世界中をぷらぷらしてきた

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カナ&俺「あー!!!!!!」


一目でお互いを確認した俺達は駆け寄った。カナは俺の手を握って「あ~!!!」と叫びながらピョンピョンと跳ねている。嗚呼、なんて可愛いんだ。結婚してくれ。今ここで。

あまりのはしゃぎっぷりに、ドミトリーの扉が開き皆が何事かとばかりに俺達を覗き込む。だがそれも気にしないでカナは続けた。

カナ「ビックリしたよ~!ほんとにビックリした~!」

俺「俺もだよ」

カナ「ぷら君、パムッカレに行ってたんだよね?もしかしてメール見た?」

俺「うん。どこから話せばいいかな?」

カナ「うわぁ~。なんか凄いよ~!ぷら君、ご飯食べた?ご飯行かない?」

俺は先程食べたばかりだったのでお腹はいっぱいだった。だが酒をチビチビやりながらなら何も問題ない。

俺「うん、さっき食べちゃったけど行く~」

カナ「じゃ、ちょっと待ってて、荷物置いてくる!あとさ、もし時間あったらシャワー浴びてきていい?今日昼間歩きっぱなしで汗だくなんだ><」

俺「うん、いいよ~」



シャ・・・シャシャワーだと!?飯だけで済むのか!?


俺はドキドキしながらカナを待った。すると上の階のドミトリーからMさんがおりてきた。

M「お、さっきは随分盛り上がってたみたいだね~」

俺「やっと会えましたよ。これから外に飲みに行ってきます。だからMさん、ごめんなさい。今日は一緒に飲めなそうです」

M「いいよいいよ。気にしないで行っておいで。久々の再会なんでしょ?」

俺「久々・・・ってか・・・。まぁ、そうですね」

カナ「おまたせ~!」

俺「あれ!?!?カナ・・・髪・・・・」

先程まで帽子をかぶってて気付かなかったが、俺の中のカナのイメージポイントである黒髪のロングヘアがなくなっていた。

カナ「えへへ~。切っちゃった」

俺「切っちゃったってなんで!?ええええ!?」

カナ「あのね、実はMさんに切ってもらったの」

俺「へ!?えええ!?」

M「そそ、俺が切ったんだ。俺美容師だったって言ったでしょ?一応旅にも道具とか持ってきてるんだ。簡単なやつだけどね。長期で旅してる人ってなかなか海外で髪切るの勇気いるから、そこを狙って髪切ってるんだ。勿論格安でだよ?」

カナ「あたし狙われてたのか~><」

俺「狙われ・・・ちょっ・・・おおおおい!!」

M「なんでそんな騒いでんの?カナは短いの結構似合うと思ったんだよ。実際可愛いじゃん」

カナ「どう~?ぷら君似合う~?」

M「似合うに決まってんじゃんかよ」







あああああぁぁん!?!?





「何勝手に切ってんだよ。可愛いけどロングの方が断然良かったんだよ!この三流野郎が!お前ごときが人の髪型どうこう言う権利なんかねぇんだよ。身をわきまえろ馬鹿やろうが。あ~。最悪。駄目だこんなの。ちと座れ。あ、勿論正座な。今から小一時間説教するから」


と言いたかったが言えるわけもなく「あ、似合うと・・・思うよ」と言葉を濁し、俺はカナと一緒にそそくさと宿を出た。向かった先は俺が昼間1人で飯を食べたレストランだった。俺はそこでこれまでの話を沢山した。イスタンブールでシリアのビザを取るのに苦労した事や、カナを追いかけて早とちりしパムッカレへ向かった事、その日にカナからのメールを確認して弾丸移動で今ここに来た事、そして実は今朝からこの宿にいること。

一通り俺の話が終わった後で、カナの話を聞いた。カナはここカッパドキアに来てから既に色んな場所へ出かけており、残り滞在予定はあと2日だという事。そこで明日に取っていたメインのレッドツアーなるカッパドキアの奇岩周遊ツアーに一緒に行こうと持ちかけてきた。俺は勿論二つ返事でOKをした。だが、このツアーは申し込みが必要なので明日の早朝ユカさんに伝えなければならなかった。だが問題は無い。今の俺には何でも出来る気がする。

俺「任せて!行くよ!絶対に行く!」

カナ「やった~!あたし1人だったから寂しかったんだ~」

寂しかった・・・。ああ~!可愛い。可愛過ぎる。

俺「他に行く予定は?」

カナ「えっとね、ここの近くなんだけどローズバレーって場所があるんだって。Mさんに教えてもらったんだ。そこ夕日が凄く綺麗みたいなの。Mさんに一緒に行こうって誘ったんだけど、Mさんはもう行っちゃったみたいで断られちゃったんだ。それで、ぷら君がもし良かったら一緒にいかない?駄目?」


M。ナイスアシスト。さっきの許してやる。


俺「行く行く!一緒に行こうよ!」

カナ「やった~!!さっすがぷら君!」

俺「へっへっへ。その為にここまで弾丸で飛んできたんだからね~」

カナ「うふふふふふ」

俺「なに?なにがおかしいの?」

カナ「いや、なんか不思議だな~と思って」

俺「なにが?」

カナ「だってタイで偶然会ったのにさ。しかもぷら君インドに行くって言ってたのにイスタンブールで会って、そしてまたここで会ってるよ私達」

俺「うん」

カナ「だから凄く嬉しいの。よし!ここはあたしが御馳走しちゃう!」

俺「いいよ!割り勘にしようよ」

カナ「いいの~!嬉しいからあたしが出すの!ほら、あっち行ってて」

俺はカナに御馳走してもらうことになった。そして宿への坂道を歩いて戻った。

俺「あの・・カナ・・・?」

カナ「うん?」

俺は今までの人生で1番勇気を振り絞った。

俺「つなぎたい」

カナ「うん~?」

俺「手・・・つなぎたい」

カナ「え~。どうしよっかな~」

俺「早くっ!!」

俺はカナの手をギュっと握った。恥ずかしくてカナの顔を直視できない。そのまま顔を見ないで言葉も発しないで俺達は歩いた。でもこのままじゃスグに宿に着いてしまう。そこで俺は思った。

俺「カナ?もう飲めない?」

カナ「いや、飲めるよ~」

俺「あのさ、今度は俺が御馳走するからもう1件行かない?」

カナ「いいよ~御馳走なんて。ぷら君お金全然ないんでしょ~?無理するなって~」

俺「いや、無理しても一緒に飲みたいんだよね」

カナ「じゃ、割り勘ね!それじゃなきゃ行かない~」

俺「カナ・・・有難う。じゃ、戻ろう!」

俺達は再び宿に背を向けて広場へと向かった。

2件目で再度乾杯をし、俺達は会話を楽しんだ。だが、俺は楽し過ぎてついつい飲み過ぎた。目の前がグルングルンと回る。近くにいるカナが遠くに見える。いつの間にかコクリコクリと眠りに入っていた。

カナ「・・・くん~!!」

俺「うん・・・・」

カナ「ぷら君~!!!」

俺「はっ!!!ごめん!俺寝てたよね?」

カナ「思いっきりねww疲れてるんだよ~。そろそろ宿に戻ろうか」

俺「うん~。ごめん~」

俺達は宿へと戻った。カナは上の階のドミトリーで寝ているらしく、俺をドミトリーに送り届けると階段を登って行った。そして俺はそのまま風呂にも入らないで眠ってしまった。実にこれで4日風呂に入っていないことになる。



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そして翌日眼が覚めた。


隣を見るとスペイン人の女の子の姿も既にない。「昨日カナに会って・・・飲みに行って・・・あ~手つないだな~。あれ?どこか行くって言ってなかったっけ?そうだ!レッドツアー!!!」

俺は飛び起きた。急いで受付へ行きユカさんに話をする。

俺「ユカさん!レッドツアーに行きたいんですけど」

ユカさん「それはいいけど・・・どうしたの?そんなに慌てて?」

俺「今日参加したいんです。あ!昨日話したカナと一緒に参加したいんですよ!」

ユカさん「そんなこと言ったってもう午後1時だよ?カナちゃんは今朝もう行っちゃったし・・・」

俺「1時!?!?!?」

ユカさん「明日・・・参加・・・する?」

俺「考えさせて・・・ください」




俺はまた寝過ごした。
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眠れなかった。眠いのに眠れなかった。今俺の寝転がっている部屋には下着姿のスペイン人と俺しかいない。もちろん、俺は後からソロソロと部屋に入ってきたのでスペイン人は俺がいることに気付いていないだろう。俺はそっと布団をかぶり、寝返りをうつフリをしながらケツを眺めた。あああ、眠れん。眠れんよ。

モゾモゾと動いているとスペイン人が目を覚ました。瞬時に寝たフリをする。スペイン人はゴソゴソと着替えをしだし、外へ出て行った。あれだな。絶対驚くだろうな。一人貸切のドミトリーなので下着で眠っていたんだろう。それなのに気が付けば俺みたいな小汚いアジア人が隣で寝てる(フリ)んだから。俺は楽しみを失ったので本格的に眠る事にした。


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ここ数日ろくに睡眠を取っていなかったからか随分と眠った。目が覚めると既に夕方になっていた。目を開くとカッパドキア特有の洞窟をくりぬいたような部屋の天井がそこにはあった。弾丸移動を繰り返してきたので寝起きはいつも自分がどこにいるのか思い出せない。色々と考えているうちに俺は本題を思い出した。そうだよ。カナを追ってここまで来て、宿の台帳で名前も見つけたんだ。いるはずだ!この宿に!

俺は部屋を飛び出した。再び受付で係員のユカさんに話を聞く。するとカナは今観光で外に出ているらしい。ユカさんもカナが出かけるときは別の仕事をしていたらしく、俺がここに来ている事をカナに伝えてはまだいないようだ。ユカさんの話によると、この時期のカッパドキアは朝晩が随分と冷え込むので夕方もそんなに遅くならないうちに帰ってくるのではないかという事だった。そして朝から何も食べてない空腹の俺に宿で有料にはなるけれどとご飯をすすめてくれたのだった。だが俺は断った。まだこのカッパドキアという場所に来てから周りを何も見ていないので、宿近辺の散歩も兼ねてご飯を食べてこようと思ったのだ。


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宿を出て坂を下り広場まで歩く。トルコ屈指の観光地ともあって広場は観光客で溢れかえっており、それは賑やかだった。360度に広がる奇岩に囲まれたこの地を歩いていると、あたかもそれは地球外の星にいるような錯覚さえ覚えた。








すまん。また言い過ぎた。







俺は何気なしに目に入ったいい雰囲気のレストランへ入った。レストランで飯を食うなど久々だ。びびった俺はメニューの中で1番安いプレートと、トルコビールの代表格エフェスを注文した。


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美味くも不味くもないこの料理を1人モグモグと食べていると太腿にチクリと刺さる痛みを覚えた。


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野良猫が俺の食事のおこぼれをおねだりしていたのだった。

なんかいいなぁ。イスタンブールのビルに囲まれ、早足であるく人々をしばらく見てきたのでカッパドキアの居心地がたまらなく良かった。隣で赤ワインを飲みながら猫のおねだりを微笑み浮かべて見ている欧米人カップル、「ま~たコイツか」的な視線で猫を見るレストランのウェイトレス。その場は本当に絵になりそうな空間だった。

だが俺には貴重な食料である。身銭を切ってやっとレストランで食べることの出来た食料なのだ。野良猫にそう簡単に分け与えるほど優しくはない。



俺はおねだりする猫を一喝し、煙草の煙を吹きかけて撃退した。



腹も満たされ満足した俺は宿に戻った。宿の入り口でユカさんと話をし、まだカナが戻っていない事を確認する。

俺「そっか、まだ戻ってないんだね~」

ユカさん「そうみたいね。でもそのカナちゃんってコを追いかけてここまできたの?」

俺「まぁ、色々あったんですけど話すと長くなるので・・・」

ユカさん「そう。それで、ここから先は何処に向かうの?ここカッパキアには世界中から沢山の観光客が来るから、シーズンオフの今でも早めに次の目的地のバスのチケットは確保しておいた方がいいわよ」

俺「え?そうなんですか?バスって言うと・・・」

ユカさん「この村にターミナルは一つしかないんだけど場所分かる?」

俺「えっと、ここに来るときに俺が降りたターミナルのことかな?」

ユカさん「きっとそうよ。今からでも行ってみたら?」

俺「うん、そうします」

俺は再び宿を出てターミナルへと向かった。


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ここギョレメの村事態は非常に小さく、ターミナルもイスタンブールやデニズリと比べると四分の一程度の大きさしかない。そしてそれに比例するようにバス会社の事務所も少なかった。俺の予定ではここカッパドキアからアンタルヤという街まで移動し、今度はそこからいよいよシリアへと突入する予定だったのだ。


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通常、ターミナルにあるバス会社の事務所は行き先ごとに分かれており、一社で各方面のチケットを手配するようなものではなかった。俺はアンタルヤ行きのチケットを扱う事務所を探した。すると一社しか取り扱いがなかった。正確には行ける事は行けるのだが直通という選択肢は一社でしか取り扱ってなかったのだ。相当無茶なルートでここカッパドキアまで来たので今更イスタンブールからほど近いトロイへ戻る気にもなれない。他に観光地は数多くあれど、既にメインのカッパドキアにいる今、俺は魅力を感じなかった。

中に入り、俺は店員にアンタルヤ行きのチケットを尋ねた。するとこの先2週間は満席だという。だが勿論キャンセルも数多く出るので出発したい2~3日前からターミナルでチケットを求めれば通常は買えるようだ。この時俺はこのカッパドキアに2週間も滞在するとは思っていなかったので、とりあえずチケットは保留にして宿に戻ることにした。


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(チケット売り場のおっさん)


広場から宿へは坂道を登らなければならない。そしてこれが非常に骨の折れる作業だった。とても一気に宿まで帰ることは出来ない急高配の斜面を登る。登りきった頃にはそれが寒かろうが暑かろうが常に汗でシャツがぬれる程だった。俺は宿に戻ったがドミトリーにいるであろうスペイン人の女の子と顔を合わせるのが気まずかったこともあり、外のベンチで煙草を吹かした。

この宿はガイドブックには日本人宿とは明記されていない。ただ、日本人が多く集う宿との紹介だった。現に宿の管理人はユカさんという日本人女性だったし、宿の内部には日本語で案内された看板もあった。だが中には異国の旅人も来るのである。そう、俺がイスタンブールで韓国人宿に泊まったようにだ。しかし身をもって体験した俺が言えることだが、その輪の中にはとても馴染めないものなのだ。だからきっと俺と一緒のドミトリーにいるスペイン人は他にいくらでも空きがあるのにあえて誰も居ない部屋を選んだのだろう。

そうこうしているうちに続々と人が戻ってくる。座っている俺と目があい「こんにちは」とお互い挨拶をする。その中にMさんという男性がいた。Mさんは30近いイケメンで、東京は表参道で美容師をしていたが仕事をやめて貯金で世界一周の旅をしている人物だった。彼はこの先色んな意味でキーマンになる。

俺「こんにちは~」

M「こんにちは。あれ?昨日まで居なかったよね?」

俺「はい。今朝ここに来たんですけど受付で寝てたら皆居なくなっちゃってて」

M「あ~!君か~!床で寝てるから何かと思ったよ」

俺「あはは、見苦しい姿を見られちゃってましたね」

M「どう?これから部屋で飲むんだけど一緒に飲まない?」

俺「いいですね!あ・・・でもちょっと待ってる人いるんですよ」

M「待ってる人?誰かと待ち合わせしてるの?」

俺「カナってコなんですけど分かりますか?」

M「あ~!カナちゃん待ってるんだ」

俺「あ、知ってますか?」

M「うん、アイツならもうすぐ戻るんじゃないかな?今日は自転車借りてたから近辺回ってるはずだよ。もう外も暗いしスグ来るよ」

俺「うん、待ってみます」

M「もし良かったら後からでも飲みに来なよ。韓国人1人と日本人俺を含めて二人しかいないからさ」

俺「有り難うございます」

M「それじゃね。俺の部屋そこだから」


Mさんはそう行って部屋へと戻っていった。なんか仲良くなれそうな気がする人だ。

俺が旅をしてて思ったことが1つある。それは年齢による壁だ。俺は27歳でフラフラと旅をしており、大学生の旅人などと一緒になると話の合わないところが多々あった。でもそれは当然なのである。5~6歳も年齢が違えば考えからも当然違ってくるからだ。だがMさんは俺より年上だが社会に一度出て生活をしている。その余裕さからか、今少し話しただけでもウマが合うとピンとくるものがあった。

外は随分暗くなった。それでもカナは戻ってこない。もしかしたら外のレストランで夕飯を食べてから戻ってくるのかもしれない。ここギョレメは夜になるとレストランも随分賑やかになる。俺は諦めてMさんの部屋へ行こうと腰を上げた。その時だった。


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俺&カナ「あ!!!!」



真っ暗になったゲストハウスの中庭で、俺達は3度目の再会を果たした。
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デニズリのバスターミナルで俺は途方に暮れていた。

まさかのカナからのメール。俺は一刻も早く駆けつけたかった。だがパムッカレからカッパドキアまでは長距離バスをもってしても11時間の移動が必要だった。それに拍車をかけて今すぐ乗れるバスが無かったのであった。最短でも本日夜のバス。俺はここまでイスタンブールからの弾丸移動でベッドというか布団というか、横になって眠ることも許されず、今日という今日は1泊ゆっくり布団で眠るつもりだった。だが、俺は天使の呼び出しを見てしまった。行くしかなかった。行って気持ちを伝えたかった。

たった2週間。カナと出会ってから今日まで過ごした時間である。これだけで「好き」という気持ちを伝えても信用してもらえるか分からない。それでも俺は確信があった。俺はやはり好きなのだ。俺は夜までバスを待った。

デニズリのターミナルから夜6時にバスは出た。そしてその中に俺の姿があった。数日まっとうに眠っていなかった事もあり、俺の体は悲鳴をあげていた。屈強な本物のバックパッカーならばこんな移動を何とも思わないのかもしれないが、俺はバックパッカーではない。似非バックパッカーだ。かなりこたえるものがあった。それでも耐えられたのは、やはりカナに会いたいという一心だった。


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朝5時、まだ誰も起きていないギョレメのターミナルにバスは到着した。パムッカレから直でカッパドキアを目指す旅人というのは数少なく、俺が乗ったバスから降りたのは俺だけだった。イスタンブールから600km。俺は弾丸移動でカッパドキアへと到着した。インド行きを断念し、カナと一緒にカッパドキアへ行きたいと旅のベクトルを変更してわずか2週間。俺は早くも目的地へ到着したのであった。


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陽もまだまともに登っていないギョレメの村を俺はさまよった。一体どこに行けばいいのか。それさえも考えず俺はパムッカレを飛び出していた。カナからのメールを今読み返すに、カナが宿泊しているゲストハウスの名前をメールに書かなかったということは、多分俺が追ってくることはないと思ってのメールだったんだなと今しみじみ思う。

俺は悩んだ。



「どこに行けばいいんだ・・・」


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イスタンブールとは違い、明らかに周りの景色が違う。明け方のこの時間、外を歩いている人影は見当たらない。カナがどこのゲストハウスに宿泊しているか分からない今、俺が頼れるのはガイドブックだけだった。俺はガイドブックで日本人宿の場所を調べた。ギョレメの村で日本人宿と明記してある宿は2つ。このどちらかにカナはいるはずだ。二分の一。その時、俺は二分の一を外す気がしなかった。宿紹介の写真を見てカナが気に入りそうな宿だったからか、俺の知っているカナならば、きっとこっちに泊まるだろうと予想したからか、俺はある宿を目指し歩きはじめた。

イスタンブールとは違い、朝方は相当に冷え込んでいた。俺はバックパックから毛布を引っ張りだし、それに包まりながら歩いた。それと同時に同じ国でも西と東でこれほどまでに気候が違うものなのかと実感した。今思えば沖縄と北海道、違うのは当たり前なのだけれども。


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ガイドブックに書いてあった宿へと俺は到着した。だが受付に行くも時間が時間なので誰も居ない。

俺は疲れ果てて、宿の受付のソファーでそのまま眠りについた。

そして目が覚めた。

外がザワザワと賑わっている。


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外に出た俺は今自分が居る場所を初めて理解できた。ここ、ギョレメの村自体がカッパドキアだったのだ。宿係員を探して宿泊の申し込みをした。

俺「あの、今朝早くここに着いたんですけど誰も居なかったので寝されてもらいました。今日泊まれますか?」

ユカさん「今はシーズンオフだから、宿はガラガラよ。勿論、泊まってOKだよ」

俺「有難うございます!それで、聞きたい事があったんですけどここにカナって名前の女の子泊まっていませんか?」

ユカさん「カナ?ごめんね、私名字かニックネームでしか呼ばないからカナってこは分からないわ」

俺「そか。あの、宿の宿泊者名簿ってありますか?」

ユカさん「うん、これでいい?」

俺「有難うございます」

俺はカナの名前を調べた。この宿は本当にこの時期宿泊客が少なく、宿の台帳の1番上にはカナの名前があった。

俺「あった!カナ!これです!この子今どこにいますか?」

ユカさん「うちの宿は男女分ける事はしてなくて、全部ドミトリーだから・・・この子は・・・4番のドミトリーね。でもこの時間だし、まだ皆寝てると思うから私が会ったら伝えておくよ?君は今ここに着いたんでしょ?随分疲れてるみたいだし少し休んだ方がいいかもね。君は6番のドミトリーにお願いね。ベッドはどこでもいいから」

俺「有難うございます!じゃ、カナに会ったら俺の事教えてください」

こうして俺はドミトリーへ入った。カッパドキアの宿らしく洞窟を掘ったような場所にベッドが並んでいる。俺のベッドの横にはキュートなスペイン人の女の子がTバックのまま、それはあらわな姿で寝むっていた。


俺は、結局眠れなかった。
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驚くほどグッスリ眠れたんだと思う。早朝5時、俺はバスターミナルに到着したが全然眠くなかった。朝の寒気が嘘のように気持ちいい。ターミナルは人影もなく、朝日が今にも昇ろうとしているその風景は絶景だった。


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しかし一体どの辺がパムッカレなのか。どこが世界遺産なのか。そこには石灰岩に囲まれたあの美しい風景はなかった。俺はガイドブックを広げた。ガイドブックによると今俺のいる場所はデニズリという田舎町のバスターミナルらしい。パムッカレに向かうにはここからローカルバスを乗り継いで向かわなければならないらしい。俺はバスに乗り、パムッカレへと向かった。トルコ語が全然分からないので予め運転手にガイドブックの写真を見せ「パムッカレ!OK?パムッカレ!」と伝える。40分後、運転手は俺に向かって「パムッカレ」と叫んだ。


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バスを降りるとそこには石灰によって形成されたパムッカレの石灰棚があった。まるで雪が降ったようだ。そして運が良かったのか、こんな早朝にパムッカレを訪れる者はまだいなく、入場ゲートで金を払うこともなく俺はパムッカレへと入ることができた。


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入り口のゲート付近でまだ眠っている犬を横目に俺は山を登り始めた。

パムッカレは本当に凄かった。それは想像を遥かに超えた絶景だった。白くモコモコと綿飴のような形をした岩の周りに少し生暖かい青い水が張られ、空の青と、岩の白との組み合わせで俺はまるで空の中に浮いている錯覚さえ覚えた。


すまん。言い過ぎだ。


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俺は心から思った。


「ここにカナと一緒に来たかったなぁ」


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まだ明け方で静かなこのパムッカレ。俺はチャポチャポと裸足で水の中に入った。目の前にカナがいると想像して写真を撮る。写っていたのは当然ながら風景だけだった。こんな綺麗な景色の中でポツンと1人。寂しい。いくら世界遺産と呼ばれるほどの絶景でも1時間程眺めていると飽きてしまう。なんて贅沢なんだ俺は。その後俺は石灰棚を登り続けた。山を登りきるとそこには温泉や遺跡があった。


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しかし出るのはタメ息ばかりだ。やはり1人は寂しいのである。

ふと俺は思いついた。なんで俺はカッパドキアではなく、ここパムッカレに最初に向かったのか。それはカナがもしかしたら来ているかもしれないからだ。俺は元来た方向へ山をくだった。


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山をくだり、辺りを見渡すと観光名所らしく安宿や土産ものの店が数多くあった。もしかしたら、カナがいるかもしれない。俺はガイドブックを広げ、日本人宿が無いか調べた。カナは結構心配性だ。日本人宿があるならば日本人宿に泊まっているはずだ。ペラペラとページをめくると、一つだけ、日本人が経営している安宿があった。ここだ・・・。

俺は急ぎ足で宿を探した。

入り口を見つけ、中に入る。

俺「おはようございます」

宿主「あら・・・日本人?おはよう」

俺「ここに、カナって子来てませんか?」

宿主「カナ・・・?ここには来てないわね。うちは小さい宿だからベッドが6つしかないの。今泊まっているのは全部で4人よ。良かったら部屋でも見ていく?今日ここに来たの?」

俺「はい、お邪魔していいですか?」

いるわけが無いと思いながらも、3度目があるかもしれないと淡い期待を抱いて部屋へ向かう。部屋に入るとそこはパンツ姿でゴロゴロと横になっている男4人の姿しかなかった。

俺「えっと・・・やっぱいないみたいですね・・」

宿主「そう。ここに来るって言ってたの?」

俺「いや、そういうわけじゃないんですが日本人宿ってガイドブックに書いてあったのでもしかしたらと思って」

宿主「そう。連絡先とか分かれば良かったのにねぇ」

俺「いや、ここに来る前メール送ったんでもしかした・・・・メール!!あの、パソコンありますか?」

宿主「あるわよ。そこにあるの好きに使っていいわよ」

俺「ありがとうございます!」


もしかしたら、昨日送ったメールを見て返信をくれているかもしれない。パソコンを起動してヤフーメールを開く。受信は1件。またメーラーダエモンさんだというオチは今は期待していない。俺はメールを開いた。


送信者:カナ


きた!!カナだ!!送信日は昨日の夜になっている。俺がバスでイスタンブールを出たあとに返信をしたということだ。つまり昨日俺が送ったメールを読んでいるはずだ。


「ぷら君元気?カナだよ。私はまだカッパドキアにいるよ。ギョレメって村にあるゲストハウスに泊まってるんだ。カッパドキアは凄くいい場所だよ。でも、ぷら君パムッカレに行っちゃったんだよね?なんでよー!私待ってたのにー」


俺は宿主に今晩泊まると言った事をキャンセルし、再びデニズリのバスターミナルへ戻った。

因みに今日で3日風呂に入っていない。少し自分が臭かった。
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拝啓 カナ様

今俺は船に乗っているよ。少しずつ、イスタンブールが遠のいていく。カナ、君は今まだカッパドキアにいますか?俺は未だにイスタンブールにいます。あれから色々あってビザの取得のために4日間を棒にふり、今日やっとシリアのビザを手にしてカッパドキアへ向かおうとしてるところだよ。きっともうカナはパムッカレに向かおうとしているのかな?カッパドキアは楽しかったかい?会えないのは残念だけど、確かカナがカッパドキアを見た後にパムッカレに向かうと聞いて今メールを書いてます。俺はこれからパムッカレに向かいます。

今船に乗っていると先述したけれど、この船はイスタンブールからイスタンブールまでの船なんだ。トルコはヨーロッパ側とアジア側に別れていて、パムッカレに向かうにはアジア側のバスターミナルからバスに乗らないと駄目みたいなんだ。それで船に乗っているわけ。勿論、このメールは船から降りて書いてるんだけど雰囲気だけでもね。もしメールに気付いたら返事ください。それじゃ、パムッカレに行ってきます。


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俺はアジア側へ向かう為にフェリーに乗っていた。今まで滞在していたヨーロッパ側が少しずつ遠のいていく。旅をしているといつも移動の度に思う。これまで過ごしたその場所や人達のこと、これから向かう新天地のことを。


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港からカモメが船を追ってくる。それはアジア側へ向かう俺を見送ってくれているかのように見えた。


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俺は甲板に座った。そう、俺には席が無いのである。とにかく安くのりたかったので客船室のチケットなど買えるわけがないのだ。乗れれば十分、バックパックを座布団代わりに海風を肌で感じるのもいい。これから俺は陸地続きの大陸を縦断する。次に海を見るのはいつになるんだろう。そう思えば甲板も悪くない。いや、特等席だ。嘘です。俺を中に入れてください。寒いんです。海風が寒いんです。山間部の田舎町で育った俺には海なんかになんの興味もありません。暖かい室内に入れてください。


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20分程耐えるとアジア側へ到着。すし詰め状態の中、一等席・二等席の客とは別に車を降ろす出口から降ろされる。目の前は大きなバスターミナルになっていた。俺は早速長距離バスのチケットを購入することにした。片っ端からバス会社をあたり、とにかく値段の安いものを選ぶ。今の俺にとって(というか今後ずっとだが)金は100円でも安くしないといけないのだ。


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色々と物色した結果、夜8時半発のバスチケットが1番安いことと判明する。俺はチケットを購入した。これでパムッカレまで行ける!問題はこの出発までの時間を何もないこのバスターミナルでどう過ごすかだ。ここが一人旅の辛いところでもある。話し相手がいないというのは実に辛いことだ。多くの旅人が小説や音楽プレーヤーを必需品としているのはこの為であろう。しかし元々バックパックに服と食料しか入っていない俺には暇つぶしするものが何も無い。俺は浮遊病者のようにターミナル内をフラフラと歩き回った。

しかし当たり前だが何も無いのである。俺はチケットを購入したバス会社へ向かった。

俺「すいません、何か食べたいんだけどどこも店閉まってるんですけど」

店主「そりゃそうだよ。昨日からラマダンが始まったからね」

俺「ラマダン?」

店主「ペラペラペラペラ」

この時店主が俺に何を言ったか分からない。だがラマダンが昨日から始まったということだけは分かった。

俺「とりあえず店はやってないんだ?」

店主「そゆこった」

結局俺は夕方まで何をするわけでもなくボーっと過ごした。


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辺りは随分暗くなってきた。それでも出発まで1時間程ある。空腹と暇を持て余した俺は海辺へ向かった。

俺「ああ・・・腹減ったぁ」

「ヘイ!」

俺「???」

「ヘイ!!」

海辺で座り込む俺に遠くから手招きをする人影が見える。行ってみると現地のトルコ人だった。

俺「え・・・何?」

トルコ人「おい、お前も飲まないか?」

俺「それビール?」

トルコ人「そうだ。俺達はイスラムを崇拝している。だがラマダンでとても酒なんか飲める雰囲気じゃねぇ。でもな、俺は酒も愛している。だからこうやって隠れて飲んでるんだ」


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トルコ人「それでな、ビール買いすぎて余ってるんだがお前飲まないか?」

俺「いいの?飲む飲む!!」

トルコ人「おっと待てよ。あそこにケバブ屋が見えるだろ?あそこでケバブ買ってきてくれよ。それとビール交換にしようぜ」

俺「でも俺金これしかないよ・・・?」

俺は小銭をジャラジャラと見せた。

トルコ人「なんだお前?それしか持ってないのか?」

俺「うん。金全然ないんだ」

トルコ人「仕方ねぇな。ホレ。買って来い。俺達の分もだぞ」


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俺はトルコ人にパシリにされてケバブを買いに向かった。でもいいのだ。ケバブも買ってくれて時間も潰せる。しかもビールまで飲ませてくれるんなんてパシリの一つや二つ、喜んでやりますよ。


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俺「買ってきたよ」

トルコ人「お、ありがとな。ほれ、お前の分だ」

俺は買ってもらったケバブとビールを無我夢中で食べた。死ぬほど旨かった。

トルコ人「お前、これからどこに行くんだ?」

俺「えっと、パムッカレだよ」

トルコ人「そうか。あそこは綺麗だしいいところだぞ」

俺「うん、ガイドブックで見たよ」

トルコ人「じゃ、俺達は出発だから。気をつけてな」

俺「うん!ありがと~!」


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その後俺は無事にバスに乗り込んだ。目指すはパムッカレ、到着は翌朝早朝5時である。
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