサ「ぷら大丈夫だよ!いいから飲もう!」

俺「いや、パパさんも家族水入らずで過ごしたいだろうしさ、俺は寝るよ!」

リサ「あ~もう。気分悪い。せっかく楽しかったのに」

リサ兄「ぷら君だっけ?いいから一緒に飲もうよ。ほら、お父さんも」

リサパパ「む・・・うむ」

俺「いや・・・あの・・・」

リサ兄「はい」

俺「有り難う・・・」

その後、家族+αでの飲み会が始まったが会話の9割がハングルな為に俺は一杯だけ戴き、布団に入る事にした。リビングではまだ随分と盛り上がっている。今俺がなんでここに居るのかを必死で考え、そして明日からの事を考えて俺は目を瞑った。最悪明日から釜山に行くと言えばいい。どう考えても旧暦とは言え正月の元旦早々にお邪魔するのは失礼にあたるだろう。まして兄夫婦が新婚旅行から戻ってきたばかりだ。家族水入らずを邪魔することはできない。そんな事を考えていた時だった。

コンコン

俺「!?」

コンコン

俺「はい!」

リサ「ぷら?もう寝た?」

俺「あ・・大丈夫だよ」

リサ「入っていい?」

俺「うん」

リサ「さっきはごめんね」

俺「いや、全然大丈夫だよ」

リサ「本当にお父さんムカつくんだよね」

俺「そんな・・当然だよ」

リサ「ううん。うちのお父さんは昔の韓国人と同じ古い考えの人なんだよ。お母さんは専業で家で働けって言われてるしさ、私もピアス開けただけで怒られたし。だから私もお母さんもお父さんを嫌いなの」

俺「まぁねぇ・・どこの国でも同じなんだねぇ・・・」

リサ「うん!だからお父さんとか関係ないから何言われても気にしないでね」

俺「有り難う」

リサ「それで明日なにする?」

俺「明日・・・あのさ・・実は俺釜山に行こうと思うんだよね」

リサ「え!?」

俺「ほら、本当に変な意味じゃなくて最初から釜山に行ってみたいって言ってたじゃん?」

リサ「だって釜山は遠いよ?」

俺「うん。だからさ、ちょっとブラブラしてくるから、戻ったらまたソウル辺り・・・で・・・」

リサ「グスッ・・・ヒック・・・・」

俺「ちょちょ・・・・・」

リサ「お父さんのせいだ・・・」

俺「いやいやいや!!!そんな事ないよ!!誰も悪くない!悪いのは俺だよ!!」

リサ「ちょっと言ってくる」

俺「待って待って!ストップ!!ウェイト!!!」

リサ「明日ね・・お兄ちゃんとお姉ちゃんがどこか連れてってくれるって言うからさ・・・」

俺「うんうん」

リサ「それでね・・・ぷらも一緒にって言ってくれたから今来たんだけどね・・・」

俺うんうん」

リサ「でも・・ぷらは行かないって・・」

俺「いやいや行くよ!行きますよ!喜んで行きますよ!」

リサ「本当!?」

俺「うん!お世話になります!」

リサ「じゃあ明日は9時ね!」

俺「あい・・・」

リサ「明日はお正月でお祝いだから、お正月っぽい所にいこうね」

俺「あい・・・」


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翌日、賀正民族村へリサ兄、リサ姉、俺、リサ従兄弟と行くこと決定。
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リサ、リサママに続いてマンションのエレベーターへと乗り込む。俺は一体何をしているのだろうか。今日はソウル市内の安宿に宿泊し、明日はプサンまでの列車のチケットでも購入しようかと思っていたはずではないか。それなのに・・・何故今リサの実家のマンションのエレベーターに乗り込んでいる?リサとリサママは韓国語でペラペラと何かを話しており、その内容は俺には全く伝わらないが、時折「ぷら」という言葉が出ると俺はやたらと緊張をした。

そして運命の時が訪れる。玄関の前まできたのだ。

俺「あの・・リサ・・?」

リサ「うん?」

俺「いっぱい聞きたい事があるんだけどいい?」

リサ「なに?」

俺「まずさ、この飾り・・どうしたの?」

玄関のドアの前には凄い数のカラフルな風船がちりばめられており、手書きで書かれたハングルのプラカードらしきものがあちこちにある。これはどう見ても普通のお宅の玄関じゃない。

リサ「さっき言ったでしょ?今日はお兄ちゃんとお嫁さんがハネムーンから帰ってくるの。そのお祝いなんだよ」

俺「うん・・・分かった。それは分かったよ。でね、そこに俺が居ていいわけ?」

リサ「いいでしょ?」

俺「いやいやいや、絶対におかしいでしょwwwだってさ、お兄ちゃんとかお嫁さんの話って俺今さっき聞いたばっかだし、お兄ちゃんもお嫁さんも俺が誰だか分からないわけでしょ?それに加えて俺がここに居るなんて想像だにしてないわけでしょ?」

リサ「うん!でもお兄ちゃん優しいし、日本で言うオタクだから大丈夫だよ!」

俺「大丈夫じゃねぇよwwwあとさ、お父さんはどこに?」

リサ「中にいるはずだよ?お父さんと私、あんまり仲良しじゃないからさ~」

俺「ほらほらほらほらwwねぇリサ、お父さんには今俺がここにいるって話してあるの?」

リサ「うん、お母さんと一緒に友達迎えに行ってくるって話したよ」

俺「情報不足www多分お父さんはその辺の女友達としか思ってないよww」

リサ「でも嘘じゃないじゃん?」

俺「嘘じゃないけどさ、突然こんな深夜に、しかも自分の息子夫婦が新婚旅行から戻ってくるのに娘が南米で知り合った外国人の男連れてきたら親父キレるっしょ!?」

リサ「わかんな~い」

俺「わかるwww」

リサママ「ぷら、寒いから早く入るよ」

俺「あわわわわ・・・・」

リサ「ただいま~」

リサが勢いよく玄関のドアを開けるとリサパパが笑顔ですっ飛んできた。息子夫婦が戻ってきたと思ったのだろうか、それとも最愛の娘が仲の良い友人を連れて戻ってきたと思ったからだろうか。とにかく一瞬ではあったがリサパパは最高の笑顔で出迎えてくれた。

しかし、俺を発見するやその表情は徐々に鬼の表情へと変化した。

リサパパ「誰だこいつは?」

俺「あ・・・あの・・・はじめまして・・南米で知り合いになったぷらぷ・・・」

リサ「ぷら、お父さんは英語分からないから私が説明するね」

俺「ぷらぷ・・らと・・申し・・・」

リサ「ただいま~!友達連れてきたよ!」

リサパパ「友達?日本人か?」

リサ「うん!今日から10日位ここに泊まるから宜しくね!」

俺&リサパパ「え!?」

リサ「ぷら?ぷらが使う部屋に案内するね。荷物持ってこっちきて~」

俺「ちょちょ・・・リサ・・・10日位って・・ここに!?ええええ!?」

リサ「早く早く!」


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こうして俺が案内された部屋はリサの部屋であった。

俺「ここ・・リサの部屋?」

リサ「そだよ~!ぷらが泊まってる間私はお母さんと寝るから好きに使ってね!」

俺「あの・・・」

リサ「トイレはこっちね」

俺「はい・・・」

リサ「そうだ、ぷらお腹減ってない?」

俺「大丈夫だけ・・  リサ「ビール買いに行こう!ぷら好きでしょ?」

俺は考えた悠長にビールなんぞ飲んでる場合ではない。しかしここで今ビールを買いに行く事によってリサと2人の時間が作れる。今後の韓国滞在の為にもここはひとつ色々聞いておいた方が良さそうだ。

俺「OK、行こう!」

リサ「うん!ねえ~?ぷらとビール買いに行ってくるね!お父さんも飲むでしょ?」

リサパパ「俺はいらん」

俺「はわわわわ・・・」

リサ「大丈夫!買ってくれば飲むよ」

こうして俺はリサとマンションの近くにある酒屋へ向かった。

俺「ねぇ、聞きたいことだらけなんだけどいい?」

リサ「うん!」

俺「今さ、もう夜中の12時じゃん?お兄ちゃん達今から来るの?」

リサ「予定ではそうだよ。まずは奥さん側の家に挨拶しに行ってるはずだから遅くなるって言ってたし」

俺「そっか・・・。ではもうひとつ。あの・・俺・・・10日ってか・・・」

リサ「気にしなくて大丈夫だよ!私もね、オーストラリアで会った仲良しの女友達がいるんだけど、1年位前にその子のところに遊びに行ったんだ!日本の名前は何か忘れちゃったけど、その子の家にお世話になって凄く楽しかったの!だから私も絶対日本の友達が遊びに来たらいっぱい親切にしようって決めてるんだ!この前はオーストラリアで会ったイギリス人も泊まってたから大丈夫だよ!気にしないで!」

俺「その人は女の人?男の人?」

リサ「女の子2人だよ?なんで?」

俺「・・・・。ううん・・・・」

これは特になにもなく、普通にリサの親切心なのだろうか。しかしそうは言ってもこれから10日程この家に滞在するのはいかがなもんなんだ・・・。釜山はどうなった?韓国縦断の話はどうなった?リサと2人きりの夢の旅路はどこへ行った?」

俺「リサ?俺ね・・その・・釜山にも行きたいのね・・?」

リサ「釜山~?つまんないよ~!ソウルも見るところいっぱいあるよ!あとね~、私の地元の友達に声かけておいたから、こっちに居る間皆で遊ぼうよ!皆女の子だからぷら人気者になれるよww」

俺「ちょwww今後の予定までしっかりとwww」

リサ「よし!ビールも買ったし寒いから戻ろう~!あ、それとぷら煙草吸うよね?お母さんが煙草嫌いだからさ、吸うときはベランダでお願いしていいかな?ごめんね><」

俺「それは全然OKだよ!勿論!」

リサ「じゃ、寒いし走って戻ろう~!」


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2Lのビールを抱え、俺はリサ宅へ戻った。

リサママ「ねぇ~?お兄ちゃん達今日奥さんの家に泊まる事になったから明日顔を出すって~」

リサ「ええ~!?楽しみにしてたのに~」

リサママ「ねぇ~。仕方ないから皆で何か食べましょ。ぷらもお腹空いてるでしょ?」

リサ「ぷら?私お母さんと何か作るからリビングでお父さんと飲んでて~!スグ戻るね」

俺「ギャ~!!!2人にしないで~!!!」

リサ「後でね~!^^ノシ」

ふと視線をリビングに移すとリサパパが空のグラスを2つ持ち、床に腰を降ろした。そして視線をこちらへ向け俺に「来い」と言っている。

俺「はわわわ・・・」

俺は恐る恐るリビングへ向かった。

リサパパ「ぷら君って言うのか?」

俺「はい・・ぷらと申します」

リサパパ「ペラペラペラペラ?」

俺「え・・・?」

リサパパ「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ」

俺「リサー!!!!リサー!!!!!」

リサ「なに?」

俺「何言ってるか全然わかんねぇ!!!」

リサ「簡単な単語だったら分かるから、それで話してて!あと今ジャージャー麺の出前頼んだよ^^」

俺「なんでもいいから早く~><」

リサパパ「オホン!まぁ飲みなさい」

俺「ああ・・・いただきます」

俺(おかしい・・・ビールが全然旨くないぞ・・・むしろ味すら感じられない・・)

リサパパ「オホン!!!」

俺「はわわわ・・・ああ!!ど・・・どうぞ・・・」

やばい・・・会話にならない。そもそも俺が韓国語をいくら勉強してきたと言っても「はじめまして」や「私の名前は~です」や「美味しい!」「有り難う!」「どういたしまして!」などのこちらから一方的に話す言葉だけである。到底会話にすらならない。

しかしここで俺は思い出した。お土産があるではないか。ここは一つ気遣いも出来る優秀な日本人をアピールしといた方がよかろう。俺はリサパパに「ちょっと待って」とジェスチャーをかますと部屋へ土産を取りに向かった。あの時、成田でUちゃんに電話をしておいて本当に良かった。

俺「あの・・・これつまらないものですが・・・」

リサパパ「なんだいこれは?」

俺「お土産です。ジャパニーズクオリティです!お納めください」

リサパパ「有り難う」

おおおお!ほら!少しではあるが打ち解けたぞ!ナイス!!ナイスだUちゃん!!

リサパパ「リサ~?お土産を貰ったぞ!」

リサ「本当!?やった~!お父さん開けてみてよ」

リサパパ「うむ」

ガサゴソ

リサパパ「・・・・。これは・・・なんだい?」

俺「あの・・・胃腸薬に下痢止め、風邪薬、のど飴、ハイクオリティーな日本の薬達でございます」

リサパパ「・・・・・・・・・。リサ?」

リサ「も~!なんなの!?」

リサパパ「薬だ」

リサ「ちょwwwぷらwwwなにこれwww」

俺「え・・・?薬だけど・・・」

リサ「なんで薬なのwwwww」

俺「え・・だってUちゃんが・・・」

リサパパ「うちに病人はおらん!!!!!」

俺「フギャー」

リサ「ぷら・・とりあえずご飯できたし・・飲もうか・・・」

俺「あい・・・」

その後、リサパパ、リサママ、リサ、俺と4人でTVもつけずに物静かな晩餐会が始まった。何を話せばいいんだ・・・。なんだこの静けさは・・・トイレ行きたいけど食事中に行ったら失礼なのか?煙草吸いたい・・・帰りたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

こうして、いつしか俺の当初の予定である「韓国大好きなリサと2人でラブラブ縦断ツアー」は「地獄の10日間耐久ホームステイ」へと変貌を遂げたのであった。
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飛行機から降り立った俺は荷物を受け取るべくベルトコンベアーの上を流れてくる荷物をボーっと眺めながら考えていた。とりわけ必ず俺は旅行というか、旅が始まり異国の地の空港にくると少なからず緊張をする。しかし例外なくその緊張はいずれ訪れる数々の奇跡や、うっとりする程の風景などを見たときに薄れ去ってしまうものである。これからこの韓国でどのような事が俺の身に起こるのか今はまだ想像だに出来なかったが、少しの不安と、リサと再会出来るという希望で俺の胸はいっぱいになっていた。ベルトコンベアーの周りから同じ機内に乗っていた人が少しずつ自分の荷物を引き取り、外へ出て行き、辺りに自分の姿しか無くなった時に初めて今回はバックパックではなくキャリーバックで来たのだということを思い出し荷物を引き取った。

実は韓国に来るのは2度目である。1回は友人と某大手旅行代理店の格安ツアーで1泊3日の弾丸ツアー9800円で来た事がある。その時は寝不足やら無計画やらでろくに観光をすることは出来なかった。ただ焼肉を食って帰国しただけである。しかしながら結構覚えているもので、空港の出口を出たとき、どことなく記憶がよみがえってきた。

俺はまずリサに連絡を入れる事にした。母の携帯電話を借りているとは言え、今韓国に来たという事を伝えておかなければならない。今思うと随分無計画な事をしたものだと思うが、俺はこの時点で韓国に来るという事はメールで伝えてはいたが、出来ればリサと一緒に南の釜山まで観光したいという旨は伝えてはいなかった。携帯電話でリサの携帯に連絡をする。

プルルルルルル・・・・・



プルルルルルルルルル・・・・


しかしいくら呼べどリサは電話に出なかった。こうなったら仕方が無い。連絡先は伝えてあるし、携帯電話の充電も十分にある。今回はぬかりない。まずは市街地に出る事にした。空港のツーリストインフォメーションでソウルまでのバス乗り場を教えて貰う。

俺「あの、ソウル市内まで行きたいんですけどどうすればいいの?」

受付「そこを出て○○番のバスに乗れば大丈夫よ」

俺「ありがとう。それと、ソウルから釜山まで行く方法はまたソウル市内で尋ねた方がいいの・・・」


タ~ララッタタララ~タラ~ラ~♪


その時、俺の携帯電話から着信を知らせる音であるスペランカーのテーマが鳴り響いた。

俺「あ・・電話・・ちょっと待って下さい。もしもし?」

リサ「ぷら!?」

俺「おおおお!!リサ!!ぷらだよ!!」

リサ「ビックリした!気付かなかったの、ごめんね」

俺「ううん!大丈夫だよ」

リサ「どうしたの?」

俺「へへへへ、実はね・・今インチョンにいるんだよ」

リサ「え!?」

俺「インチョン。俺今韓国にいるんだ!」

リサ「本当に!?」

俺「うん!2週間位は色々観光してるからさ、もし良かったらリサと会える日ないかな?」

リサ「本当に今韓国なの!?」

俺「うん!本当だよwで、それまで俺ブラブラしながら釜山とかまで観光しえくるから、俺の希望だけどソウルに戻ったらソウルで会わない?あれ?てかリサってどこに住んでるの?」

リサ「凄い!凄い!!やったぁ~!!ちょっと待っててね!空港に居るんでしょ!?」

俺「え・・・?うん」

リサ「そのままちょっと待っててね!!   ガチャ」

リサはそう言い、電話は切れた。

なんだ?この近辺に住んでいるのか?時計を見ると夕方4時過ぎだ。市内まではここから1時間程度はかかるのでスグにでも移動したかったが「待って」と言われたら待つしかないだろう。俺は1人、空港内でリサから電話があるのを待った。コンビニでジュースを買い、外で煙草を吸い、空港内を隅から隅まで3往復はしただろう。実に3時間以上の時間が経過していた。いい加減これ以上待つことは出来ない。ってかどうしたんだ!?不安になってきた俺は再びリサの携帯に何度も何度も電話をした。しかしリサが電話に出る事はなかった。

時計の針が夜の8時を示そうとしている。俺は遂に諦め、空港を出てソウル市内へ向かうことにした。インフォメーションで教えて貰ったバス乗り場へ向かうと次のバスが出発するまでに30分程の空き時間がある。ソウル市内に到着するのは夜の9時を過ぎてしまいそうだ。しかし韓国は治安もいいし問題は無い。安宿が見つけられなくても激安のビジネスホテルはどこにでもあるだろう。俺はバスのチケットを購入すると、最後にもう1度だけリサに電話をかけてみた。しかし、今度は圏外であった。

まぁ仕方が無い。何かあったらまた連絡がくるだろう。バス乗り場目の前のベンチに腰掛、韓国に到着してから何本目か分からない程に吸った煙草を半分で消した俺は空港内へと戻った。とにかく寒過ぎるのである。東北地方出身の俺でも凍えるほどの気温。一体何度あるのだろうか?氷点下は間違いない。俺は空港内でバス出発の時間まで待機する事にした。イミグレーション後の出口からは世界各国からの旅行者や韓国に戻る人々がどんどんと出てくる。そんな人達を見ていた時だった。


リサ「ぷら~!!!!!!」


俺「!!!!!」

突然後方から抱きつかれた。

俺「え!?はぁ!?リサ!?」

リサ「ごめんね、道路が渋滞してて来るの遅れちゃったの」

俺「え!?迎えに来てくれたの?」

リサ「そうだよ!でも会えて良かったよ~」

俺「ここからリサの住んでる所は近いの?」

リサ「本当はね、車でも1時間くらいなの。でも今日は3時間以上かかっちゃった。だから・・・ぷらが待ってるか凄い不安だったんだよ。どこのゲートにいるか分からないから、お母さんと反対方向から探したんだよ」

俺「へ?」

リサ「あ、いたいた!ほらこっちだよ~!」

俺「え!?あれリサのお母さん?」

リサ「うん!リサ車運転下手なんだ!道路は凍ってるからお母さんに運転して貰ったの」

俺「ちょwwwってかお母さんと俺初対面なのにどうやってお母さん俺を見つけようとしたんだよww」

リサ「とにかく良かった~。あ、行こ?」

俺「どどどこに!?」

リサ「車だよ」

俺はリサに強引に連れられ、地下の駐車場へと向かった。

リサ「はい、乗って」

俺「あい」

リサ「お母さん?ぷらだよ~」

リサママ「は~い、ぷら~?」

俺「おおお、お母さん社交的ですねwはじめまして、ぷらです」

リサ「凄い韓国語じゃん!」

俺「少しは勉強したんだよ。まだ全然会話にならないけどねw意思は簡単に伝えられるようになったよ」

リサ「凄いじゃ~ん!」

俺とリサとリサママ、奇妙な3人を乗せた車はテカテカと凍りついている道をスイスイ進んでいった。

リサママ「ぺらぺらぺらぺら」

リサ「ぷら?お母さんが疲れただろうから寝てなさいだって」

俺「え?大丈夫だよ。有り難う」

リサママ「ぺらぺらぺら」

リサ「渋滞してるし、ここから3時間はかかるから本当に寝ててだってさ」

俺「うん、てかなんでこんなに混んでるの?」

リサ「だって今日からお正月だもん~!」

俺「へ?だって1月も終わりじゃん」

リサ「ううん、韓国は1月末に皆盛大にやるんだよ。だから今日から3日間はお店とかも休み多いし、帰省ラッシュで道路とかも凄く混むんだ」

俺「マジで?俺何も知らないで来ちゃったよ・・・」

リサ「だと思ったよwだから凄くビックリしたんだよ~!」

俺「はぁ・・・どうしよう・・・ホテルとか空いてるかなぁ?」

リサ「ホテル?なんで?」

俺「いやだってさ、宿を決めないと・・・」

リサ「何言ってるの?今家に向かってるんだよ」

俺「へ!?」

リサ「先週ね、私のお兄ちゃんが結婚したんだ。今新婚旅行に行ってるんだけど、今日帰ってくるの。親戚も来てお祝いするからさ、ぷらも一緒にお祝いしよう」

俺「ちょちょちょちょww」

リサ「さ~、もうスグ我が家だよ~」


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リサの家はマンションだった。リサパパ、リサママ、リサ、兄夫婦で過ごしている。俺は・・・よく分からないうちに・・・韓国文化の元旦早々にハネムーン帰りの兄夫婦、何も知らされていないリサパパ、その家にお邪魔する事となった・・・。
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南米から戻った俺は・・・日々うなだれていた。まず12時間という時差ぼけによる昼夜逆転の生活。初夏の南米から真冬の日本へ帰国したことへのギャップ。そして、相変らずの1人寂しい日々を部屋で送っていた。目を瞑るとほんの数日前にいた南米の記憶がよみがえってくるが、全くと言っていいほど実感がない。昼前に眠り、夕方目を覚ます。静まり返ったTVも何も無い部屋でいつも俺がすることは南米で撮影した無数の写真を眺めることだけだった。確かにあの時、俺は南米の地に立っていた。それを証明する写真も手元にある。しかし、その写真に写っている自分は合成で後からはめ込まれたように感じられた。とにかく、空しく・・・寂しかった。

帰国してから1週間、時差ぼけも治ってきた頃にPCに1通のメールが届いた。相手はPちゃんだった。Pちゃんは親戚が偶然にも俺の住んでいる県に居るらしく、帰国後土産を持って遊びに来るとのことだった。その時、もし時間が合えば一緒に飲もうよというメールだった。俺の心は躍った。それからは日々Pちゃんと遇える日だけを楽しみに過ごしていた。仕事も無いので売れる物をとにかく某オークションに片っ端から出品した。これはPちゃんと遊ぶお金欲しさでもあったし、同時にリサに会いに行く為のものでもあった。

それからしばらく経ち、年の瀬も迫った頃Pちゃんはやってきた。待ち合わせの場所まで向かい、Pちゃんと久々の再会をする。実にブラジルのリオ以来の再会であった。最初どこにPちゃんが居るか俺は全く分からなかった。化粧をしていて、服装もスカートで女の子っぽくなっていたPちゃんを俺は別人だと思っていたのだった。

P「ぷら君~!ちょっと!ここだよ!」

俺「え!?え!?Pちゃん!!うわぁ!!Pちゃんだ!」

P「なにその反応・・・女の子っぽくて驚いた?」

俺「うん、正直ビックリしたよ!」

P「しかし君の住んでいる所はこんなに寒いんだね~。南米とはえらい違いだよね」

俺「うん、俺も帰ってきて改めてビックリしたよ。とりあえず、飲み・・いこっか」

P「そだね」

俺とPちゃんは待ち合わせ場所からそれ程遠くない1件の居酒屋へ入った。

P「それじゃ、再会を祝して乾杯~!」

俺「乾杯~!!」

P「ふぅ、それでそれで?あの後どうだったの?」

俺「あの後ねぇ・・・」

俺はPちゃんと別れてから起こった事を事細かに話した。Yさんとの出会い、ウユニでの高山病、ボリビアのデモ、マチュピチュ、そして・・・リサとの再会。

P「へぇ~!色々あったんだね!」

俺「でもさ~、なんか帰国して放心状態続いてるんだよね。リサに会いに行きたいからってお金に少しだけ余裕を持って帰国したものの、今思うと勿体無い事したかなって思ってるんだよね・・・」

P「まぁ、韓国みたいに『ちょっと南米行ってくる』ってはならないもんねぇ」

俺「そうなんだよ~」

P「で、リサちゃんとは連絡取ってるの?」

俺「それがね・・・」

実は帰国してから1度もリサとメールを取ってはいなかった。せっかく南米旅行を楽しんでいるのに、一足先に帰った俺なんかからメールが来ても楽しめないと思ったからだ。リサは年内に韓国に戻り、家族と新年を迎えたいと言っていたので、きっと年内にはメールがあるはずである。俺はそれまで待とうと決めていたのだ。その夜、1件の居酒屋に閉店まで居座り、俺とPちゃんは盛り上がった。その後、Pちゃんは親戚が迎えに来てくれるとの事なので店の前で俺とPちゃんは別れた。

それから更に1週間程した頃だろうか。予想に反してUさんからメールが届いた。他愛も無いメールだったが、そのメールでリサとUさんが帰国した事を俺は知った。そのメールには日本でのUさんの携帯電話番号とメールアドレスが書かれたいた。メールを確認した晩、俺はUさんに電話してみることにした。

俺「もしもし・・?」

U「はい」

俺「ぷらです」

U「ぷら君?!久しぶり~!元気だった?」

俺「うん、そこそこ元気だったよ!リサは?」

U「スグその話かい・・変わってないね君も~」

俺「まぁ・・・ねぇ・・・そればっかりが気がかりでさw」

U「リサね~、怒ってたよ」

俺「へ!?」

U「全然ぷらからメール来ないって言ってたよ。本当に韓国に遊びに来るのかって」

俺「うわぁ・・俺旅行中は迷惑だろうからってメールしなかったんだよね・・・」

U「そんなの関係ないじゃ~ん。君だって毎日旅行中にメールチェックしてたんでしょ?」

俺「そういえば・・・・」

U「なら別にいいじゃないのよ。じゃ、これからメールしてみなよ。リサはもう韓国にいるはずだよ」

俺「分かった!!有り難う!!」

U「ちょっと!韓国行ったら土産話きかせ・・・ガチャ」

俺は電話を切った。

急いでメールを作る。

「リサ、お久しぶり!ぷらだよ。もう韓国にいるの?マジで遊びに行っちゃうよ!?」

そんな感じのメールを送った。リサからは翌日すぐに返事があった。それから毎日、俺はリサとメールのやりとりをした。そして1月中に遊びに行くとリサに伝え、OKの返事を貰った。そして年が明け、新年を迎えた。

流石に正月も早々から韓国に行くのは気が引ける。リサはリサで予定があるだろう。俺は考えた結果、1月の末に韓国へ行くことを決めた。その後早速本屋へ向かい「地球の歩き方韓国」を購入し、ソウルの安宿や相場などを調べる。今回はそれほど長期の予定ではない。バックパックは持って行かなくていいだろう。チケットは安いもので2週間オープンのものを購入。俺は1月26日に韓国へ飛ぶことを決めた。予定のルートではソウルを観光し、釜山まで南下し、更にソウルに戻りリサと再会する。そんな予定だった。

もしかしたらリサも一緒に釜山まで行ってくれるかもしれない。そしたら2人で韓国を旅行できる。これは楽しみだ。1月はもう半ば浮かれ気分でずっと過ごしていた。そして、運命の26日を迎えた。

俺「もっしも~し」

U「はい」

俺「テンション低いね~?どしたの~?」

U「そっちこそなんでそんなにハイテンションなのよ?もしかして今韓国帰りとか?」

俺「いや、これから行くの」

U「マジで?いいなぁ~。私なんか仕事探さないとと思って日々職安に通う日々だよ・・」

俺「へへへへ、頑張ってくだせぇ!」

U「あ~いいなぁ~。リサによろしく伝えてね~」

俺「うん!そうだ、何か成田でお土産買っていこうと思うんだけど何がいいんだろう?」

U「なんでも喜ぶんじゃない?」

俺「う~ん」

U「なんか韓国人って日本の薬好きらしいよ」

俺「へ?薬?」

U「うん。日本の薬は品質がいいからって貰うと凄く喜ぶんだって」

俺「へぇ~!でも土産に薬って変じゃない?」

U「大丈夫じゃない?リサだし。それともお茶とか買っていくの?」

俺「お茶・・・ねぇ・・・飲まなそうだよね?」

U「うん。あいつは角砂糖10個位入れたドロドロのコーヒーが大好きだしね」

俺「薬か・・・有り難う!!そうする!」

U「あ~!ちゃんと韓国から私にもお土産買ってきてよ~!!」

俺「覚えてたらね!」

U「あのね、女の子は肌が大事だからBBクリー   ガチャ」

俺は電話を切り、早速薬局へ向かった。正露丸に頭痛薬、胃薬に目薬、風邪薬にハンドクリームと約5000円分程の薬を購入し、機内へ乗り込んだ。今回はPCは持ってきていないが携帯電話を持ってきている。メールでリサの電話番号(リサのお母さんの携帯電話)は聞いていたので、何かあったらそれで連絡が取れるだろう。ネットカフェなど韓国ならどこでもありそうだ。

そして約2時間後・・・。


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俺はインチョン国際空港、ついにリサの生まれ育った国、韓国の大地に降り立ったのであった。
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