世界中をぷらぷらしてきた

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これまで長い事一緒に過ごしてきたYさんとの別れ。楽しい思いでも辛い思いでも共に分かち合ってきたYさん、そのYさんとも今日この後眠ってしまえば終わりである。俺はペルーへリサを追いかけて、Yさんはボリビア側のアマゾンへ向けて、それぞれ移動する事になる。

「おやすみ~」

どちらから声をかけたわけでもないが、部屋の灯りを落とし、俺達はそれぞれのベッドに入った。朝目が覚めても一緒にいるのが当たり前の存在であったYさん。この南米という右も左も分からなく、更に言葉も通じない広い世界でYさんという人に巡りあえたからこそ、今の俺があったと思う。目を閉じ、チリで最初にYさんと会った時の事を思い返す。そしてこれまで色々と迷惑もかけてきた。その都度Yさんには謝ってはいたが、改めて俺はYさんに言いたかった。今言わなければきっと後悔することになるだろう。

俺「Yさん?」

Y「・・・・・・・・・」

俺「ねぇ、Yさん?」

Y「・・・・・・・・・」

Yさんは俺との思い出に浸ることなどなく、既に爆睡していた。叩き起こしてやろうかとも思ったが、考えてみるとこれまで何度と無くYさんの快眠を妨げてきたものだ。最後の日位グッスリ眠らせてあげよう。

俺は何も言わず、そのまま目を閉じ続けた。

翌朝5時に目覚ましが鳴り響く。眠い目を擦りながら、俺はベッドから起き上がった。Yさんを起こさないようにコッソリ着替える。部屋を出てトイレの水道で顔を洗って歯を磨く。窓の外の空を見ると今日も快晴だ。これからあと少しで俺の新しい旅が始まる。リサに追いつかなければならない。もう・・・Yさんはいない。1人でやるしかないのだ。「パチン」と両手で頬を叩き気合を入れる。部屋に戻るとYさんも起きていた。

俺「おはようございます!起こしちゃいましたかね・・・」

Y「いや、大丈夫だよ。ぷらちゃん、見送るよ」

俺「いや、まだ明け方だし外は寒いからこの部屋でいいですよ。Yさん病み上がりなんだし」

Y「何水臭いこと言ってんの。今日位外まで見送るよ」

俺「有り難うございます」


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ありったけの服を着込み、俺はYさんに見送られながら宿を出た。

俺「Yさん、今日まで本当に有り難うございました!!」

Y「俺こそ有り難う!!ぷらちゃん、元気でね!」

俺「はい!Yさんこそお元気で!!日本で絶対に会いましょうね!!」

Y「うん!楽しみにしてるよ!!」

俺「Yさん!?」

Y「なに!?」

俺「ターミナルってどこですかね?」


Y「ちょwwwwもう、俺も朝食買うついでに途中まで一緒に行ってあげるよ。

実はこの時、俺はターミナルの場所は知っていた。宿の入り口で歩いて離れていく俺にいつまでも手を振りながら大声で俺の名前を呼んでくれるYさんを振り返って見たとき、もうどうしようもない位に寂しくなった。そしてその結果「Yさん!?」と俺は呼んでしまったのだ。「なに!?」の問いかけに何も思い浮かばなかったので咄嗟に口から出た言葉が「ターミナルどこでしたっけ?」であった。

ちょっとだけ遅まった予定外の時間に俺は本当に嬉しかった。宿から少しだけ離れた場所にある屋台までYさんと本当に最後の道を歩く。いつもは冗談ばかり言いながら歩いていたのにこの時は複雑な気持ちで上手く冗談も言えなかった。Yさんとは絶対に笑顔で別れたい。そう思っていたのに・・・・。

屋台の前に到着していよいよお別れとなる。

Y「ターミナルはここから一本道だから。10分もかからないよ」

俺「はい・・・」

Y「ぷらちゃん・・・なんか元気ないよ」

俺「いえ、そんな事ないです」

Y「いい天気だね~。きっと会えるよ!そんなに心配しないで!」

俺「・・・・がいます」

Y「え?」

俺「違います・・・。Yさんと別れるのが寂しいんです」

Y「どうしたの?」

俺「Yさん、今まで本当に本当に有り難うございました!!ここまで来れたのもYさんのおかげです!」

Y「・・・・・・・。うん、お世話もいっぱいしたけど、俺もいっぱいお世話になったよ」

俺「俺お世話なんか何もしてないよ」

Y「そんな事ないよ。ぷらちゃんと一緒だった間凄く楽しかったもん」

俺「そんなの・・・なんのお世話にもなってないじゃないですか」

Y「いや、こんなに笑いながら旅できたのは初めてだったよ」

俺「うううう・・・・」

Y「ほら、俺はここまでだから。早く行かないと早起きした意味なくなっちゃうよ?」

俺「Yさん、絶対に日本で会いましょうね!約束ですよ!」

Y「うん!じゃあね」

俺「はい!Yさん・・・さよならです!行ってきます!」

Y「うん!!」

最後に俺はYさんとガッチリ握手をした。そしてそのままターミナルへと向かって歩き出した。きっと後ろを振り返れば俺の姿が見えなくなるまでYさんは見ていてくれているだろう。でも、俺は振り向かなかった。振り向けなかった。もう・・・本当にボロ泣きだった。

ターミナルへ向かって歩く。しばらく歩くと目の前に黄色と白で塗られた一際目立つ建物が見えてくる。ターミナルだ。まずはバスのチケットを予約しなければならない。俺は中へと足を踏み入れた。早朝にも関わらず既にターミナルの中は活気溢れていた。どの看板を見ても文字が読めないので行き先であるペルーのチチカカ湖畔の町プーノを目指す。その為にはボリビア側の町コパカバーナで出国手続きをしなければならない。チチカカ湖を抜けるには大きく2つのルートがある。左回りに抜けるルートと、右回りに湖をショートカットする方法だ。勿論俺が選択したルートはリサが向かった左回りのルートだ。「コパカバーナ」と「プーノ」の文字を探す。


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丁度中間ほどの場所にコパカバーナと書いてある窓口を見つけた。

俺「あの、コパカバーナからプーノに抜けたいんだけど」

受付「なんだって?」

駄目だ。英語が全然通じない・・・。

俺「コ・パ・カ・バ・ー・ナ!!プ・ー・ノ!!OK?」

受付「ペラペラペラペラ」

受付のオバさんはなにやら困ったように俺に話しかけると両手で×を作った。どうした?満席なのか!?どうなってる!?」

俺「なに?!満席なの!?」

受付「違う。だから!!ペラペラペラペラ!!」

駄目だ。全く伝わらない。俺はその窓口を諦め、片っ端から窓口という窓口を当たった。しかしどの窓口でもやはりコパカバーナとプーノに向かうバスの窓口はあの1つしかなかった。俺はもう1度その窓口へ向かった。

俺「あの・・・」

受付「またきたのかい!?」

俺「だから、コパカバーナに行きたいの!今日駄目ならいついいの!?」

俺はカレンダーを指差し、日付を確認した。

受付「ペラペラペラ」

今度は分からないのジェスチャーをしている。もしかして・・・いつ出発するか分からないと言っているのか!?受付の癖になんだコイツは・・・。猛烈に受付のオバさんと言い合っていると微かに・・・微かに日本語が耳に入った。


あれ・・・・?日本語?


俺は辺りを見渡す。すると日本人の旅行者がベンチで談笑してるではないか。俺はダッシュでその旅行者の下へ向かった。

俺「はぁ・・はぁ・・・あの・・日本人ですよね!?」

「はい」

俺「俺・・・スペイン語話せなくて・・・話せますか?」

「いや、スペイン語はあんまり・・・どこに行くんです?」

俺「コパカバーナかプーノって町に行きたいんだけど・・」

「あ、じゃあ僕達と一緒じゃないですか」

俺「本当!?ちょっとあの受付じゃない?」

「そうですよ?」

俺「お願いします。英語も全然通じないし、ちょっと一緒に行って貰えませんか?」

「いいですけど・・・俺英語でチケット買いましたけど・・あのオバさんで・・・」

俺「え・・・」

俺はその男性と共に窓口へと向かった。

「ペラペラペラペラ?」

オバさん「ペラペラ」

「あ~、キッツイっすね」

俺「どうしたの!?」

「この事態知ってます?」

俺「事態!?」

「実はインディヘナって人達がデモやってるんですよ」

俺「ああ・・・それがどうしたの?」

「それが・・・ラパス中の主要道路に岩置いたり、石を敷き詰めたりしてバスが向かえない事態になってるらしいんですよ。それで行けるなら今日が最後かもって。何日も硬直状態が続いてて、いつ閉鎖が解かれるか分からないみたいなんですよ。俺達も時間が無いから今日どうにか行こうって、頑張って出てきたんです」

俺「そそそそれなら尚更今日行かなきゃ!俺のチケットも頼んで貰えない!?」

「実は・・・その・・・」

俺「なに!?」

「そのチケットがもう既に完売らしいんですよ。この朝9時発のバス以外は今日は出ないみたいですし、俺達は運良く取れたんですけど・・・もう無理みたいです・・・」

俺「ちょっとちょっと!!無理無理!!そんなの無理だって!俺宿チェックアウトしてきちゃったもん!!」

「そんな事俺に言われたって・・・」

俺「えええええ!?ちょ・・・マジで・・・えええ?!どうしろって!?」

「欧米人とかはいつ情報が流れるか分からないから数日前からこのターミナルで寝泊りしてたみたいですよ。だから、ここに居座って動くバスがあったら飛び乗るのがいいんじゃないですかね・・・」

俺「ええええええええ!?」

俺は悩んだ。宿に戻ってしまおうか。しかしあれまで感情的に別れたYさんにどの顔下げて会えばいいんだ。いや、俺ならできる。どうせ俺そんなキャラだし。しかし流石に気まずいか・・・?とにかく俺は悩んだ。しばらくターミナルのベンチに腰掛け、旅行者の動きを眺めた。結局、そのまま何事もなく時間は過ぎた。Yさんは夕方の飛行機だから今戻ればまだ全然間に合うだろう。この際謝って宿に戻るしかない。

俺は荷物を持ち、出口へ向かって歩いた。

「あ・・・どうにかなりましたか?」

俺「おおお、さっきの人・・・。駄目だったよ。出直そうかと思って」

「そうでしたか・・・」

俺「あ・・それチケット?いいなぁ」

「やっとの思いで取れましたよ」

俺「へぇ~、え!?なにこれ、自分で名前とか記入するの?」

「そうですね」

俺「え?チケットって名前書くだけ?」

「はい」

俺「この数字はなに?」

「これは日付ですね」

俺「こっちの数字は?」

「これは人数ですよ。俺達3人なんです」

俺「この数字も自分で書いたの?」

「いや、これは受付のオバちゃんが書きましたよ」

俺「ちょっとチケット借りていい?」

「いいですけど・・・」

俺「これをこうして・・・こうすれば・・・どう?いけそうじゃない?」


「ちょっと!!アンタ何してんだ!!!」


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俺「こうすれば4人のチケットみたいじゃない?」

「みたいじゃないよ・・・アンタ・・・マジかよ!?」

俺「乗れなかったら諦めるからトライさせてください!!この通りです」

「俺等まで乗れなかったらどうしてくれるんだよ!!」

俺「俺がそこは責任を取ります!!お願いします!!!」

「あ!?やばい!!時間じゃん!!」

俺「さぁ、行きましょう」

「え!?マジで!?マジなの!?嘘!?はああああ!?」


いざ、出陣。
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リサとUさんの後ろを歩いてレストランへ向かう。

U「ねぇ、そう言えばどこに行こうとしてたの?」

俺「へ?」

U「なんか出掛けるとこじゃなかった?」

俺「あ・・・・あ・・・」

U「思い出した?」

俺「俺薬局行かなきゃ駄目なんだった!!急いで行ってくる!てかご飯食べたらそのままターミナルに行くの?」

U「うん、もうチケットもあるしね」

俺「そっかぁ・・・。せっかく会えたけどここでまたお別れかぁ」

リサ「ぷら・・?行かないの?」

俺「うん、行きたいんだけど行けないんだ。まだ荷物も何も準備してないしさ」

リサ「・・・・」

U「ねぇ、じゃあこうしない?私とメールアドレス交換しようよ。私PC持ってるから毎日メール見れるし、ぷら君もマチュピチュ目指すならまたきっとどこかで会えるよ」

俺「うん・・・」

U「はい、これ私の連絡先ね」

俺「じゃ、ここにメールするよ。リサ、気をつけてね!またどこかで会おう!」

リサ「うん!」

こうして俺はリサと再び別れた。その後、急いで薬局へ向かい薬を購入する。帰り際にドリンクとパンも購入し、俺は宿へ戻った。

俺「戻りました~!」

Y「お帰り!大丈夫だった?」

俺「はい、宿のおっさんに地図書いてもらったし、全然迷いませんでしたよ。それより聞いてくださいよ」

Y「どうしたの?」

俺「リサと再開したんですよ!!」

Y「ええええ!?」

俺「しかもこの宿に居たみたいなんです」

Y「良かったじゃない~!!」

俺「はい!でも、またリサ達先に行っちゃいました」

Y「え!?」

俺「これからマチュピチュの方に向かうみたいなんですよ」

Y「一緒に行かないの?」

俺「行きたいですけど、こんなYさん残して行けませんよ」

Y「俺は大丈夫だから気にしなくていいよ」

俺「いやいや、そんな事したら俺の具合が悪くなりますよ。それに、リサと一緒にいたUさんって日本人の人とメアドを交換したんですよ。だから連絡も日本語で取れるし、きっと大丈夫です!それでね・・・Yさん?」

Y「うん?」

俺「Yさんってマチュピチュは行かないんですか?」

Y「ああ、行くよ!勿論行く!」

俺「じゃあ、最初に俺と一緒にマチュピチュ行きませんか?」

Y「う~ん、それもいいけどさ、そうすると戻るようになっちゃうんだよ。俺はあくまで北上を続けたいから、マチュピチュはアマゾンの後じゃないと厳しいものがあるかなぁ。だからさ、本当に気にしないでいいから行って大丈夫だよ!俺もきっとぷらちゃんと同じ立場なら行くと思うしさ」

俺「いや、どの道リサ達は既にバスのチケットも取ってるし、さっき宿を出て行ったんで今更同じバスに乗るのは無理ですよ。もし俺がYさんとここで別れて、リサ達を追うとしても俺1人になりますね」

Y「うんうん」

俺「ああ・・・・どうしよう」

Y「ぷらちゃんってアマゾン行きたかったの?」

俺「いや、全然」

Y「ならなんで行こうって思うの?」

俺「だってそりゃ・・・Yさんと一緒に居たいからですよ」

Y「馬鹿だなぁ。俺となんて帰国してからでもいつでも会えるじゃん。じゃあさ、約束しようよ。俺が帰国する日をぷらちゃんにメールするから、その時・・・空港に迎えに来てよ。そして一杯やろうよ。その時に、今日ここで俺と別れた後の話を聞かせてよ。俺もぷらちゃんと別れた後の話を土産に持って帰るからさ」

俺「Yさん・・・」

Y「ほら、早く荷物まとめな!あとこの宿でバスのチケットは手配出切る筈だから、間に合うなら聞きにいくといいよ!」

俺「Yさん・・・有り難うございます!」

俺は部屋を飛び出し、宿主に尋ねた。

おっさん「おお、薬局は見つかったのかい?」

俺「お蔭様で・・・。あの、聞きたいんですけどプーノって町までのバスのチケットってここで手配できるんですか?」

おっさん「ああ、できるよ。でも今日はもう無理だぞ?」

俺「うん、今日行くつもりはないから大丈夫。明日はどう?」

おっさん「明日は・・・いっぱいだなぁ」

俺「そっか。分かった。じゃあまた来るね」

バスのチケットは手配できなかった。これではリサ達を追いかけることは出来ない。俺は部屋に戻り、Yさんにその事を伝えた」

Y「そっか、残念だったね。はい、これ」

俺「これは?」

Y「俺の連絡先だよ」

俺「だってバス出ないから俺・・・」

Y「ぷらちゃん!ここは分岐点だよ!そんな曖昧に決めていいの?」

俺「え・・・・」

Y「ぷらちゃんはチリで俺と出合った時からそのリサって子を追いかけてたよね?それが今偶然にも会えたんでしょ?なら行かないと!絶対に後悔するよ」

俺「・・・・・・」

Y「言葉もろくに話せないぷらちゃんが俺を心配して薬買ってきてくれた。それだけで俺は十分だよ。体調崩したのは俺の責任だし、ぷらちゃんが足止めになる理由はないよ。だから、今日が駄目なら明日行きなよ!朝からターミナルに行けばキャンセルもあるだろうから、きっと乗れるはずだよ。1日位の差ならきっとスグに追いつけるよ」

俺「Yさん・・・有り難う。俺、明日出ます」

Y「うん!日本でまた会おう!」

俺「はい!!」

Y「そうそう、マチュピチュに行くならここラパスで学生証作った方がいいよ。あれ?学生証持ってる?」

俺「いや、持ってないです」

Y「宿の情報ノートに書いてあったから、行ってみるといいよ」

俺「はい!Yさんは・・・・行きませんよね?」

Y「うん、俺は薬も飲んだしゆっくりしてるよ」

俺「はい!じゃあ早速行ってきます!」

俺は情報ノートに書いてある学生証を作ってくれる店へと向かった。店は宿から坂道を登った場所にある普通の写真屋だった。中に入り学生証を作って欲しい旨を伝える。

G「あの?日本人ですよね?」

俺「あ・・・はい」

偶然にもその店には大学生の旅行者G君が今まさに学生証を作ろうとしている所だった。

俺「君も学生証を?」

G「はい。俺○○大学在学中なんで、これ・・・」

俺「おおおおお」

G「どこの大学なんですか?」

俺「え・・・いや・・・社会人ですけど・・」

G「ここ、本物の学生証作る所なんで学校からの証明書ないと作ってくれませんよ」

俺「ええええ?!」


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店員「はい、証明書見せて」

俺「ちょ・・・・。ないよ。あの、PC貸して貰えますか?」

G「どうするんです?」

俺「適当に何かダウンロードして書けば大丈夫じゃない?」

G「ええええ?」

俺「あ、これなんか丁度いいじゃん」


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G「これ、学割の申請書じゃないですか」

俺「日本語なんか読めないっしょ。適当に書くよ。大学は・・・」

店員「出来た?これが大学名?これが学部?これが名前ね?」

俺「あい」


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とにかく俺はデタラメに用紙に記入した。そして5分後。

店員「出来たわよ」

俺「うほwwww」

G「これ・・・絶対に使えませんよwww」

俺「その時はその時で、記念にね」

学生証を受け取り宿へと戻る。部屋に戻るとYさんが何やら荷物をベッドの上に広げている。

俺「あれ!?どうしたんですか?」

Y「ああ、お帰り。学生証できた?」

俺「はい・・・出来ましたけどどうしたんですか?」

Y「俺も明日出る事にしたよ」

俺「ええ!?体調は大丈夫なんですか?」

Y「うん、本調子じゃないけど、いつまでもここに居られないしさ。さっき飛行機のチケットを宿のおっさんに頼んで取ってもらったとこだよ」

俺「マジですか?」

Y「うん」

俺「・・・・・・・・・・」

Y「ぷらちゃん、今まで色々有り難う。楽しかったよ」

俺「俺だって・・・」

Y「いや、まだこの言葉は早いか。よし、今晩は飲みに行こう!」

俺「はい!!!」

お互い荷物をまとめ、その夜、俺とYさんは随分遅くまで酒を飲んだ。きっと俺に気を使わせないようにとのYさんの気遣いだったんだろう。病み上がりなのにいつもと同じペースでYさんは酒を流し込んだ。

Y「はぁ~。酔った~」

俺「飲みすぎですよ!大丈夫ですか?」

Y「まさかぷらちゃんにその言葉をかけられるとは思わなかったなぁ」

俺「いやいやいや、本当に大丈夫なんですか?」

Y「大丈夫だよ。よし、ぷらちゃん?」

俺「はい?」

Y「乾杯しよう!俺達のこの旅に!!」

俺「は・・・はい」

Y「ぷらちゃんのこの先の旅路と、俺のこの先の旅路、共に素晴らしい旅になるように願いを込めて乾杯したいと思います!!準備はいい?」

俺「はい!!」

Y&俺「カンパーイ!!!」

そして俺は北へペルーを目指して。Yさんは東にアマゾンを目指して互いに別れて旅をすることになった。


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(学生証)
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Yさんの体調は一向に回復しなかった。既にラパス滞在して数日、毎日のように近所をブラブラしたり、日本食を食べに行ったりと同じような毎日を過ごしていたが、Yさんの体調は良くならなかった。風邪なのか疲れからなのか、それは分からなかったが、夜になると決まってYさんは辛そうだった。

滞在して数日目に、俺達は始めて観光名所に足を伸ばすことにした。以前からガイドブックで調べていた「月の谷」というラパス郊外の観光地へ俺達は向かった。バスに乗り1時間ほど移動し、更に乗り合いタクシーで進む。すると1時間半程でニョキニョキと地面から生えているような奇岩が沢山ある場所に着く。これが月の谷だ。

俺「おおお、なんか今まで出くわした事の無いような場所ですね・・・」

Y「でもさ、なんか月じゃないよね・・・」

俺「ですよね・・・月面のイメージってクレーターですもんね」


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一通り入場料金を払い歩き回ってみたものの、然程面白くもなんともない。確かに不思議な場所ではあるが、オーラがないのだ。不思議なもので建物にもオーラはある。写真で見ただけでは伝わらない、現地に足を運んでこそ分かる建物であったり、その観光名所独自のオーラというものがあるのだが、この「月の谷」には何も感じられなかった。

Y「ぷらちゃん、ちょっと休もう。なんか疲れちゃった」

俺「はぁ・・・てかYさん、もう移動しませんか?」

Y「この後どっか行きたい場所あんの?」

俺「なんかこのラパスにフィギュア売ってる店があるらしいんですよ」

Y「フィギュア?」

俺「はい。そこ行ってみたいです」

Y「なんでフィギュアなの?」

俺「いや、別に興味はないんですけどなんとなく・・・」

Y「まぁいいや・・・行こうか」


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俺達はこうして早々に月の谷を後にした。

ラパス中心部に戻って徒歩10分、俺達はフィギュア屋へと向かった。

俺「Yさん、これで大体もうラパスは見終わるわけですよね?」

Y「まぁ、他にも何かしらあるんだろうけど特別興味があるものはないよね」

俺「はい。それでYさんの体調次第なんですけど、今後の日程をそろそろ決めませんか?」

Y「そうだね。てかいい加減治らないかなぁ」

俺「やっぱ次はボリビア側のアマゾンなわけですよね?」

Y「そうだねぇ。南米に来たらアマゾンには絶対に行ってみたかったし、そうなるかな」

俺「はい!」

Y「ねぇ、ぷらちゃんは本当にリサって子の事いいの?」

俺「・・・・・。はい、もういいんです」

Y「そっかぁ。まぁ、残念だけど仕方が無いよね」

俺「いいんです。Yさんとの旅も凄く楽しいし」

Y「なんか真顔で言われると怖いものがあるよね」

俺「お、フィギュア屋ってこれじゃないですか?」


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繁華街のほぼ中心部にその店はあった。半地下の階段を降りるとそこはフィギュア屋というより、オモチャ屋であった。どこを見渡しても日本人の俺達に馴染みのあるアニメのポスターやゲームが並んでいる。パッケージには日本語がそのまま書かれている。奥には無料のゲームコーナーがあり、現地の若者が本気でスーファミのマリオをプレイしている。

Y「ぷらちゃん・・・ここ観光名所でもなんでもないじゃん・・・」

俺「それを言わないでくださいよ・・・」


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その後、店内を見渡した後に俺達は店を出て宿へと戻った。部屋に入りベッドに横になる。まだ夕方だが随分と移動を繰り返したので体は疲れている。

Y「ねぇ・・・なんか俺マジで今日調子悪いわ・・・」

俺「大丈夫ですか!?正露丸いり・・・」

Y「正露丸はいいや・・・。てか風邪薬ってぷらちゃん持ってないよね?」

俺「はい・・・残念ながら・・」

Y「俺ももう使い切っちゃったんだよね・・・」

俺「俺、買ってきましょうか!?」

Y「やめときなよ・・・言葉も話せないのに・・・それに2人で行動しないと危ないよ」

俺「いや、お世話になりっぱなしですもん。俺行ってきますよ!ついでに適当に何か夕飯買ってきます」

Y「本気で行ってるの?」

俺「はい!任せてください!」

Y「薬局の場所なんて分かるの?」

俺「分かりませんけど宿のおっさんに聞いてみますよ」

Y「マジで・・有り難う。でも分からなかったら無理しないでね、俺はこのまま寝てるよ」

俺「はい!早く治してアマゾン目指しましょう!!」

Y「有り難う・・・」

俺は再びジャケットを着込み、部屋を出た。受付でおっさんに薬局の場所を聞き地図を描いてもらう。どうやらそこまで薬局の場所は離れていないようだ。おっさんに礼を言い出口へ向かう。その時だった。どこかで見たことのある後姿が見えた。直感で俺は歩くのをやめた。全身に鳥肌が出る。出口のガラス扉1枚を挟んで俺は再会した。リサだ・・・・。

なんでリサがこんな場所に?俺は急いでガラス扉を開けた。


バンッ!!


その音に驚いてリサが振り返る。

俺「リ・・・リ・・・リサ!?」

リサ「!!!!!!」

俺「ちょっとちょっと!!!ビックリだよ~!!」

リサ「ぷら~!!!」

俺はリサとガッシリ握手をした。

U「こんにちは~。はじめまして。もしかして、ぷらさんですか?」

俺「え?はい!」

U「私リサと一緒に旅してるUです。ぷらさんの話はリサからいつも聞いてましたよ」

俺「いつ・・・も?」

U「リサ、楽しそうに話すから」

俺「おおおおおおお!!!」

U「でも珍しいですよね。私達旅してるけど多分話しかけられたのって初めてですよ」

俺「そうなの・・・?」

U「なんか日本人とか韓国人とか、皆群れるじゃないですか?」

俺「そう・・・・?」

U「うん。なんかそれぞれ輪を作って、別な輪には混ざらないような雰囲気出しません?」

俺「俺は・・・少なくとも出さないけどなぁ」

U「そっかぁ。それで話しかけられたの初めてだったから、リサ喜んでたんだと思うよ~」

俺「へぇ~!!で、これからどこに行くの?」

U「私達は今日この宿を出るの」

俺「え!?この宿に居たの?」

U「うん」

俺「なんだそれ・・・全然分からなかったよ・・・で!?で!?出るって?」

U「これからマチュピチュに向かうの。まずはプーノって町に行く予定だよ」

俺「プーノ!?」

U「チチカカ湖畔の町だよ。そこからペルーに入国して、クスコを目指すの」

俺「今日!?」

U「うん、今日」

俺「この荷物・・・って事は今から?」

U「うん、バスで行くんだけど、今からまだ時間もあるから、乗る前にこれから夕食を食べに行くとこなの」

俺「お・・お・・・俺も行っていい!?」

リサ「ぷらも行こう~」

俺「うん!!!行く!!!!!」


そして、俺は3人で飯を食いに行く事にした。脳内にYさんの事は微塵も残っていなかった。
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宿に戻り酒も入ると嫌でもテンションが上がる。休みたい気持ちは分かるがどこかに出かけたい。しかしYさんはベッドで毛布を被っている。

俺「Yさん?大丈夫ですか?」

Y「あ~、大丈夫だよ。多分風邪だと思う。なんか鼻水出るし、頭も痛いし、寒気がすんだよ」

俺「正露丸・・・いりますか?」

Y「いや、いいや。とりあえず少し眠るね。ちょっと休めば元気になると思うしさ」

俺「そうですか・・・はい。ところで・・・出掛けたりは・・・」

Y「しないね」

俺「ですよね・・」

仕方がないので俺は宿の通路にあるベンチで1人Yさんから借りたガイドブックを読み始めた。これから先どこに向かおう。正直言ってリサのいるところに行きたかった。でも、今俺はYさんと一緒にいるのが非常に心地よい。なんというか、安心感があるのだ。そして気も使わない。俺だけかもしれないが・・・。ペラペラと本をめくり、ここラパスでの観光地を模索する。「行ってみようかな」と思えた場所は「月の谷」と呼ばれる奇岩のある場所だけであった。行き方は書いてあるがとても俺1人で行ける距離ではない。たかがバスを1回乗り換えるだけだが、ビビリな俺にはとてもじゃないが無理だった。

それからも再びペラペラとページをめくるだけの作業が続いた。何もする事がない。リサからの返信メールはきていないし、Yさんもあの調子だ。このまま通路に座っていても暇なので俺は部屋に戻ることにした。Yさんを起こさないよう静かにドアを開け、中に入るとYさんは死んだように眠っていた。余程体調が悪いのか疲れているんだろう。流石の俺も起こす事はできなかった。俺は自分のベッドに横になり、読み終えた小説を再び読み始めた。そして非常につまらなかったので5分でYさん以上に死んだように眠った。

目が覚めるとあと数時間で夕方になる時間だった。ベッドから起き上がり思い切り背伸びをする。たった1~2日横になって眠らないだけでベッドの有り難味がわかる。喉が渇いたのでYさんの飲み残しのスポーツドリンクを飲み干す。生き返ったような気分だ。ソワソワとしているとYさんが目を覚ました。

Y「あれ・・・寝てたかぁ」

俺「おはようございます」

Y「ああ、おはよう。あれ?」

俺「飲み物買いに行きませんか?」

Y「あれ?俺のは?」

俺「ちょっとだけ飲んじゃいました」

Y「全部ねぇじゃねぇかよ!」

俺「奢りますよ!行きましょう!」

Y「体調悪いんだって~。でも、逆に少し体動かした方が夜も眠れるかな」

俺「それでこそYさんですよ!」


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俺達は宿の外に出た。治安が悪い悪いと言われているラパスも、昼間はなんのことはない平和な町に見える。大通りを抜けて俺達は現地の人が集まる市場らしき場所へと立ち寄った。色々な食べ物の匂いが辺りに充満している。先程あれだけ食べたばかりなのにスッカリ俺の胃袋は戦闘状態だ。

俺「Yさん?ちょっと何か食いません?」

Y「無理無理。とてもじゃないけど食べられないよ」

俺「俺、食っていいですか?」

Y「うん。ジュースは奢ってね。俺横で見てるよ」


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そして俺だけよく分からないお粥を食べた。

俺「はぁ~。マジでもう食えないっすわ~」

Y「そんだけ食えばそりゃそうだよ」


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その後、俺等は宿の周辺をブラブラと歩いた。女の子にジュースをご馳走したり、現地の人々の様子を見たりと歩きまわった。

俺「Yさん、元気になったんじゃないですか?」

Y「さっきよりは随分いいけどさぁ、やっぱりまだ本調子じゃないよ」

俺「そっかぁ。そうだ。Yさんここからどうするんですか?」

Y「俺?まだ何も考えてないけど、ボリビア側のアマゾンに行こうかなって漠然とは考えてたよ」

俺「アマゾン?」

Y「ルレナバケってところなんだけどね。ブラジルより全然安価でツアー組めるらしいんだよ」

俺「俺も行こうかなぁ」

Y「だってぷらちゃんはリサを追うんでしょ?」

俺「俺、色々考えたんですよ。そしたらリサよりYさんと居たほうが楽しいんじゃないかって思ったんです」

Y「ええ?」

俺「最初はなんだコイツって思ってましたよ。でもここまで苦楽を共に味わってきたじゃないですか?それにYさんってアメリカに向けて北上するんですよね?そしたら俺もアメリカまでは行けませんが、出来るとこまで北上してやるかって思ったんです」

Y「ぷらちゃん・・・・・・考え直しなよ」

俺「い~や!決めました!だからまずはここラパスでじっくり今後の事を考えましょう!」

Y「まぁ、これ以上何言っても聞かなそうだしね」

俺「さぁ!それじゃあ繁華街まで行きましょう!!」

Y「えええええ・・・・・」

その後も俺達は辺りが暗くなるまで市内を歩き回った。俺はなにか自分の中で吹っ切れていたんだと思う。これからの旅でもうメールボックスは開かないと決めていたし、あとは為すがままにこの南米というとてつもない大きな大陸を満喫してやろうという気持ちになっていた。

Y「ぷらちゃん、そろそろ戻ろうよ。もう真っ暗じゃん」

俺「でもほら、こんな大通りで強盗になんか遇わないだろうし、大通りを歩いて帰れば平気ですよ!それより今晩の酒を調達して帰りましょうよ!!」

Y「俺は今晩はやめとくよ・・・」

俺「なぁ~に情けないこと言ってるんですか!!祝い酒です!祝い酒!!」

Y「なんのお祝いなのさ?」

俺「俺が今後の旅の仕方を固めたっていう決意の祝い酒ですよ!」

Y「はぁ~。なんでこいつこんなにテンション高いんだよ・・」

俺「おお!やきとり発見!!つまみはあれでいいっすか?おばちゃん!いくら?安っ!!5本ね!」

Y「俺は飲まないからな~」


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俺は屋台でやきとりらしきものと、ビールを2本購入した。そして宿に帰って楽しもう。そう思っていた。半ば疲れモードで俺の話を聞き流すYさんを圧倒するかのようにハイテンションで話続けている時、悲劇は起こった。

現地ババア「ペラペラペラペラペラ?」

俺「へ?」

現地ババア「ペラペラペラペラ!!!!!」

俺「え??なに?どしたの?」

Y「うっわ!!ぷらちゃん、背中にツバついてるよ・・・」

俺「え?うわ!なんだこれ!?きったねぇ!!!」

俺の背中には糸を引く粘度のツバがベットリとついていた。そりゃもう洗濯したてかと間違えるほどにベッタリとついていたのだ。するとババアが俺の手を引き、ティッシュで背中を拭いている。俺はピンときた。これはケチャップ強盗と一緒のやつじゃないかと。旅に出て間もない頃、Pちゃんが話してくれたケチャップ強盗の話を思い出したのだ。俺は財布をガッチリと右手で握った。取られる物なんか何もない。この財布さえ守ればいい。するとババアの手が俺のポケットの中に入ってきた。そして、俺はキレた。

俺「このクソババア!!!ちょっと来い!!!」

俺はババアの腕を掴み、宿の中へ引き釣り込んだ。

俺「おい、お前財布取ろうとしやがったろ?」

現地ババア「ペラペラペラペラ」

俺「うるせぇ!!!俺は日本語しか分からねぇんだよ!!」

その騒ぎを聞きつけ、宿のオーナーが降りてきた。

Y「あの、このおばあさんが財布を取ろうとしたらしいんです」

俺「見てよこれ!ツバべったりだよ。オメェ!!コラァ!!このジャケットはヤフオクで3000もしたんだぞコンチクショー!!」

ババアは必死で否定していた。Yさんが英語で宿主に伝える。

宿主「ペラペラペラペラ!!」

宿主はババアになにやら怒鳴りつけると、俺のジャケットをその場で丁寧に拭かせた。そして宿から叩き出した。

宿主「大丈夫かい?何も取られてないかい?」

俺「え・・・あ・・大丈夫ですけど」

宿主「貧しい暮らしをしている人が多いから、あんな奴も多いんだよ」

俺「ったく。てかいくら拭いたってキレイになんねぇよ」

宿主「そのジャケットはうちのランドリーサービスで洗ってあげるよ。勿論サービスさ」

俺「じゃあ・・・お願いします」

Y「良かったねぷらちゃん。何も取られなくて」

俺「あ~くっそ。マジでムカツク。とりあえず洗う前にもうちょい丁寧に拭きますわ。まだまだ着るだろうし」


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俺はジャケットをティッシュでゴシゴシと拭いた。その後、宿主に預けて部屋に戻った。


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買ってきたやきとりは冷たく冷えていた。

Y「しかし気をつけないと駄目だね~」

俺「あ~、マジで未だにムカつきますよ」

Y「でもさ、ぷらちゃんが怒ったの初めて見たよ」

俺「あれ?そうでしたっけ?東南アジアじゃあ怒鳴りっぱなしでしたよ」

Y「ああ、分かる分かる!!」

そんな旅の話を思い返しながら冷えたやきとりとビールを飲んでいたら、さっきの強盗のことなどどうでもよく思えてきた。やはりYさんと一緒に行こう。この人とならこれからも絶対に面白い旅が待っているはずだ。アマゾンだろうと何処へでも行ってやる!!


その日、俺達は遅くまで語り合った。

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(強盗の注意書き)
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飯も食えない、水も無い、トイレに行きたくても行けやしない。そもそもここはどこなんだ。あれから既に数時間。外はすっかり暗闇に包まれている。バスの窓から外を眺めても真っ暗闇で街灯の一つも見当たらない。あと何時間このままなのだろうか。バスのガソリンは大丈夫なのだろうか。乗客は皆同じ事を考えていたと思う。舗装された道とは違い、デコボコの土道を走っているので大型バスはグラグラと揺れる。眠ろうにも眠れない。体感では時速5km程で走っているのだろうか。とにかく、見えるものと言えば長い長い車の列だけだった。

俺とYさんは何もすることが無いので互いに黙ったまま前方を眺め続けていた。退屈というものは辛いことだ、ただただ座席に座るしか出来ない今、乗客のストレスはピークに達していた。車内は物々しい雰囲気であったが、皆が憔悴しきっていたので然程大きなトラブルは起きなかった。夜になり、夜中になり、眠れなかった俺もいつの間にか眠ることができた。そして目が覚めた時、バスは快適に舗装された道を走っていた。運転手がどこをどう走ったのか分からないが、どうやら迂回に成功したようだ。

Y「ぷらちゃん、起きたの?」

俺「あ、はい。これ、道路走ってますよね?」

Y「そうなんだよ。この調子だと朝にはラパスに着くんじゃないかな?」

俺「あ~、早く何か食べたいです。もうお腹が減って・・」

Y「俺もだよ。たださ、ラパスは治安が悪いみたいだから夜中に到着したら動かない方がいいと思うんだよね」

俺「ターミナルでも何でもいいので俺は早くバスを降りたいですよ」

Y「ほんとだね・・・」

だんだんと窓の外に灯りが見えてくる。やっと、やっとラパスが見えてきた。

Y「もうちょっとだよ、ぷらちゃん!」

俺「はい・・・・でも予定通り日の出前に到着しそうですね・・」

Y「そうだね・・・」

俺「大丈夫なんじゃないですか?俺横になって眠りたいですよ・・」

Y「だってラパスじゃ首絞め強盗とか、ノックアウト強盗とか、結構多いみたいだよ?」

俺「なんすかその物騒な強盗さんは・・」

Y「首絞めは、そっと後ろから近付いてきて動脈を締められて気絶した隙に金品を奪われるって手口で、ノックアウトってのは後ろからバットかなんかで頭を殴られて、やっぱり気絶してる間に金品を取られるらしいよ」

俺「タタタターミナルで寝ましょう!ありえませんよそんなの!!!」

Y「だよね・・まぁそうそう被害には遇わないだろうけど、リスクは最小限に抑えよう。なによりぷらちゃんと一緒だってのが1番の不安材料だよ」

俺「最後の一言は余計ですが、それ以外は概ね賛成です」

そしてバスはターミナルへと到着した。欧米人さんはハイタッチを交わし、次々に暗闇の中町に向かっていく。

俺「あの・・・・Yさん?あいつ等の後ろを付いていけば大丈夫な気がしませんか?」

Y「うん・・・俺もそう思うんだよね」

俺「行きます・・・?」

Y「う~ん。いや、ここで時間潰そう。ほら、ベンチもあるしあと3時間もすれば日の出だよ」

俺「そうですよね。こんな時間に行って宿が空いてなかったら最悪ですもんね」

Y「そうそう」

俺「じゃ、俺はここで」

Y「じゃ、俺はここね」

俺「おやすみ~」


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朝、目が覚めるとターミナルは既に人でごったがえしていた。俺とYさんはバックパックを担いで地図を頼りにYさんが宿泊予定だった宿へと向かった。ボリビアのラパスは他の南米の国とは違い、やはり少し東南アジアの空気が漂っていた。ターミナルから宿までは10分足らずであった。

Y「お、ここだ!」

俺「やった~。早くチェックインしましょう!そして飯!飯!!」

Y「そうだね。でもこんな早朝からやってる店なんかあるのかなぁ」

俺「なんとかなりますよ」

俺とYさんがチェックインした宿はツインの部屋だった。6畳程度の部屋にベッドが2つ。結構な快適具合だった。宿にはwi-fiが飛んでいないが、談話室前のPCのLANケーブルを引っこ抜いてノートPCに差し込めば普通に使える。俺は早々にも飯を食いに出掛けたかったのだが、オシャレ泥棒のYさんがシャワーを浴びたいと言い出すので、その間に俺はリサからのメールチェックをすることにした。リサはあの騒動に巻き込まれなかったのだろうか。今どこにいるのだろうか。そして次のリサの目的地はどこなのだろうか。そのことばかりを考えてワクワクしながらメールソフトを起動したのだが、メールは届いていなかった。

Y「お待たせ~!」

俺「遅いですよ!」

Y「どうしたの?なんか不機嫌じゃない?あ、メールどうだった?」

俺「きてませんでした」

Y「不機嫌の原因はそれかい。さ、気を取り直して飯行こう!」

俺とYさんが向かった先、それは情報ノートにも書かれていた韓国料理の店だった。驚くことにここラパスには日本食も韓国料理も、インド料理も、とにかくなんでもあるのである。何故日本食を最初に選ばなかったのかというと、この時間に営業しているのは韓国料理の店だけだった為である。

俺「ここじゃないっすか!?ハングル書いてあるし間違いないですよ」

Y「ここっぽいね、入ろうか」

俺「おおおお!写真付きのメニューですよ!どれ食います!?てか半端なく安くないですか!?」

Y「本当だね!うおお!これ美味そう!これも!これもいいね!」

店員「決まった?」

Y「悩むね~!ぷらちゃん?どれにする?俺これもいいし・・・これも・・・」

俺「全部いきましょう」

Y「え?」

俺「悩んだら全部が正解です。食いたいの全部頼みましょう」

Y「マジで?」

俺「イエス!店員さん、これとこれとこれとこれとこれ!」

店員「おおぅ・・・・」


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次々に運ばれてくる定食を次から次へと完食。具合が悪くなるまで俺とYさんは食べまくった。

Y「あ~、もう食えない」

俺「腹いっぱいですね」

Y「これからどうする?食後の運動がてら少し観光でもしていく?」

俺「いや、宿に戻りましょう。戻って飲みましょう」

Y「朝からかよ」

俺「はい」

Y「宿に戻るのはいけど俺はいいや。なんか少し頭痛いんだよね」

俺「大丈夫ですか?」

Y「風邪かなぁ・・・」

俺「とりあえず宿に戻りましょうか」

Y「うん」

こうして俺達は宿に戻った。俺は帰りにビールを購入し、ベッドで横になるYさんを眺めながら美味そうにビールを2本空にした。この時、もう少し俺が気を使えればYさんはあんな事にならなかったのに・・・。今思い返すと急展開まで残り1日もなかったのであった。
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