世界中をぷらぷらしてきた

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早朝のクスコ、ペンション八幡の一室でいつものように俺は目覚めた。隣を見るとMさんの姿が無い。どこかに出かけたのだろうか?荷物は既に昨晩のうちにまとめておいたので、俺は顔を洗い歯を磨き、荷物を担いで宿の出口へ向かった。するとソファーにMさんが座っていた。

M「おはよ」

俺「Mさん!どこか行くんですか?」

M「いや、ぷら君を見送るんだよ」

俺「マジですか!?」

M「そ。それに俺も今日マチュピチュに行く事にしたんだ。だから下まで一緒に行くよ」

俺「有り難うございます!」

まだ少し肌寒いクスコの朝。俺はMさんと一緒に広場へ向かった。ここ数日間、毎日のようにここの広場でリサとUさんと待ち合わせてはどこかへ出掛けたが、この風景を見るのも今日で最後である。俺はタクシーに乗り込むとクスコの空港へ向かった。

空港に到着し、搭乗手続きを済ませると俺はソファーへ座り、出発までの時間をボーっと過ごしていた。短いようで長かったこの南米での旅。距離にしてどれだけの移動をしたのだろうか。どれほど多くの人に助けられてきたのだろうか。思い返すと次々と流れるように脳内に歩いて見てきた風景や出会った人の姿が目に浮かぶ。

「皆・・・元気でやってるかなぁ?」

そんな事を自然に考え出す自分に、旅の終わりが近付いているんだなと改めて実感した。その時だった。

「ぷらぷら?」

驚いて顔を上げると、そこにはウユニのランクルの中で一緒だったオーストラリア人カップルのネイザンとトレーシーの姿があった。

俺「ネイザン!トレーシー!」

ネイザン「驚いたな!こんな場所で会うなんて!どこに行くんだ?Yはどうした?」

俺「Yさんとはあの後ラパスで別れたんだ。Yさんはアマゾンに向かったよ。俺はこれからリマに行くんだ。ネイザン達はどこに行くの?」

ネイザン「俺達はこれからコロンビアに行くんだ。悪いがもう搭乗の時間なんだ。じゃあな」

俺「うん!元気でね!」

その後ネイザン、トレーシーと別れ、俺は飛行機へと乗り込んだ。わずか数時間の空の旅は快適だった。眠ることもなく、俺は窓の外の風景を眺めていた。そして飛行機はリマへと到着した。荷物を受け取り、外へ出てバスへ乗り込む。行き先は宿でMさんに教えてもらったサンフランシスコという宿だ。

これまでにないくらい順調に宿を見つけ中に入る。案内されたドミトリーは男女混合で、俺が入った時にはベッドは全て埋まっていたが人の姿は無かった。ベッドに放り投げられているガイドブックを見るとどうやら日本人が多いようだ。今日無理をしてリマを歩き回る必要がなかった俺は宿の屋上へ向かい、椅子に座って煙草に火をつけた。

ポール「よう」

俺「あ・・はじめまして」

ポール「コーヒー飲むか?」

俺「へ・・・ああ・・頂きます」


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突然俺にコーヒーを勧めてくれた人物ポールはこの宿に宿泊して長い欧米人バックパッカーであった。よくしゃべるポールはろくに聞き取れず、相槌をうつのが精一杯の俺にも関わらず次々と話しかけてきた。そんなポールと話していると、また見た事のある顔がやってきた。ペンション八幡でも一緒で、マチュピチュでは俺に宿を紹介してくれたIちゃんであった。

I「ぷら君じゃん!」

俺「おおおお!!Iちゃん!!」

I「マチュピチュどうだった?」

俺「いやぁ~良かったよ~。あの時は宿有り難うね。Iちゃんはここに来てどの位なの?」

I「今日でもう1週間になるかなぁ。でもどこも観光しないでずっと宿でゴロゴロしててさ~、いい加減やばいかなって思ってたんだよね。で、今日から観光しようと思ってたんだけど結局面倒になって今まで寝てたのさ。はぁ~どこか行こうかな~」

俺「1週間もゴロゴロしてたんかい・・・」

I「ねぇ、どこか一緒に行かない?今来たんでしょ?」

俺「うん、いいよ」

こうして、俺はIちゃんとリマ市内を観光する事となった。


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Iちゃんはスペイン語がペラペラである。男性顔負けの交渉術でタクシーを値切り、俺達は海岸線まで向かった。それから数日、俺はIちゃんと一緒にリマ市内を観光しまくった。サンフランシスコ教会、恋人公園、博物館。


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そしてリマ滞在最終日の夜、俺は帰国の準備で荷物を全てバックパックへしまいこみ、屋上でボーっと空を眺めていた。

I「やっほ。何してたの?」

俺「荷物も全部パッキング終わったし、なにもする事ないからボーっとしてた。はぁ~、あと2日後には日本にいるなんて信じられないよ。Iちゃんはまだ旅を続けるんでしょ?」

I「うん、私はメキシコまで行かなきゃならないからね~。」

俺「まだまだだね・・・」

その時、どこからか音楽が聞こえてきた。ディズニーランドのパレードのような、そんな陽気な音楽だった。

俺「なにこれ?」

I「なんだろ?こんな時間にね?」

音はどんどんと近付いてきた。


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Iちゃんが屋上から身を乗り出して下の様子を覗き込む。

I「ぷら君ちょっとちょっとなんか凄いよ!!」

俺「マジ?」

俺は飲みかけのビールをテーブルに置いて下を覗き込んだ。


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この行列がなんだったのかは未だに分からないが、とんでもない人の数だった。

俺「うわぁ~。凄いな~」

I「偶然これが見れるなんてラッキーじゃない?あ!!花火だ!!」


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花火が目の前で打ちあがる。

俺「おおおお・・・花火なんか・・久々だなぁ」

I「きっとお祭りなんだね~」

俺「あああ~。なんか帰りたくなくなってきたなぁ・・・」

I「・・・・。その気持ちわかるなぁ。旅に出るとさ、日本での毎日とか、どうでも良くなるよね」

俺「うん~」

I「でも一生旅を続けるなんて出来ないし、いつかは戻らなきゃならないしね」

俺「そうなんだよね・・・」

I「ぷら君は明日戻らなければならない理由はあるの?」

俺「理由っていうかさ・・・」

俺は戻る理由をIちゃんに話した。

I「それって立派な理由じゃん。リサちゃんって子もきっと楽しみにしてると思うよ!」

俺「うん」

I「もしさ、帰国してみて韓国行ってみて、『やっぱあの時旅を続ければ良かった』って思ったんだったらまた戻ってくればいいよ。お金ないならまた貯めてくればいいよ」

俺「そんな事言っても俺Iちゃんみたいに若くないしさ~、俺28だよ・・・」

I「ちょっと・・・あたしなんか○○才だよ・・・」

俺「えええええ!?」

I「あたしから見ればぷら君なんかまだまだ若いよ。もっとさ、なんで日本にいる人は自由を求めないのかなぁっていつも私思ってたよ。私ね、仕事やめてこの旅をはじめたんだ。だから日本に戻った時のことなんか何も考えてないよ。もっと素直に、自分の気持ちをもっとストレートに出した方がきっといいよ」

俺「ほんと、Iちゃんの言うとおりだわ」

I「あたし達みたいに長期の旅に出てる人ってさ、地元に戻ってから友達とかに『いいなぁ』とか『自由だなぁ』ってよく言われるけどさ、なんか皮肉にしか聞こえないんだよね」

俺「なんか分かるわそれ」

I「だってさ、『いいなぁ』とか『自由でいいな』って思うんだったら自分もやればいいんだよ」

俺「そうは言っても結婚したり、仕事の都合で行けない人も多くない?」

I「それは自分の責任じゃない?結婚だってそれなりに覚悟してしたんだろうし、仕事はさ、あたしみたいに辞めてってこともできるじゃん?」

俺「まぁ・・・確かに」

I「勿論全部正しいとは思わないけどさ、仕事だって任されてる仕事を途中でやめるわけにもいかないと思うしさ」

俺「うんうん」

I「だったら、それを一生懸命終わらせてから旅に出ればいいんだよ。あたしね、仕事やってた時は100%で仕事してたよ」

俺「じゃあ・・・遊びは全然だったの?」

I「いや、遊びは200%頑張った」

俺「・・・・」

I「200%は冗談だけど、仕事も本気でやって、遊びにも本気でやってって感じだったよ」

俺「なるほど」

I「だってさ男の人なら尚更だと思うけど、これから結婚して仕事を定年まで嫌でも続けていかなければならないわけでしょ?だったら・・・今若くて自由の利くうちに思いっきり好きな事やった方が良くない?仕事も家庭も、その後いくらでもできるよ」

俺「うんうん」

I「あ~、よけない事話過ぎた。ごめんねウルサイオバちゃんで」

俺「いやいやいや!Iちゃんは絶対若いよ」

I「その『ちゃん』ってのもビックリだよ。初めて言われたよ」

俺「いや・・・マジで俺の年下だと思ってたからさ・・」

I「あはははは、いい奴だなぷら君は・・よし!飲もうか!ぷら君の奢りで」


こうして、俺は南米最後の夜をIちゃんと屋上で過ごした。


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翌朝、リマの空は快晴だった。Iちゃんに見送られて俺は数日ぶりにリマの空港へと到着した。これから向かう先はアメリカはヒューストン。奇しくも俺が南米に到着した時にトランジットしたのと同じ場所だった。俺は成田→ヒューストン→ブエノスアイレスという航路で南米に入り、リマ→ヒューストン→成田という航路で日本へ帰国する事となった。


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数時間後、ヒューストンから飛行機を乗り継いで俺は日本へ向かう機内にいた。約3ヶ月に及ぶ俺の南米の旅をこうして終わりを告げた。多くの場所をあても無くふらふらし、沢山の人に出会い、助けられ、時には涙を流した旅。成田空港に到着すると南米とは逆の季節の冬の風が俺を出迎えてくれた。

「戻ってきたんだなぁ」

バックパックを受け取り、余ったペルーのお金を日本円に両替しようと両替所の列に俺は並んでいた。だが、その時Iちゃんの言葉を思い出した。

「その時は・・また来ればいいじゃない」

そうだよね・・・でも・・。駄目だったから来るんじゃなくて、またいつか・・・南米の大地を踏みたいな。そう思い俺は両替をしないでスカイライナーへと乗り込んだ。



南米編~終~





























































続く・・・かも
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翌朝、俺を待ち受けていたものはヒドイ二日酔いであった。これまで旅をしてきた中で1番ヒドイ二日酔いに俺はベッドからなかなか起き上がれなかった。しかし今日にはクスコに戻らなくてはいけない。俺は必死でベッドから起き上がると、リサとUさんの眠る隣の部屋のドアの前に立った。ドアに頬をつけ、中の音を確認するもなんの音もしない。きっとまだ眠っているのであろう。ここでノックして起こしても構わないが、わざわざ俺が宿を出るという報告をするまでの必要はない。こうしてマチュピチュで無事に再開もできたし、今後は会えたらクスコで会おうと約束までしている。置手紙で十分なのだ。

個人差もあるだろうけれど、俺は日本に居て手紙を書くということはまずない。書く相手がいないという事もあるが、ほぼ皆無に等しい。唯一書く年賀状も今となってはパソコンで印字してしまうのが当たり前だし、こうしてペンを持って誰かに手紙を書くという事は当たり前のようなことだが、いざその時になると自分の字の下手さ加減や、手紙の書き方にひどく戸惑ってしまうものである。俺はどこかで貰ったレストランのチラシの裏に唯一持っている黒のボールペンでリサとUさんに手紙を書いた。勿論全て日本語である。そしてそれをそっと、リサとUさんの部屋のドアの下から差し込んで宿を出た。

宿を出て俺は電車の駅まで向かった。列車は時刻通りに快適に出発し、アグアスカリエンテスの町を出る。たった3~4日しか滞在しなかったこの町であったが、マチュピチュを見て、奇跡的にリサとも再開できた俺にとっては奇跡のような町だった。ものの数分で列車の窓からは町が見えなくなり、辺りは川と山だけの風景になる。移動中ぼーっとマチュピチュの事を思い出し、デジカメの液晶を眺めてはリサと一緒に写った写真を見て1人ニヤニヤと笑みを浮かべていた。しばらく走ると列車はクスコの手前の街で停車した。列車が込み合っていた事もあり、急いでいた俺は帰りのチケットはクスコまで取る事ができなかったのだ。ここからはバスと乗り合いタクシーを駆使して自力でクスコまで帰らなければならない。

「またクスコでリサに会える!!」

その思いだけが俺を突き動かしていた。そして俺ははりきって列車を飛び降りた。今までずっと雨模様の天候であったが今日は空が澄み渡っている。まだ時刻はお昼過ぎだ。どうにか今日中にクスコに戻り、ペンション八幡のフカフカベッドで眠るのだ。そしてそこから数日は思いっきりクスコを楽しむだけである。

しかし・・・。


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何をどう間違えたのか俺は列車を降りた数分後、何かの行列に混ざってしまい、一緒に行進する羽目になっていた。


意味も分からずに歩き続ける事1時間弱。辿り着いた先は何かを祭っている祠だった。興味もないので早いとこバス停に戻ろうと英語の話せる人に話しかける。

俺「あの、俺クスコまで行きたいんだけどバス停はどこにあるの?」

おっさん「バス?そんなもんこの村にはねぇよ」

俺「ない!?」

おっさん「クスコに行きたいならオリャンタイタンボまで乗り合いタクシーで行くこったな」

俺「はぁ・・・じゃあ・・・その乗り合いタクシーってどこにあるの?」

おっさん「この先だよ。すぐさ」

俺「よっしゃ、おk!ありがとうおっさん!」

俺はおっさんに案内された通りにその乗り合いタクシーの集まる場所へと向かった。


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結局、想像通りタクシーとは名ばかりのワンボックスに現地住民と隣り合わせで俺を乗せたワンボックスは走り出した。そう言えば南米では大型バスでの移動が多かったのでこういった移動は久しぶりである。目を瞑ると中東や東南アジアの思い出がよみがえる。

オエッ


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その後どうにかタクシーやバスを乗り継ぎ、その日の夕方にはクスコの街に辿り着くことができた。見慣れたクスコの街、俺は再びペンション八幡のドアを叩いた。出迎えてくれたのは知らない男性旅行者であったが、マチュピチュに向かう前に泊まっていた部屋を除くとMさんの荷物はまだベッドの上に残っていた。

それから数日間、俺はMさんと一緒にクスコの街を散策した。

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毎日のように日本食「金太郎」で飯を食い。


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ハロウィンでは酒に酔ってデジカメ(コンデジ)を紛失した。

それから何日後だったろう。Mさんが出かけたので俺は1人いつものように金太郎で昼ごはんを食べ、その帰りに広場のベンチで煙草を吹かしている時だった。突然、後ろから目隠しをされた。俺は驚き、煙草を放り投げてベンチから転がり落ちた。その様子を見て笑っていたのはリサだった。

俺「リサ!!!戻ってきたの!?」

リサ「うん!!」

俺「Uさんは?」

リサ「宿だよ」

俺「リサ1人?」

リサ「うん!ぷら何してたの?」

俺「ああ・・・ご飯食べ終わって今煙草吸ってたとこだよ」

リサ「そっか~!ここで一緒に待っててもいい?」

俺「待つ?誰を?」

リサ「Uだよ」

俺「なんだよ来るのかよ・・」

リサ「どうしたの?」

俺「いやいや、なんでもない!」

U「おまたせ~!あれ!?ぷら君じゃない!?」

俺「やぁ、久々・・でもないね」

U「いやぁ~!偶然じゃない!」

俺「ね、俺もビックリしたよ。リサとUさんはこれからどうするの?」

U「私達は少しクスコに滞在して、それからナスカに行くんだ」

俺「ああ、あの地上絵の?」

U「そうそう。君は?」

俺「俺は全然決めてないんだ~。一緒に行こうかな?」

U「いいね!行こうよ!リサはお酒飲めないし飲み仲間欲しかったんだよね」

俺「そんな理由なのwww」

U「でも楽しそうじゃん!」

そんなわけで俺はリサ、Uさんと共にナスカへ向かう事となった。それからまた数日間、宿はリサが韓国人だから気まずいとの事でリサとUさんは別の宿に宿泊していたが毎日のように3人で昼に待ち合わせ、夜遅くまで語った。もう死ぬほど楽しかった。このままずっとずっと同じ毎日の繰り返しでいい、本気でそう思った。

クスコ滞在最終日前夜、夕飯前に出発の準備の為に俺達は一旦別れて宿で荷物のパッキングを行った。その後、再度広場で待ち合わせた。しかし、待ち合わせの場所に来たのはリサだけであった。

俺「あれ?Uさんは?」

リサ「荷物の整理が終わらないみたいで少し後れて来るみたい」

俺「そっか!どうする?ここで待つ?」

リサ「ねぇぷら?ぷらの泊まってる宿の近くに街を一望出切る場所あるの知ってる?」

俺「え・・・?そんなのあんの?行こう行こう!!」

リサ「うん!!」

実はこの高台、何度も実は行ったことがあるのだ。Mさんとビール瓶片手に昼寝をしに行ったり、また寝付けない夜にはまたビール片手に夜空を眺めたり。とにかく、リサと2人になりたかった。いつもは臆病者の俺が唯一見せた必死の行動だった。

高台までは広場から歩いて5分程度だ。だが、その5分間は死ぬほど長く感じられた。3人で会う時は全然緊張もしないが、いざ2人きりとなると勝手が違う。何を話しかけていいか分からなかった。そして結局、無言のまま高台へと到着した。


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同じ色の、同じ形の屋根が今日も同じように眼下に広がっている。

リサ「わー!」

俺「どうしたの?」

リサ「きれい~!」

俺「イエップダ?イエッポダ?」

リサ「!!!ぷら、韓国語分かるようになったんだね!」

俺「あはは、少しは勉強したもん」

リサ「ねぇ~ぷら?本当に韓国に遊びにきてよ。このままお別れになっちゃうのは寂しいよ」

俺「・・・・・・・・」

もう、心臓が張り裂けそうだった。抱きついていいの!?抱きついていいんですか!?

俺「ねぇリサ?遊びに行っていいなら、いつがいいの?」

リサ「私ここから1回オーストラリアに戻るんだ。でもその後ビザが切れるからすぐ韓国に一旦戻るの」

俺「一旦ってことは・・?その後またオーストラリアに?」

リサ「多分そうなると思う。まだ分からないけど」

俺「じゃあ、とりあえず今から1~2ヶ月以内だったら韓国にリサはいるんだね?」

リサ「うん!」

俺は考えた。絶対に会いに行きたい。しかし・・・南米の旅が終わって1~2ヶ月の期間では旅費がどうにもならない。借金なんかできる身分ではない。どうすればいいのか・・・。考えに考えぬいた結果、俺は決めた。

俺「リサ、俺明日ナスカ行くのやめるよ」

リサ「なんで?」

俺「お金が足りなくなっちゃうww少し早いけどさ、俺リサ達より早めに南米を出るよ」

リサ「どうして?」

俺「これから行くナスカでの滞在費とか移動費なんかを持って帰って、そのお金で韓国行くよ」

リサ「・・・・・・」

俺「いやいや、ごめんねマジで!俺の貧乏が悪いんだから!それに俺今はナスカに行くよりリサに会いたいからさ」

リサ「へへへ・・・」

俺「なに?どしたの?」

リサ「じゃあ、今日でお別れになっちゃうね」

俺「・・・・・。うん・・・・。」

リサ「じゃあ、ぷら!今日はリサと一緒に飲もう!」

俺「飲もうって・・・リサ飲めないでしょ!?それにUさんは?」

リサ「大丈夫!飲もうと思えば飲めるんだよ!それにUは大丈夫だよ」

俺「大丈夫ってwwwじゃ、飲みに行こうか!!」

リサ「ううん、ここで飲もう。綺麗だから」

俺「へ?ここで?」

リサ「うん!」

俺「じゃあ・・・Uさんに見つからないように酒でも買いに行きますか~!」

リサ「OK~!!!」


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それから、俺達は高台のベンチで酒を飲みだした。意外に飲めるリサにも驚いたが、その酔いの早さにも驚かされた。

リサ「うい~。眠い・・・」

俺「リwwwサwww全然飲めないじゃんwww」

リサ「ちょっとだけ寝る~」

まさかの膝枕開始。俺は緊張で震度5弱辺りの振動で足をガクガク言わせていたと思う。もう完全に「好きかも」から「好き」に気持ちが変わっていた。


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しばらく至福の時を満喫していたが気温が下がり、だんだんと寒くなってきたので俺はリサを起こす事にした。だが、リサはベロンベロンで韓国語しか話さない。俺は困り果てた。そして、仕方が無いのでリサを宿まで送る事にした。

リサ「ぷら~。tgby8いpfwfgw4tg4tgtf8p@4th90~!」

俺「へ!?なに!?なんて!?」

リサ「異ふぉpウェhf8@;hf4q3@th834~~~!!!」

俺「ちょっとwwwマジで英語でお願い!!全然分からないよww」

リサ「ウヘヘヘヘヘ・・・・」

こんな状態のリサを宿へ送り届けるとUさんがすっとんできた。

U「ちょっとアンタ達どこ行ってたのさ!?私どれだけ探した・・・リサ!?」

リサ「U~?んdふぃfh024fhp2h208~!!」

U「どうしたのこれ!?ベロンベロンじゃない!?」

俺「いや、ちょっとしか飲まなかったんだけど・・・あの・・その・・・ごめん・・・」

U「もう~!!!私も飲みたかったよ~!とりあえずこの調子だし、明日出発だから寝せる事にするよ。リサを1人にして私だけ外に出られないから、ぷら君、また明日の夜にナスカでだね」

俺「あの・・実は・・・」

俺はナスカに行かないことなど、これまでに考えた事を全てUさんに伝えた。

U「ええええ!?本気で言ってるの?」

俺「うん」

U「いやさ、いくら韓国行きたいからって・・・南米だよここ!?死ぬまでそう何度も来れないよ?」

俺「まぁ・・・それは十分分かってるんだけど思ったら行動しないと気が済まない正確でして・・・」

U「はぁ・・凄いわ・・私もこの位惚れられてみたいもんだよ・・・」

俺「え?」

U「いやもうバレバレだよ。ぷら君、リサを見るときの目とか話す時のテンション全然違うもん」

俺「あ・・・はぁ・・・」

U「まぁ~いいや!じゃあ、気をつけてね!!」

俺「うん、Uさんも有り難う!!またメールするね!Uさんも日本で一緒に飲もうよ!」

U「そうだね!1回飲みたいね!!」

俺「うん!!!」

U「じゃあ、お互い気をつけて」

俺「うん」

U「じゃあね」

俺「バイバイ!」

そして俺は2人と別れた。ここから帰国するには最寄がペルーの首都リマ。

いざリマへ向けて漢(おとこ)ぷらぷら、いざ出発!!!
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8割方雨に見舞われたのでロクな写真がないのが残念><

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俺「やぁ、おっさん!!」

宿主「あれ?どうしたんだ?」

俺「俺のハニーが今日ここに宿泊するから紹介するぜ!1番いい部屋を案内してくれよな」

宿主「1番いいって・・うちはどれも同じ部・・・」

俺「リサ、俺が交渉したから部屋はバッチリだよ!」

リサ「ぷら有り難う~」

俺「いやいや、当然の事をしたまでさ。ささ、Uさんも荷物を置いて早速マチュピチュへ向かおう」

U「私は晴れてる日に行きたかったんだけどなぁ・・・」

俺「大丈夫!雨でもマチュピチュはマチュピチュだよ!それか・・・Uさんさえ良ければ俺とリサで行ってきてもいいんだけど」

U「そしたら私はいつ行くのさ?」

俺「だよね・・・」

俺達3人は再び宿を出てマチュピチュへのバス乗り場へと向かった。1人晴れない顔のUさんを尻目に俺のテンションは最高潮、恐らく南米で1番いい顔をしていたのではなかろうか。リサは普通に「マチュピチュだー」とばかりに雨の中ウキウキとしている。

やがてバス停にバスがやってきた。

俺「ああ~、やっとマチュピチュだよ~」

U「ぷら君ってそんなマチュピチュに思いいれあったの?」

俺「いや全然」

U「はぁ~、私はさ・・・世界で1番行きたかった場所だったんだよ。それが・・・それがなんでこんなドシャ降りの中行かなければならないの・・・。ねぇ・・・何で・・・?」

俺「何でって・・・ま、いいじゃない!ほらほら、入り口が見えてきたよ!」


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俺達を乗せたバスはウネウネとS字カーブする山道を駆け上がりマチュピチュの入り口へと到着した。天候は小雨で少し肌寒く、観光日和とはお世辞にも言えなかったが世界的な観光名所とあり、入り口ゲート付近には大勢の観光客が列を作っていた。俺達は入り口でチケットを買い、中へと入った。

空中都市マチュピチュはその名に恥じない場所であった。空に向かって突き上げるようにある山々に囲まれ、マチュピチュはひっそりとたたずんでいた。まだ入り口から少し入っただけなのに俺達3人は言葉を失った。それは今まで俺が見たどの光景よりも感激するものだった。今から遥か昔。鉄も存在しなかった時代に人々はどのようにしてこの岩を寸分の狂いも無く直線に切ったのか。どのような暮らしをしていたのか。そんな事を想像するだけでも鳥肌の立つ重いだった。そんな俺達3人が各々に感傷に浸る中、リサが口を開いた。

リサ「ねぇ、U?ぷらって今日クスコに戻らなければならないの?」

U「え・・?突然どうしたの・・?そうらしいよ。そうなんでしょ?」

俺「あ・・・ああ・・・。そうなんだよリサ。でもさ、クスコで待ってるから!!」

リサ「でもぷら~?ぷらは1日勘違いしてたんでしょ?電車は間違ってないの?」

俺「あれ・・・?」

U「ちょっとアンタ・・・」

俺「あれ?1日勘違い・・・?あれ・・・?あれ・・・そうか!電車明日だわ

U「ふざけないでよ~!もうゲートくぐっちゃったじゃん!チケット払い戻せないよ~」

俺「あはwwwあはははwwwリサ、そうだよ!明日だ!今晩一緒に泊まれるよ」

リサ「だよね?リサ・・ずっとそれ考えてたんだ」

俺「さすがリサ、このタイミングでそれを口にするなんてなかなか出来ないよ」

U「どうでもいいけどさ~、明日晴れたら最悪だよ。こんな雨の中来る必要なかったじゃん」

俺「でもさUさん、もう着ちゃったんだし・・・思う存分マチュピチュを観光して戻ろうよ。今晩夕飯は奢るからさ・・・ね・・・?」

U「はぁ~。ま、仕方ないし・・・行こうか」


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ドンヨリと暗い空。降りしきる冷たい雨。視界を遮る霧。完全に観光するには最低の条件の中、俺達はマチュピチュの中を歩き回った。途中。なんども激しい雨に見舞われ、何度か木陰に非難をし、雨が上がったら観光を再開した。ハッキリ言って全然つまらなかった。


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見所のコンドルの宮殿は雨に濡れ、マチュピチュを生活の場にしているリャマは雨に濡れ、それはもうUさんの視線が痛いほど突き刺さる辛い辛いマチュピチュ観光であった。

U「はぁ~、リサ?明日もマチュピチュ来ない?」

リサ「なんで?」

U「だって・・・こんな雨降ってるし・・晴れてる日に来たくない?」

リサ「リサ別にいい~」

U「はぁ・・・・」

俺「ほ・・・・ほらUさん、雨のマチュピチュもなかなかいいもんですよ」

U「ぜんっぜん良くないんですけど」

俺「ですよね・・・」

リサ「ねぇ~2人ともチョコ食べない?」

俺「へ?」

リサ「はい」

U「あ・・・ありがと・・・・」

リサの天然なテンションだけが唯一の救いであった。俺達は屋根のある場所で豪雨をしのぎながらリサが持ってきたチョコを食べながらしばし雨を眺めた。不思議な感覚だった。距離にして何百kmだろう。期間にしてどれだけの時間が経ったのだろう。辺りには雨の音しか聞こえない。他の観光客も皆一点に雨の降る外の景色を眺めて誰一人言葉を発しなかった。そんな中リサが耳打ちで俺に言った。

リサ「ねぇ、ぷら?」

俺「ん?どうしたの?」

リサ「リサね、今凄く楽しい」

俺「楽しい?雨なのに?」

リサ「うん」

俺「なんかごめんね。俺に付き合せてこんな雨の中マチュピチュに来ちゃってさ・・・」

リサ「ううん、なんかね。私Uもそうなんだけど、ぷらにはUと出合った時みたいな感覚を感じたの」

俺「へ?」

リサ「私とUはオーストラリアで出会ったんだ。私、あんまり初めて会う人と馴染めなくていつも一人ぼっちでさ。でもね、Uとは不思議だけど初めてだったのにいつもの私で会話が出来たんだ。それからずっとUと一緒なんだ。南米に来たのも、オーストラリアでのワーキングホリデーが終わる卒業旅行みたいな意味で思い切ってきたの。でも、それもUと一緒だったからなんだ」

俺「卒業旅行?え?じゃあ、旅って初めてなの?」

リサ「そうだよ」

俺「初めてで女の子2人で南米来ちゃったの?」

リサ「うん」

俺「ええええええ」

リサ「ぷらは今まで色んな所に行ったの?」

俺「まぁ、それなりに色々は行ったけど・・・」

リサ「いいなぁ。私ももっといっぱい色んな場所に行きたいなぁ」

俺「うん・・」

リサ「ねぇ、ぷら?」

俺「うん?」

リサ「南米から日本に帰るんでしょ?」

俺「そうだよ」

リサ「その後さ、韓国に遊びに来てよ」

俺「へ?」

リサ「私も南米からオーストラリアに戻るけど、その後すぐに韓国に帰るんだ。でも帰っても凄く暇なの。Uと・・よかったら遊びに来て!もっともっとUとぷらと一緒に居たい」

俺「うん!絶対行く!!!」

リサ「やったぁ!!!私凄く今ハッピーだよ!!」

そんな話をしばらく続けていた。

リサ「あれ?」

俺「あ・・・」

U「雨・・・やんだ?」

本当に不思議だった。奇跡とはこういう事なのかもしれないと思った。今までドンヨリと曇っていた雲がいつしか消え、雨はやみ、太陽の光がマチュピチュに差し込んだ。


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雨で湿った草が陽の光を浴びてキリになる。俺達は屋根のある場所を飛び出してマチュピチュを1番よく眺められるというポイントへと向かった。他の観光客は先程までの雨で観光する事を断念し、既にマチュピチュを降りている。そして、マチュピチュは大袈裟に言えば俺達の貸切状態となった。


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「雲の中にいる」

本当にそんな感覚だった。


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きっと俺達は1番綺麗なマチュピチュを見ることが出来たんだと・・・そう思う。






数時間後、マチュピチュを降りた俺達は宿に戻った。

U「アンター!!!あの奇跡の晴れ間があったから良かったけど、リサの言う通り電車明日なんじゃないのよ~!」

俺「マジでごめんなさい!!本当に勘違いしてたんだよ。ほら、Uさん飲んで」

U「言われなくても飲むよ」

俺「はい、リサもどうぞ」

リサ「リサお酒飲めない」

俺「おおお、忘れてた。じゃ、コーラでもどうぞ」

リサ「うん!」


その夜、俺達は遅くまで宿の前のレストランで飲み続けた。コーラを飲み続けているにも関わらずリサは先に寝てしまい、俺は延々とUさんの愚痴を聞く羽目となったのであった。
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翌朝、目が覚めると窓の外はドシャ降りだった。この雨ではさすがにマチュピチュになんぞ行けないであろうと俺は二度寝を決め込んだ。そして再び目が覚めたのは小腹が空いた昼過ぎの事であった。ウユニなどと比べると随分と低地だが、日本からのツアー客のほとんどが少なくとも何かしらの高山病の症状を訴えるというここマチュピチュに降る雨は肌寒いものがあった。

ベッドから体を起こして水を一口飲む。1人とは言え随分深酒をしたので少し頭が痛かった。俺はシャワーを浴び、その足で何か食べ物を買いに行く事にした。帰りの列車はリサを待てるだけの余裕を持って3日先のものを購入してある。受付で居眠りする宿主の横を通り抜け、宿の目の前にある商店でパンとハムを購入した。昨日まで快晴だったのに今日は雨。賑わっていた宿の前の通りも今日は人が閑散としている。宿に戻ると受付のおっさんが俺に話しかけてきた。

宿主「やぁ、今日は生憎の雨だね」

俺「おはよう。そうだね~、これじゃマチュピチュも大変だね」

宿主「ああ、この雨だからなぁ」


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宿主と一緒に空を見上げると、青空が少し見えるものの辺りは濃い霧がかかっており、視界が悪い。

宿主「ところで君はもうマチュピチュには行ったのかい?」

俺「いや、まだだよ」

宿主「そうか、行くときは晴れるといいな」

俺「そうだね。でも既にチケットも購入してあるし、晴れるのを待つだけだよ」

宿主「チケットを?じゃあいつ行くんだい?」

俺「いやだから、いつって晴れたらだよ。それに俺は今ここで人を待ってるんだ。その人が来たら一緒に行く予定なんだよ」

宿主「なんだ・・・?話が見えないな。どれ、チケットを見せてくれないか」

俺「なんで?」

宿主「チケットには日付が入っているはずなんだ。もう既に購入したんだったら、そのチケットにはマチュピチュに入れる日が指定されているはずなんだが」

俺「え?」

宿主「とにかく1度チケットを見せてくれないかい?」

俺は急いで部屋へ戻った。購入したマチュピチュのチケットを見ると確かに日付らしきものが入っている。日付は・・・今日である。

俺「おおおおっさん!!!!日付ってこれ!?」

宿主「どれ・・・ああ・・・お前やっちまったな。これは今日のチケットだぞ」

俺「ええええ!?」

宿主「今日しか使えないチケットってことさ」

俺「そんな・・・俺・・・だってまだマチュピチュ行ってないよ」

宿主「残念だったな・・・またチケット買うしか方法は・・」

俺「いやいやいやいや!これ高かったんだよ!それにほら、まだ半券切り取られてないし!!」

宿主「もう無理だよ」

俺「じゃじゃじゃあ、今からでも行ける?」

宿主「もう帰りのバスがここに向かってる時間さ」

俺「ええええええええええええ」

宿主「残念だが、またチケットを買うしかないよ」

俺「はぁ・・・・」

悲しみにふけり、俺は部屋へ戻った。チケットを見ると確かに今日の日付が入っている。思い返してみると日付も記入した気がしないでもない。しかし今更どうあがいても返金されることは無いだろうし、今からマチュピチュへ向かうことも出来ない。タクシーで向かったところで生憎のこの雨だ。結局、俺は諦めてふて寝することにした。

翌日、更に翌日とアグアスカリエンテスの町には冷たい雨が降った。毎日のように宿のおっさんと天気の話をしたり、ネットカフェへ向かってリサとUさんからのメールをチェックしたが一向に返事はなかった。クスコへ戻る日の前夜、結局俺は1度もマチュピチュへ行くことなく相変わらず部屋でビールを飲んだくれていた。既に3連泊、部屋には飲み終えたビール瓶がそこらじゅうに転がっていた。

「次メールチェックして返信が無ければもう1人でマチュピチュに行こう。雨でも・・・」

そう決意し、俺は何度も通ったネットカフェへと向かった。いつものように店主にお願いし、ノートPCにLANケーブルを差し込む。多い日には1日に3度と通ったネットカフェ。それもこれが最後だ。祈るような気持ちでPCが立ち上がるのを待った。

新着メール1件。

奇跡の瞬間だった。送信者はUさん。

「ぷら君!返事が送れてごめん。なかなか列車のチケットが取れなくて、クスコからアグアスには直接行けなかったんだ。それで私達は今オリャンタイタンボって町にいます。乗り合いタクシーと、バスを利用してやっとここまでこれたよ。ぷら君は今どこにいるの?マチュピチュ、一緒に行きたいってリサがいつも言ってるよ。返事待ってま~す」


待ってま~すじゃねぇ!!!!!


待っているのはこっちである。Uさんが送信した日付は昨晩だ。その時点でオリャンタイタンボという事は列車にすらまだ乗っていないという事になる。ここマチュピチュがあるアグアスカリエンテスに来る方法は列車以外存在しない。すなわち、明日到着するにしても俺が到着した時刻と同じ昼過ぎになるであろう。そうすると町では再開できるかもしれないが、一緒にマチュピチュへ行くのは不可能という事になる。

俺はガックリと肩を落としてUさんにメールを作った。

「Uさんこんにちは、俺は3日位前から既にアグアスにおります。まだマチュピチュには行ってないよ。Uさんとリサに会いたかったからずっと待ってたんだ。でも、俺が乗るクスコまでの帰りの列車は明日の最終だから、俺は明日朝からマチュピチュに行く事にするよ。残念だけど仕方ないね・・・。俺、マチュピチュ観光してからしばらくはクスコに滞在するつもりだから、クスコに戻ってきて会えたら会おうって伝えてください。クスコではペンション八幡っていう日本人宿にいます。じゃあ、元気で!マチュピチュ楽しんで!」

きっとこのメールをUさんが確認するのはこの町に来てからになるだろう。その頃俺はきっと1人でマチュピチュを散策している頃だし、戻ったらすぐ列車に乗らなくてはならない。メールを送り終えた俺は明日のマチュピチュの天気を調べた。

天気は・・・相変わらずの雨。

その夜、5本のビールとハムで1人夕飯を食べた俺はベッドに寝転がって色々と考えた。長かったこの南米の旅もいよいよクライマックスのマチュピチュに差し掛かろうとしている。思い起こせば成田空港からアルゼンチンに到着した時には菜の花が咲いていた。そこからパラグアイ、ブラジル、チリ、ボリビアと抜けて今ペルーにいる。Pちゃん、Mさん、Yさん、ここまで来れたのも彼等がいたおかげだ。デジカメの小さな液晶画面でこれまで自分が見てきた景色や出会った人を思い返すと、不思議と涙が出た。

シーズンオフだからなのか、この宿に人の気配は無い。広々としたツインの部屋に1人ポツンとベッドに座っていると、どうにも寂しくて仕方がなくなったのであった。やはり旅は人との出会いに尽きると思う。ウユニ塩湖で見たあの景色も、リオのコルコバードから見た絶景も、きっと1人ではつまらなかっただろう。傍に仲間が居てくれたからこそ、あの景色が脳裏に焼きついているのだと思った。だが、明日のマチュピチュは1人で向かわなくてはならない。列車のチケットを買いなおせばいいだけだが、今の俺の財布の中にはチケットを買い直す余裕は無かった。少し・・・酒に金を使い過ぎた自分を俺は呪った。

翌朝、携帯電話のアラームで目が覚めた。まだ外は薄暗いが静まり返った部屋にかすかに聞こえる雨音で、カーテンを開けずとも外の天気がどうなっているのか分かった。歯を磨き、顔を洗い、食べ残したパンと飲み残したビールを腹に入れ俺は宿の受付へと向かった。

宿主「おはよう。今日は早いんだな」

俺「おはよう。今日クスコに戻らなきゃ駄目だからさ、今日マチュピチュに行く事にするよ」

宿主「そうか。じゃあ、チェックアウトだな?」

俺「うん、お願い」

3日分の宿代を清算し、おっさんに礼を言って俺は宿を出た。いざマチュピチュ!この雨でも行くしかない。宿の前の商店でカッパを購入し着込むも足元がサンダルなので既にビシャビシャだ。俺はジャブジャブと足音をたてながらマチュピチュへ向かうバス乗り場へと向かった。

朝1番のバス、それに加えてこの天候、バス乗り場へ向かう間に旅人とは1人もすれ違わなかった。不安を抱え、川沿いを下る。あと少しでバス停だ。カメラの充電は十分にある。きっと雨でもマチュピチュは素晴らしいだろう。自分のズブ濡れになっているサンダルを見ながらトボトボあるくと俺は何かしらの気配を感じた。不思議と目線が前方に行く。


・・・・・・・・・。


鳥肌が立った。


俺の視線の先には随分と離れているが2人の人影が見える。だが、その人影が誰なのか、どれだけ離れていても俺には分かった。リサとUさんだ。しばしお互いに立ち止まり双方を眺める。リサが両手を大きく振っている横でUさんが手で顔を覆いながら笑っている。俺は走った。

俺「ハァ・・・・ハァ・・・・」

リサ「ぷら~!!」

俺「リサ!!!Uさん!!!え!?なんで今ここに!?」

U「ちょっと~!メール見た~!?」

俺「うん、見たけど・・・まだオリャンタイタンボに居たんじゃないの?」

U「それは一昨日の話だよ」

俺「え?」

U「今日何日か分かる?」

俺「えっと・・・」

俺は勘違いしていた。勘違いして1日日付がズレていたのだ。そしてUさんが送ったメールは昨日のものではなく、一昨日俺に送ったものであったのだ。

U「もう~、私はクスコから列車で行きたかったのにリサが早く行くんだってきかなくてさ、クスコから乗り合いとバス使ってオリャンタイタンボまで行って、そこから列車に乗ったんだよ。それで手前で降りて今タクシーでここまで来たとこ」

俺「ええええええ!?」

U「で、君は今どこに行こうとしてるの?」

俺「どこって・・・マチュピチュだよ・・」

U「マチュピチュ!?この雨の中?」

俺「あれ?俺のメール見てない?」

U「見てないよ~。もうずっと移動ばっかしてきたんだから~」

俺「マジで?じゃあ、今ここで会ったのって偶然?」

U「偶然だから驚いてるんでしょ~」

俺「ちょっと・・・凄くない?あ・・・でもね・・・俺・・・」

俺は今日自分がクスコに戻らなければならない事、だから雨でもマチュピチュに行かなければならないことをUさんとリサに話した。

U「え~!!じゃあ一緒にマチュピチュ行けないじゃん!!」

俺「そういう事になるね・・・」

U「え~!!!」

俺とUさんの日本語による会話にキョトンとしているリサ。

俺「えっとね、リサ・・・ごめん!俺今日マチュピチュ行かないと駄目なんだ。だから、クスコに戻ったらまた会おう!それと、俺が今泊まってる宿なんだけど安いしキレイだし、ツインだからそこいいよ!名前はこれね」

リサ「え・・・?一緒に行けないの?」

俺「うん・・ごめん・・・」

U「仕方が無いよリサ、ぷら君は今日クスコに戻らないと駄目みたいだからさ」

リサ「じゃあ、私達も今日行こうよ」

U&俺「へ?」

リサ「だってぷら、今からマチュピチュ行くんでしょ?」

俺「そりゃ・・・行くけど」

U「リサ、今日は雨だし、私達も疲れてるでしょ?ぷら君とはクスコでまた会えるよ」

リサ「疲れてない。今日行く」

俺「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

U「あ~もう駄目だ。リサ言い出したら聞かないからなぁ・・・」

俺「マジで今日行くの!?雨だよ!?」

リサ「行く!!」

U「じゃあ、とりあえず荷物降ろさせて。宿案内してよ」

俺「う・・・うん」


雨が降りしきる中、再びもう登ることのないと思っていた石畳の道を俺達は3人で歩いた。