世界中をぷらぷらしてきた

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早朝6時、早々に個室より荷物をまとめて応接室へ俺は向かった。ここでの宿代を支払い、3人で鹿児島県人会館を出る。足取りは・・・重い。サンパウロのターミナルへ向かうには鹿児島県人会館から地下鉄を乗り継がなければならない。サンパウロからリオまではカマで移動すると8時間程度である。10時前後のバスがあれば夕方6時頃に到着できる計算になる。だがしかしお昼頃に出発するとなると夜8時前後だ。俺達はまさか今日急にサンパウロを出る事になるとは思いもしていなかったのでリオで宿泊する予定の宿など決めていなかった。それは絶対に10時前後発のバスを見つけなければならない・・・それを意味していた。

M「あ~あ、バスなかったらどないする~?」

俺「・・・・・・・。」

P「どうしようね。どうするぷら君?」

俺「いや・・・俺は夜中でもなんでも大丈夫ですけど・・・」

P「大丈夫なわけないでしょっ!!宿の場所も何も分からないんだよ!?」

俺「あい・・・・」


そんな重苦しい空気の中、俺達はターミナルへと辿り着いた。


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サンパウロのターミナルでは、行き先ごとに各会社のブースが隣接しているため探すのが容易である。俺達は片っぱしから値段と時間を訪ねた。

P「一応10時台はいっぱいあるけど値段高いね」

M「そやなぁ。やっぱり夜中到着するのが安いんやな」

俺「じゃあ、夜中到着す  P「黙ってて!」

M「どないする?」

P「少し高いけど、夜中に到着するよりはいいんじゃないかな。リオは治安も良くないみたいだし、やっぱり明るいうちに到着した方がいいと思うの」

M「そやな。どや?ぷら君?」

俺「大賛成です・・・」


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チケットを買い終えた俺達はバスが出発するまでの2時間あまりをターミナルで過ごす事となった。多少なりにも良心が痛んでいた俺はターミナルの外で1人煙草を吹かしていた。この先、リオまで一緒に行ってそこからPちゃんとアマゾンに行ってもこの雰囲気だ、気まずいに決まっている。ここはもう、アマゾンは諦めてこの来た道を1人戻るのが1番なのではないか。

M「ぷら君?こんなとこで何してるん?」

俺「あ、Mさん・・」

M「Pちゃん心配してたで?」

俺「Pちゃんが?」

M「なんかいつもキツく言い過ぎちゃうって」

俺「いや、仕方ないですよ。俺が悪いんですもん」

M「ほら~、そない落ち込むなや~。もう、どうあがいたって俺とぷら君が一緒におれる時間はあと少しなんやで?楽しくいこうや」

俺「Mさん・・・あい・・・」

M「ほら、行くで?」

俺はMさんに連れられ、Pちゃんの居るターミナル2階へと向かった。

俺「Pちゃん、ほんと迷惑かけてごめんね・・・」

P「あ~もういいよ。大丈夫。あたしも言い過ぎた。ごめん」

俺「Pちゃんは謝らなくて大丈夫だよ。俺が悪いんだもん」


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バスに乗ってからリオへ到着するまではアッと言う間であった。早朝の出発だったので俺も疲れており、いつもは寝付けないバスで即眠りに落ちてしまった。上の画像は途中休憩のレストランだが、俺はレストランには入らず、1人外で煙草を吹かすだけであった。その後も俺は順調に眠り続け、やがてバスはリオへと到着した。Mさんのガイドブックによると安宿がある場所は2つに分かれているらしく、俺達は地図を頼りにまずはその地区へと向かう事にした。

M「この・・・辺りやなぁ」

P「どこに泊まる?」

俺「俺はもうどこでもいいよ。ねぇ、あそこなんかどう?」

P「エース・・・バックパッカーズ・・・?」

M「行ってみよか?」


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宿の従業員に値段を訪ねると手頃で、wi-fiも飛んでいる宿だった。長距離の移動中寝ていたと言ってもやはり疲れるもので、俺達は即この宿に宿泊する事を決めた。

俺「すぐ見つかって良かったですね!」

M「そやな。で、明日はコルコバード行くか?」

P「そだね、見ちゃってもいいかもね」

俺「それって・・あのキリスト像?」

M「そや。行くなら朝1番がええみたいやで」

俺「じゃあ、明日も早起きだね」

M「そんでな、俺、Pちゃんとぷら君に言う事があんねん」

P「なになに?どうしたの?」

M「俺な、明日コルコバード見たら、明後日にはアメリカ飛ぶわ」

俺「ええええ?!早くないですか!?」

M「俺もそう思たんやけどな、やっぱりアメリカでの時間も欲しいねん」

P「そっかぁ、寂しくなるね」

俺「Mさん、もうちょっと一緒に居ましょうよ!リオで1泊だけなんて早過ぎますよ」

P「ぷら君、気持ちは分かるけどMさんにはMさんの旅があるんだよ」

M「ごめんなぁ、ぷら君」

俺「だって・・・俺・・・迷惑かけてばっかで・・・」

M「そんな事ないやん。俺は楽しかったで。そや、今晩はどこか外のレストランで外食しよか!」

P「賛成!」

俺「うん」


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そして俺達はとあるレストランへと向かった。

これまでの3人での話をする。思い起せばアルゼンチンはブエノスアイレスからここまで一時も離れず一緒に行動してきた3人だ。別れが寂しくないはずがない。レストランでの食事中、終始これまでの3人での話をし、楽しいひと時はアッと言う間に過ぎた。

帰り道、酔っぱらって3人で手をつないで歩いた。大都会とは思えない、静かな夜だった。

M「そう言えばMちゃんとぷら君はアマゾン行くんやろ?」

俺「はい!」

M「ええな~。んで、ぷら君はアマゾンからボリビアに抜けるんや?」

俺「その予定です!」

P「あ~あ、また何か問題起こさないでよ~。Mさん居ないのめっちゃ不安だよ」

俺「だだ大丈夫ですよ!!」

M「大丈夫やて、ぷら君もやる時はやるよ」

俺「はい!!」


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その夜、窓のない1番安いドミトリーで俺達は眠った。
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サンパウロは鹿児島県人会館で過ごす事1週間、個室の素晴らしさに気付き、俺はもうこのままここから離れたくないとすら思っていた。生活してみて気付いたのだが、暑ければプールにも入れるし、応接室にあるニンテンドー64でマリオカートは出来るし、管内にはwi-fiが飛んでいてノートPCがあれば常時接続も可能、そして個室鍵付きとくればもうやることは決まっているのであった。干からびる程頑張りぬいた1週間後、俺達はそろそろ宿近辺から足を延ばしてサンパウロを散策してみようという話になった。ガイドブックを見てもとくにこれといって観光名所と呼ぶべきものがないのもこの街の特徴だが、俺達には観光名所以上にお気に入りにしている場所があった。

その日は朝から肌寒く、小雨の降りしきる日であった。サンパウロに到着してからというもの、なかなか晴天には恵まれず、パラグアイから真横に移動したはずなのにこれほどまでに気候に変化があるのかと驚いたものだ。


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県人会館の外に出ると温度計が15度を示している。どうりで肌寒いはずだ。

この日、俺達は教会を見ることと、先程述べたお気に入りの場所である日本人街へ足を延ばし、宿に戻って思い切り日本食を堪能するつもりであった。ロンTの上に唯一日本から持ってきた防寒着のジャケットを羽織って外へ出る。ズボンは短パン、足元はサンダルなのが少し寒いが持っていないことにはどうすることもできない。


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地下鉄から降り、目当ての教会まで歩いて向かう。

P「あのね、そろそろ言おうと思ってたんだけど来週中にはリオに向かわない?」

M「賛成、俺もアメリカにそろそろ向かわないと時間なくなってしまうからな~」

俺「早くない!?もうちょっとサンパウロ見ようよ」

M「見ようって・・・毎日近所を散歩して日本食食ってるだけやん」

俺「それはそうだけど・・・・」

俺がサンパウロから離れたくないことに理由は2つあった。1つは個室の快適さ、そしてもう1つはこの宿についてから頻繁にメールをやり取りしていた相手、リサの事だった。リサは現在アルゼンチンはバルデス半島でペンギンと戯れているらしく、今後の日程は再び北上するか、もしくはチリへと入国し、そのままウユニを目指して北上するルートを辿るらしい。リサからのメールではアンデス山脈をバスで越えなければならないルートは面倒だし体力も使うので極力避けたいとの事だったので、多分アルゼンチン北上ルートで向かう事だろう。そうするとなると、バルデス半島から2週間程かかるだろう。弾丸で移動すれば1日ないし2日で到着できるが、その心配は無い。そうすると、もう少しサンパウロで時間を潰せば戻った時に丁度待ちあわせが出来るのではないかと俺は考えていた。

P「あたしも出来ればそろそろ移動したかったんだけど・・・」

俺「Mさんさ、リオ行ったら即アメリカ飛んじゃうの?」

M「う~ん、リオもそうそう見所は無いみたいやん。なんかあれやろ?新世界七不思議のキリスト像位なんやないの?今はカーニバルの時期でもないから、普通の都会と変わらへんで?」

俺「そっか~」

M「もしバスが満席でチケット取れなかったら痛いし、やっぱり早い方がいいよ」

俺「うん・・・」


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その後、地下鉄へ乗り教会へ向かう。降りた場所はたいそうな都会であった。


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教会を見物し、今度は日本人街へと向かう。サンパウロの日本人街は恐らく南米で最大規模だろう。大きなスーパーに入ると日本のものが大概揃っている。うまい棒にフィリックスガム、うどんにササニシキ、とにかくなんでもござれだ。


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俺「ねぇねぇ、今晩何にする?」

P「もう夕飯の話~?」

M「どうせぷら君は飲むだけやろ~?」

俺「だって・・・もうこれが楽しみで楽しみで・・・」

P「だってまだお昼だよ~?買い物してまた今日も戻っちゃう?」

俺「だって俺日課の昼寝があるもん」

P「そういやいつも昼寝してるよね~」

俺「あそこはエアコンもあるしさ~、ソファーもフカフカだしマジで最高なんだよ~」

M「ま、でも確かに何も他に見るもんは無さそうやし、戻ろか?俺も宿のPC使って航空券調べたいわ。時間あんまあらへんからリオで良心的な旅行会社あるか調べときたいしね」

P「う~ん、じゃあ買い物して戻ろうか?」


俺達はその晩、「さよならサンパウロ」と題して少し豪華に鍋をやることにした。と、言ってもサンパウロを出るのは来週の話である。だが、宿に戻った俺達を待っていたのは衝撃の事実であった。


俺「ただいまです~」

従業員「おかえりなさい。えっと、3人ちょっといいかしら?」

P「はい、あ・・これ冷蔵庫に入れてくるんでちょっと待っててください」


数分後


P「お待たせしました」

従業員「あのね・・・凄く言いづらいんだけど・・・」

P「はい」

従業員「ここの話が新聞に載っちゃったのよ」

M「どゆことですか?」

従業員「う~ん、見て貰った方が早いわ・・」

M「はい・・・・・・。ふむふむ・・・・。おいぷらこの野郎

俺「えええええ!?何!?」


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俺「なんだこれえええええええええ!?」

M「なんやこれ!?」

P「これ・・・・」

俺「俺じゃないよ!俺じゃないって!!」

P「だってあんた・・・・さっきも昼寝の時間がどうのこうのって・・」

俺「そりゃここで昼寝をしてたけどこの写真は俺じゃないよ!」

従業員「あの・・・そういう問題ではなくてですね・・・・」

俺「あ・・・はい・・」

P「あの、スグに出ないといけませんか?」

従業員「今日とは言いませんけど、明日の午前中にはお願いできますか?」

P「はい・・・すいません・・・」

M「すいませんでした・・・」

俺「ごめんなさい」

俺達はそれから荷物の整理をする為に各々部屋へ戻ろうと事務室から出た。部屋は目の前だが、やけに重苦しい空気が俺達3人を取り巻いている。

俺「ね・・・ねぇ?でもほら、本当にさよならサンパウロ鍋になるね・・・」

P「しゃべらないで」

俺「あ・・・はあ・・・・・」

M「じゃ、夜飯6時に・・・お疲れ~」


そして非常に重い空気のままサンパウロでの最後の晩餐となったが、酒が入った時間後、俺はキッチンの床に頭をこすりつけてPちゃんに謝り、どうにか事なきを得た。来週中に行く予定であったリオ、それがまさかの明日出発である。果たしてバスはあるのか、リサと会えるのか、そんな事を考えながら俺は個室で最後の時を満喫した。


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(ソファーと俺のバックパック、奥には枕用のクッション)
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今まで以上にリクライニングする座席、フカフカのシート、静かな車内、大型バスに似つかない快適な乗り心地。これだけの好条件を満たしているにも関わらず、俺は眠れずにいた。バスはパラグアイから一旦アルゼンチンへと入り、すぐにブラジルへと入った。そこから既に2時間は過ぎているだろう。通路を挟んで俺の右側にはMさんとPちゃんがいるが、既に眠りについている。車内は暗いので今何時か確かめることも出来ず、まして俺の隣にいる何人か分からない毛深いおっさんに話しかけても自分の語学力を呪うことになるのは目に見えている。目を瞑っても思い浮かぶのは今後のルートのことだけだ。何度も言うが俺はブラジルへ入る予定はなかった。そもそも南米に来たのも「ウユニ塩湖」に行ってみたいという理由だけで、アルゼンチンからウユニを目指せばその途中途中で何かしら観光も出来るだろうと考えていた。確かにブラジルへ入ることで何かしら発見もあるだろう。出会いもあるかもしれない。今回の旅の趣旨に見合っている。だが、1つだけ決定的に予定外な事実がある。確実に今俺はウユニ塩湖から遠ざかっているという事実だ。

Mさんはニューヨーク、Pちゃんはアマゾン。ようするに、どうあがいても2人のどちらかと行動を共にしない限り俺はリオで一人ぼっちになってしまう。アメリカへの飛行機で飛ぶMさんと一緒に行動を共にするという選択肢はないにしても、残るのはPちゃんとアマゾンである。果たして俺はウユニ塩湖に無事到着できるのであろうか。この祭ウユニ塩湖は無しにしてしまおうか。いやいや、あれだけはどうしても行きたい。でもリオから1人で行けるのか?

何度同じ事を考えた時だっただろうか。Pちゃんが目を覚ました。

P「ぷら君・・・?眠れないの?」

俺「あ、Pちゃん。起きた?うん・・・眠れなくて」

P「まだ先は長いし、明日はどこに降ろされるかも分からないから寝ないと辛いよ?」

俺「うん~」

P「何か考え事?あの女の子のことかな?」

俺「いや、リサの事ではないんだけどさ・・・」

P「どうしたの?」

俺「俺ね、ウユニに行きたいって言ってたじゃん?」

P「うん」

俺「でも、リオまで行って皆と別れたら行ける自信も無いし、凄く遠回りになるよね?」

P「そうだね~」

俺「だからどうしようかなって。ウユニ・・・諦めようかなぁ」

P「駄目だよ。あそこは絶対に行った方がいいよ!」

俺「Pちゃん、そのうち行くの?」

P「なに言ってるの?私はコロンビアから南下してきてるから、もう行ったよ」

俺「え!?」

P「また話聞いて無かったでしょ~?」

俺「いや、ごめん。マジでビックリだよ」

P「半年位前かなぁ?凄かったよ。一面の塩の世界。どこまでも続く地平線」

俺「うんうん!!」

P「だから、絶対に行った方がいいよ」

俺「どんなルート辿ったら行けるかな?」

P「そうだね~。リオから、ここまでと同じルートでアルゼンチンに戻って北上するか、飛行機で飛ぶか、あ!!」

俺「どしたの!?」

P「アマゾンからボリビア側のアマゾンに抜けられるはずだよ」

俺「じゃあ、Pちゃんと一緒にアマゾン行けば!?」

P「多分行けるはず!後で調べてあげるよ」

俺「うんうん!!」


その後、安心できたからか俺は眠ることが出来た。今後はサンパウロからリオデジャネイロを目指し、リオでMさんを送りだした後にPちゃんとアマゾンへ向かうのだ。アマゾンなんて「世界ふしぎ発見」で見る世界とばかり思っていたが、この様に自分がその地に立てるという事が現実味をおびてくると、いよいよ「俺は旅をしてるんだ」という実感が生まれてくる。


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翌朝6時、バスはサンパウロ郊外のバスターミナルへと到着した。快適な移動のおかげで体も痛くないし睡眠も十分に取れた。これからまず今晩宿泊する宿を探さなければならない。目当ての宿は「鹿児島県人会館」だ。鹿児島県人会館はサンパウロのほぼ中心に位置する高級住宅街にある。観光するには少し不便な場所だが、従業員の温かさ、そしてやはり南米の中にある小さな日本という事で数多くのバックパッカーが宿泊を希望して押し寄せるのだ。だが、この鹿児島県人会館は県人会館であり、決してバックパッカーが泊まるためにある安宿ではない。県人会館の方の優しさで宿泊することを許されているのである。


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バスを降りた俺達は小雨が降る中鹿児島県人会館へ向かうために朝のラッシュに巻き込まれながら地下鉄へと乗り込んだ。その人の数たるや・・・。東北地方の更に田舎町に暮らしている俺にとってすさまじい光景であった。背中にバックパックを背負うと邪魔になるので前にかかえて歩く。はぐれたら一巻の終わりである。俺はPちゃんの上着をシッカリと持ち、くっついて歩いた。最後はスペイン語堪能なPちゃんである。すまぬMさん。

地下鉄へと乗り込み、乗り換えをしながら県人会館のある駅へ到着した。随分とこざっぱりした場所だ。背の高いビルも少なく、噂通りに高級住宅街のようだ。鹿児島県人会館は前述したように宿ではないのでガイドブックには載っていない。俺達はPちゃんが前もって調べておいた情報ノートの地図のコピーを見ながら宿へと向かった。ほどなくして到着した鹿児島県人会館はどうみても一軒家だった。

P「ここ・・・のはずなんだけどなぁ・・・」

俺「ここ普通の家なんじゃない?」

M「でも住所の番地もここやん」

P「ちょっと聞いてみようか?ペルドーン(すいませ~ん?)」

従業員「はい、あら・・・」

P「ここ、鹿児島県人会館ですか?」

従業員「そうよ。旅行者の方?」

P「はい、あの・・・数日間お世話になりたいんですが?」

従業員「え~と、3人・・・ねぇ・・・・」

俺「あの?いっぱいなんですか?」

従業員「あのね、ここはそもそも宿ではないのでベッドも少ないのよ。今ここには日本の鹿児島県からサンパウロの和食屋さんへお手伝いに来ている交換留学生の方が2人宿泊しているのでベッドがあと2つしか空いてないの」

P「あちゃ~、どうする?他探す?」

従業員「でもせっかく来てくださったんだからお茶でもどうぞ。さぁ、あがって」


俺達は従業員さんの好意に甘えることにした。考えてみるとお茶なんぞ久々である。


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中に入ると真っ先に飛び込んできたのは鎧兜であった。黒塗りのソファーが並べられた応接室には歴代県人会館の館長さんの写真が並べられている。とても宿とは思えない雰囲気だ。中庭にはプールがあり、書斎には綺麗に日本語の本が並べられている。俺達は窓際にあるテーブルでお茶を出してもらい、従業員のおばさんと話をした。


従業員「そう・・・パラグアイから・・」

M「はい。で、この周辺にどこか宿ってありますか?」

俺「Mさん、こんな時は標準語なんすね?」

M「うるさい。で、どうでしょう?」

従業員「そうねぇ、この辺りは住宅街だから・・・」

P「やっぱり移動しないと駄目ですか?」

従業員「ここから3つ離れた駅に宿があることは聞いているんだけど、名前までは分からないわ」

P「そうですかぁ・・・」

俺「あの、俺どこで寝ても構わないので泊めてもらえませんか!?」

従業員「でも、さっきも言ったけどベッドが2つしかないのよ」

俺「俺、どこでもいいです。ここのソファーでもいいです」

従業員「ここは一応応接室だから・・・」

俺「じゃあ、食堂でもどこでもいいです。寝袋も持ってますし、ほら!」

従業員「困ったわねぇ・・・、ちょっと待ってね。館長さんに電話で聞いてみるから」

俺「はい!!」

そして従業員は館長さんに電話をしてくれた。

従業員「OKみたいよ。ただ条件があるみたいなの」

俺「なんですか?」

従業員「やっぱりベッドがない場所には泊める事ができないから、この建物の裏にある部屋に1人泊まって欲しいんだけど、それでもいいかしら?」

俺「いいですよね!?Mさん!?」

M「なんで俺やねん。ぷら君どこでもええんやろ?」

従業員「女の子には向かないから、あなた達どちらかがそこでもいいなら宿泊を許可するわよ」

M「よ~しぷら君、ここは男らしくジャンケン1回勝負にせぇへんか?」

俺「望むところです」

俺&M「じゃ~んけ~ん・・・ポン!!」


当然の如く俺は散った。


従業員「じゃあ、あなたはこちらね」

俺「あい・・・」

M「じゃあな~」

俺「永遠の別れみたいに言わないでくださいよ!てか遠っ!これ外に出てるじゃないですか」

従業員「しばらく使われてない部屋なの。我慢してね」


俺が案内されたのは宿の奥にある倉庫を突き抜け、更にその奥の1室だった。中からなにか出てきそうな気配がドアの前に立っただけでプンプン漂ってくる。

俺「あの・・・?ここですか?」

従業員「はい。じゃあ、これがシーツと毛布ね」

俺「ええええ?!入らないんですか!?」

従業員「ええ、それではごゆっくり」

俺はシーツと毛布、枕を抱え、恐る恐る部屋を開けた。




俺「キャアアアアアアアアアアアアアア」



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個室ゲット。
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なにもする事なくダラダラと過ごす。これほど贅沢な時間の使い方はないだろう。ツアーや団体旅行では必ず時間は決められているものである。自由行動と呼ばれる時間も勿論あるが、限られた時間の中で旅行を楽しむためには観光やホテルから出て周囲を散策するのが普通だ。ホテルの部屋でエアコンを利かせて1日ゴロゴロしているなど勿体ない。それは俺も勿論そう思う。だが、それはツアーや団体旅行であの話だ。今回、このパラグアイの宿で5日程過ごしたが本当にゴロゴロしていただけである。1年、2年と長期での旅行を考えている旅人ならまだしも、金がなく長期滞在が出来ない俺にとっては珍しいことであった。過去にはエジプトのダハブで1度あったきりだ。

バックパックを担いで旅をするバックパッカースタイルの旅行では、この時間の捌き方というのは非常に重要になってくる。俺のように次へ次へと進む旅人は、どれだけ気の合う仲間と出会えても、その仲間が「俺はここ気に入ったしもう少しここにいるよ」と言われたらそこでサヨナラだ。特に俺のように言葉も話せず、1人で行動するのが不安な旅人は常に誰かと一緒に居たいと思うものなのだが、こればかりは仕方ないのである。


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パラグアイ出国の朝、俺は生協で見つけた韓国のカップラーメン「辛ラーメン」とPちゃんから貰ったコーヒーで朝食を済ませた。この辛ラーメン、とにかく辛いだけなのだ。日本国内でも売っているので見つけたら是非食べてみて欲しい。

朝食を済ませた俺達は宿をチェックアウトし、宿近郊のバス停から再びパラグアイの国境の街アスシオンへと向かかう。これから向かう先はブラジルはサンパウロである。サンパウロには何があるかなどまだこの時俺は何も知らなかったし、これから俺の身にふりかかる絶体絶命の窮地など知る由も無く、俺は呑気にバス停の石で造られたベンチに腰を降ろして煙草を吹かしていた。

P「あのね、ブラジルはスペイン語じゃなくてポルトガル語なんだよ。あたしポルトガル語は分からないから・・・ちょっと不安かも・・・」

M「でもスペイン語と似てるから大丈夫って良く聞かへん?」

P「う~ん、どうなんだろう」

俺「大丈夫だよ。俺なんか英語すら分からないし。どうにかなるよ」

P「ぷら君はほんと呑気でいいよね~。ある意味尊敬するよ~」

M「ま、コイツはアホやしね」


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バスを待ち続けて1時間程経過しただろうか。一向にバスの来る気配が無い。

俺「バス来なくない?」

P「もう来てもいいんだけどね・・・。あんまり遅くなるとサンパウロに到着するのが夜中とかになっちゃうよ」

俺「それまずいの?」

P「まずくはないけど、知らない街だし陽の出てる時間の方がいいでしょ?」

俺「そんなもんなの?俺あんまり気にした事なかったなぁ」

M「だからトラブルばっかなんよ君は」

俺「はぁ・・・・」


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更に待つ事10分、バスはようやくやってきた。国境から乗ってきたものと同じ見覚えのあるバスだ。だが今回は雨も降っていないし水びたしになる心配も無い。バスはガタガタと音を立てて走り出した。赤茶けた土がだんだんと少なくなってくる。イグアス移住区は本当に何も無い場所であったが、俺は異国の大地に確実に根付いている日本文化に触れられた事がとても嬉しかった。

国境で出国手続きを済ませると俺達はサンパウロまでのバスのチケットを購入することにした。これから1時間後出発のバスがあったが、それに乗ってしまうとサンパウロに到着する頃には夜中になってしまうようだ。待て、計算がおかしいぞ。サンパウロまで何時間かかるんだ?

俺「あの・・?質問いい?」

P「はい、ぷら君」

俺「俺ね、マジでブラジルなんか行く予定なかったからさ、何も分からないんだけどサンパウロってどこにあるの?」

M「ぷら君マジで言ってるんか?」

俺「いやいや、サンパウロの名前は知ってるよ!キャプ翼で読んだし」

M「サンパウロは・・・そやなぁ。ブラジルの内陸の下の方や」

俺「はぁ・・・・で、ここからどの位バスに乗るの?」

P「18~20時間だって」

俺「ええええ!?」

P「仕方ないよ。南米は広いんだもん」

M「それでやな、こんだけ長時間の移動やからバスはカマかカマスウィートにしよう思うんやけど、どう?」

俺「それ高いの?」

M「スウィートは随分値段張るねぇ」

俺「その2種類しか選べないの?」

P「その下にセミカマってクラスもあるよ」

俺「それでいいじゃん」

M「だってカマの方が豪華やし、ゆったりやぞ?」

俺「別にいいよそんなの。椅子があって、エアコンあれば俺はなんでもいい」

M「その条件を満たさないバスなんかこの世に存在せぇへんわ!」

俺「いやいや、Mさん、沢山あるんですよ・・・話すと長くなりますが・・」

M「まぁ、どうでもええけど俺はカマが希望やね。Pちゃんは?」

P「あたしは何でもいいよ~。ブラジルのバスってアルゼンチンとかチリと同じ位豪華らしいから、ぶっちゃけセミカマでも快適だろ思うよ」

M「だってこのパンフレット見てみぃ!椅子のリクライニングが180度やよ!?」

俺「椅子なんぞ倒れなくて結構!!安いので行きましょう!安いので!」

M「ぷら君・・・20時間やよ?」

俺「大丈夫です!よし、ここは俺がチケットをか P「待って!」

俺「はい・・・」

P「チケットはあたしが買ってくる。で、クラスなんだけどセミカマで行こう!サンパウロから次はリオ目指すわけでしょ?その時にカマとか乗ればいいんじゃない?」

俺「え・・・?リオってなに・・・?」

M「リオデジャネイロやん」

俺「そこ行くの?」

M「行くって前から話してたやん」

俺「なにそれ怖い。知らない僕」

P「ぷら君大事な話してる時いつもベロンベロンだからね~。あの時『リオ!?行く行く~!』って1番張り切ってたじゃん」

M「なぁ?」

P「うん。でも、無理しなくても大丈夫だよ!サンパウロも大きな街だし、そこから各国、各地に移動できるから」

俺「いやいやいや、行くよ!行きますよ」


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こうしてとりあえずはサンパウロまでの移動手段は決まった。バスの発車はこれから6時間後である。俺達は国境に併設されているレストランへと入った。荷物は既にバス会社へ預けてあるので身軽だ。朝、あの辛いだけのラーメンしか食べていなかったのでここで昼食兼夕食を食べる事にする。


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財布に入っているパラグアイの紙幣グアラニーを全て使い切るように注文しまくる。とりあえず1.5Lの瓶ビールによく分からないゴッタ煮。Pちゃんはサンドウィッチにコーヒー。Mさんはパスタにオレンジジュースだ。

俺「ちょっと、これ1人で飲めないからMさんも少しどうぞ」

M「俺はいいよ~。あ、もう注がないでよ」

俺「はい、Pちゃんも」

P「あたしもいいよ~。これから長距離移動なのにトイレ行きたくなるじゃん~」

俺「カマなんですからトイレ位ついてますよ」

P「あ~もう~」

俺「俺なんかホラ!長距離に備えて缶ビールまで5本買いましたよ」

M「今から出発まで6時間もあるんよ・・・・?」

俺「細かいことはどうでもいいんです。さぁ、まだ見ぬブラジルに乾杯しましょうか!」

P「もう・・じゃ、かんぱーい!」

M「かんぱーい!」


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6時間後、既に酔い潰れベンチで爆睡していた所をPちゃんに叩き起こされる。いよいよブラジルへ入国だ。20時間のバス移動は不安であったが、バスがやたらと豪華である。これでセミカマならばカマスウィートというのはどんな豪華さなんじゃ?

バスに乗ると中は広々としており、シートも広くフカフカである。

俺「ちょっとこれ・・・凄い快適じゃないですか~!」

M「そやけどこれ・・・リクライニングあんませぇへんやん?」

俺「こんなに倒れるじゃないですか!ほら!ほら!あっ、ソーリー」

P「ちょっと、後ろの人凄く嫌そうな顔してるじゃん」

俺「ごめんなさい、余りに豪華過ぎてはしゃいじゃいました」

P「はぁ~。とにかく、これでやっとブラジルだね~」

M「そやね。一時はどうなることかと思ったけどね」

俺「もういいじゃないですか~。パラグアイも楽しかったですよね?」

M「まぁ、それもそうやね」

俺「で、話変わるんですけどサンパウロって何があるんですか?」

M「なにもあらへんよ」

俺「え?」

M「ただの都会」

俺「なんでまたそんな場所に?」

M「だってリオまで35時間バスに乗るって辛いやろ?」

俺「ああ、そうか。そうですよね」

P「それにね、サンパウロには鹿児島県人会館って場所があって、そこに泊めさせて貰えるらしいの」

俺「なんすかそれ?」

P「本当は寝泊りする場所じゃないんだけど、もしかしたら泊まれるかも。それにね、サンパウロには南米最大って言われてる日本人街があるんだよ~」

俺「へぇ~。じゃ、今度こそすき焼きしましょうよ!」

P「うんうん。長い事こっちにいると日本食恋しくなるよね~。あれ?そう言えばぷら君ってこっちに来てどれくらいなの?」

俺「え~と・・・今日で丁度1カ月位かな?」

P「1カ月!?なら全然平気じゃん」

俺「いやいやいや、1カ月だよ!?1カ月日本食食ってなければ食いたくなるよ~」

P「あたしなんか学校から計算すると1年半だよ」

俺「なにそれ凄い・・・」

M「俺は3ヶ月かな~。俺の旅ももうそろそろ終わりや~」

俺「え!?Mさんブラジルから日本に帰るんですか!?」

M「君はほんま人の話を聞いてない子やね。俺はブラジルからアメリカに飛ぶの。で、ニューヨークから日本に帰るんだよ。ニューヨークも見たいからあっちでの期間2週間は欲しいからねぇ」

俺「そうだったんですか・・・」

P「ぷら君は結局どうするの?」

俺「まだ分かりません。とりあえず次にネット環境ある所でメール見てみます」

P「そっかそっか。じゃあ、3人で過ごすのもこの先そんなに長くないかもね~」

俺「Pちゃんはリオからどこに行くの?」

P「あたしはね~。アマゾン

俺「ア・・・・アマゾン!?」

P「うん!アマゾン」

俺「なにそれ面白そう」

P「楽しいみたいだよ~!良かったら来る?」

俺「場合によってはついていくかもしれません」

P「そかそか、とりあえずは皆でサンパウロだもんね」


次回、サンパウロ。
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荷物をまとめ、翌朝1人宿を出る準備をする。迷惑をかけてばかりで本当に申し訳ない。数人で行動を共にしていればお互い少なからず迷惑はかけることになるだろう。だが俺はかけ過ぎである。ああ、実感はあるさ。でもわざとじゃないんだよ。中東でも好き好んで詐欺に遭いまくったわけじゃないし、トラブルに巻き込まれたわけでもない。俺はただ普通にふるまってただけだ。昨晩、あまりに悲しかったので俺は夕飯を食べずに部屋にこもった。狭い宿なので談話室からは宿泊客の楽しそうな話声が聞こえていた。しかし俺がいる部屋のドアがノックされる事はなかった。俺はね、弱い人間なんです。はたから見れば勝手に部屋に閉じこもった奴なんだろうけれど、声をかけて欲しいわけよ。なんで分かってくれないの!?ねぇ!?ねぇ!?

ってなワケで、そんな薄情者とは一緒に旅を続ける事はできません。被害妄想全開で「これ以上迷惑をかけられないから」という理由でここからは1人別に旅をすることを伝えよう、そう考えていた。それでも女々しい俺はMさんかPちゃんが「なに言ってるの!気にしてないから一緒に行こうよ!」と言ってくれるのを期待していた。荷物をまとめ終えたのでワザとらしく談話室へバックパックを出す。まだ朝も早いので誰も起きていないようだ。このまま置き手紙でもして勝手に出ていけばいいのだろうが、弱虫な俺はそのまま3時間程誰かが来るのを待ち続けた。


最初に談話室へやってきたのはPちゃんだった。俺が話題を切りだそうとすると先にPちゃんが口を開いた。

P「おはよー!ぷら君昨日疲れてたの?待ってたんだよ~。でも起こしたら悪いと思って起こさなかったんだ。あ、これビールね。昨日ちょっとキツく言い過ぎちゃったから・・・ごめんね。これ私からのお詫び」


俺「Pちゃああああああああああああああん!!!」

P「どっ・・どうしたの!?」

俺「いただきます!!!」

ブシッ ゴクッゴクッ

P「よくもまぁ、そんな朝から・・・。でも元気そうで何よりだよ。あれ?その荷物どうしたの?」

俺「あ・・・これは・・・その・・・。汚れてたから外に出して掃除しようと思ってたんだ」

P「そう・・・。それでね、昨日話したんだけどもう少しここにいようと思うの。ぷら君もどう?」

俺「うん!!」

P「良かった。今日はね~、皆ですき焼きやろうって話になってるんだよ~」

俺「すき焼き!?」

P「あのね、ここ農協もあるし生協もあるんだって!」

俺「おおおおおおおおおお!!」

P「お昼位にMさんも起きると思うから、一緒に買い物に行こう」

俺「うん!!」


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俺はPちゃんが買ってくれたビールを朝から飲み続けた。パラグアイのビールは薄い。しかしちゃんと酔う。俺は昼間からビール3本に飲んでいいと渡された銘柄の分からない焼酎でグデングデンになっていた。

M「おは・・・・うおっ!!」

俺「ああ、おはようごらります~」

M「ぷら君朝からベロベロやね。昨日疲れてたん?イケる?」

俺「あい、もう大丈夫です~」

M「俺等これから買い物行くんやけど・・その様子じゃ無理やね・・・」

俺「いや、行きますよ!連れてってください」

M「別にいいけど大丈夫なの?」

俺「うむ」


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宿を出てMさんとPちゃんの後ろを歩きながら農協を目指す。昨日までの雨は既にどこかに行ってしまったようだ。それにしてもここイグアス移住区はほんとうにほのぼのとしている。まさに昭和初期にタイムスリップしたかのようだ。実に懐かしい。俺生まれてないけど。


のんびりと歩いていると緑の芝生に囲まれた公園のようなものが見えてきた。ブランコやジャングルジムもある。

俺「ちょっとここ寄っていきません?」

P「いいよ~。あたしブランコのろう」

俺達は公園でしばし遊んでみた。ブランコに乗るなんて何年ぶりだろう。滑り台を滑るなんて何年ぶりなんだ?日本じゃ恥ずかしくてできないけれど、こうして旅をしていると出来てしまうことって多々ある。ブランコが一回転するんじゃないかと思う程の勢いでブランコを漕いでいるPちゃんを見ながら俺は煙草に火を付けた。なんかいいなぁ。ここは本当に南米の中にある小さな日本だ。

2本目の煙草を吸い終わる頃、現地の人が公園へとやってきた。よく見ると家族連れの他にもカップルの姿がある。見た目は日本人ではないが、きっと心は日本なのだろう。


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と、そんな時にふと気がついた。公園の奥に何か見える・・・。


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鳥居だった。


もう疑う余地は無い。ここは日本である。


公園を後にした俺達は生協へ向かった。

P「あった!あれじゃない?」

俺「本当だ!COOPって書いてあるよ!」

M「なぁ、あれ凄くない?」

俺「夢いっぱい 元気にはばたけ イグアスの子・・・」

P「間違いなく日本だねここは!」

俺「でも生協の前にショットガン持った警備員いるのは何で・・・・」

M「そりゃ南米だもん・・」


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店内に入ると日本の生協とまでは流石にいかないものの、日本で見かける食材が数多く揃っている。納豆、キッコーマンの醤油、油挙げに海苔、ごはんですよ。全部欲しいいいいいいいいいいいいいい!!!

P「ねぇ、今日牛肉ないんだって~」

俺「じゃあ、すき焼きできないじゃん!?」

P「でもね、豚あったよ。だから角煮作らない?日本酒も売ってるし大根まであるよ」

俺「いいねいいね!!主婦だね!是非!!」

M「うまそうやね!!」


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俺達は豚肉、大根、醤油、酒、みりん、ねぎを購入した。

宿に戻りPちゃんとMさんが調理に取りかかる。俺はその光景を後でビールを飲みながら見守る。勘違いしないで戴きたいのだが、料理をしないのではない。俺も作ると言ったのだが、作らせてくれなかったのだ。そして缶ビール3本を預けられて飲んでいるのだ。PCでマイラバのハローアゲインを聴きながら。


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2時間後、出来上がった角煮は最高に美味かった。

美味かったのだが、2時間の間にビール、日本酒と飲み過ぎて1~2口しか食わなかった事で、Pちゃんのご機嫌がナナメになったのはお約束である。


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(おまけ:北海道を意識し、大の字で直線に寝そべってみたのだが車に轢かれた蛙のようにしか見えない残念な写真)