世界中をぷらぷらしてきた

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東南アジア編

加筆修正が完了しました。自分でも読み返すと随分懐かしいなぁ~としみじみ。煙草の値段がまだ国内で300円だったり、自分の行動だったり、随分昔のことのように感じられます。またいつか東南アジア回ってみたいなぁ。きっとこの頃と違った旅ができるんだろうなぁ。
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唐突に突きつけられた麻雀牌、宿のスタッフは仕事終わりの恒例職員対抗麻雀勝負に俺の参戦を求めてきた。

自慢ではないが俺は麻雀にはちとうるさい。「二飜縛りのぷらぷら」と言えば地元の雀荘では泣く子ももっと泣く雀鬼として名が通っている。すまん、大嘘だ。だが人気漫画「雀聖 坊や哲」も全巻持っているし、「スーパーリアル麻雀PIV」もやった事がある。タイ人に囲まれての麻雀勝負。ヒリつくじゃないか。これは既に宿のスタッフVS俺の対戦ではない。タイVS日本なのだ。しかも圧倒的不利な立場の3対1。思い起こせばこの旅が始まってから今日まで俺は散々打ちのめされてきた。タイの詐欺から始まり、カンボジアのおっさん、ベトナムの強盗、ラオスではおっさんに殴られ、再び帰ってきたタイで今日また詐欺にあった。これは報復するいい機会なのではなかろうか。いや、日本男児としてこれはやらねばならぬ戦(いくさ)なのである。俺は静かに頷き、椅子に座った。

ルールの説明が行われる。レートは1000点500バーツ。ルールはナシナシだ。安宿のスタッフ控え室、勿論手積みだ。午後3時、戦いの幕は切って落とされた。

手際よく敵が牌を積んでいく。







ガシャッ







久々の麻雀で牌を積もうとした瞬間俺の杯は四方に飛び散った。








戦慄が走る。






俺は「キッ」と3人を睨みつけ散らばった牌を拾った。サイが振られ親が決められる。最初の親は俺だった。一気に場の空気がひきしまる。これが・・・賭場の空気か。俺は牌を並び替えた。配牌はなかなかだ、不要牌を整理していけばおのずと手が出来てくる。そんな流れがそこにはあった。俺はためらいもせずに不要牌を整理していった。だが、三順目で牌を捨てた瞬間。









「ロン」








下家のタイ人が叫んだ。あまりに早過ぎる和了に俺は固まった。





「七対子ドラドラ」




いきなりの満貫、俺は点棒を下家に支払った。だが違和感が残る。いくらなんでも出来すぎてないか?





まさか・・・こいつら玄人(ばいにん)?!


いや、しかしここはまだ何もサマ(イカサマ)現場を押さえたわけじゃない。一旦様子見だ。そして徐々に進んでいく麻雀大会。俺がどれだけ先に好形でテンパイしても絶対に振り込まない3人。いつしか集まってきたギャラリー(タイ人)。俺は疑いはじめた。もしかして俺の後ろにいるタイ人が俺の手牌を伝えているんではなかろうかと。


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4回戦が終わって全てビリの俺。


時間が少しかかり過ぎたが間違いない。こいつら玄人だ。


俺は「坊や哲」を思い出し、揺さぶりをかけた。


俺「ちょっと休憩しようよ」

タイ人「OK」

くっ、この余裕。あいつら間違いなく俺の身包み剥がそうとしてやがる。しばしの休憩後、再び麻雀は始まった。ギャラリーは10人程に達していた。俺がリーチ宣言をすると後ろからタイ語で笑いながら会話をするギャラリー。間違いない。通しだ。


結局、自分のツモあがり以外全くあがれずに10戦10敗。俺は財布の中身全てを吐き出した。

タイ人「ぷらぷら?もっとやるか?」

いつしかあのラオスに行く直前に看病してくれたスタッフの顔はそこにはなく、あったの玄人の顔だった。お前等の手口は分かった。俺の後ろのギャラリー気取りの奴が俺の手牌をタイ語で他3人に伝える。それで3人は俺に振り込まない。これでお前等のやり口は全て分かった!だが・・・・。




打開策が何も無いの。




しかしここで引き下がるわけにはいかない。俺は押した。

俺「ここに50ドルある。こいつをかけて倍レートで勝負だ」

タイ人「いいの?こっちは全然いいよ」

そして最終決戦が始まった。

俺の考えはこうだ。手牌を見せないようにする。リーチ宣言後は手牌を伏せる。これだけで三流サマ師のあいつらはどうこう出来ないはずだ。洗牌を終え、その作戦を実行すべく俺は息を潜め牌を積んだ。牌が配られる。俺は全身全霊をかけて後ろのタイ人に見えないように牌は並び替えた。これで準備はできた。あとは自分の麻雀をするだけで勝てる。総合的に見れば負けだが、一矢報いる事はできる。そうだ。俺はこのまま帰るわけにはいかないんだ。手牌を並び替え、上家の親が牌を捨てるのを待つ俺。だが、親は俺の想像を遥かに超えた行動に出た。






親「リーチ」







ダ・・・・ダブリーだと!?





レートが跳ね上がった瞬間容赦ない仕打ち。俺は焦った。現物だ、現物を切って耐えるんだ。だが手牌を見渡せど現物がない。ニヤニヤして俺を見るタイ人。俺はこんな所で待つわけがないと思う逆の牌。ど真ん中の五ピンを切った。






タイ人「ロン」






俺はカオサンの安宿で華麗に散った。


タイ人「お疲れ様、飛行機そろそろじゃない?」

俺「ああ・・・・・」

タイ人「またタイに来たら絶対に寄ってね」

俺「ああ・・・・・」


俺は財布の中身を全て吐き出し、宿を出た。


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空港に到着し、空を見上げた。そこには日本と変わらない月が輝いていた。


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そして6時間後、俺は成田に降り立った。

それと同時に俺は思った。このままじゃ旅は終われないと。
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3時間後、俺は川を眺めていた。


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あの後俺は「大丈夫!大丈夫」と誘うターニャを必死で断り、飲み代を机の上に置き逃げるようにバーを出た。その後彷徨うように歩いた。握ってしまった。握ってしまったよ。







ああああああああああああああああああ






俺は己を恨んだ。何故握った?女性のソレと思っていたのなら異物に気付いた時点で手を引けば良かったではないか。何故握った?何故握ったんだ俺!?目の前に雄大に流れる川を前に俺は凹んだ。今日、俺の旅は終わる。今日俺は日本へと帰る。その最後の日に何故!?

まぁ握ってしまったものは仕方ない。俺は川で手を洗いカオサンへと再び戻った。本日帰国する飛行機のフライト時間は明け方4時だ。激安の航空券だったので時間を選ぶ事はできなかった。昨晩はバスだったので熟睡はできなかった。このままフライトの時間まで起き続けるのは辛いものがあった俺はラオスに行く前宿泊した宿へと向かった。チェックインできる時間まではまだ時間があったが、スタッフに話をして荷物を置かせてもらい再び俺は外へ出た。しかし日帰りで観光できるような場所は特に思いつかない。朝食を屋台で食べた後、俺はトゥクトゥク(タイのバイクタクシーのこと)のおっさんの下へ向かった。どこか近くで観光できる場所がないか聞くために。

俺「あの?」

おっさん「やあ、どこまで行きたいんだい?」

俺「俺初めてのタイでどこに行ったいいか分からないんだけど、どっか見所ないかな?」

おっさん「ワットポーなんかどうだ?」

俺「ああ、そこだけは見ちゃったんだよ」

おっさん「・・・・・・・・。よし、じゃあエメラルド寺院はどうだ?」

俺「お、そんな場所あるの?なんか名前も凄そうだね。でもガイドブックに載ってないけど有名なの?」

おっさん「エメラルド寺院が載ってないのか?駄目なガイドブックだな」

俺「う~ん。ま、どっちにしろ行く場所ないからそこまで頼むよ。遠いの?」

おっさん「40~50バーツだな~」

俺「それって往復で?」

おっさん「ああ、見学している時間は待っててやるよ」

俺「絶対に絶対だよ?後から追加料金なんか払わないよ?」

おっさん「疑い深い奴だな。OK分かったよ」


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それでもこの旅で騙され続けた俺は信用する事ができず、おっさんに一筆書かせた。これで安心である。


おっさん「兄ちゃん?」

俺「へ?なに?」

おっさん「50バーツで乗せてやるからちょっと協力してくれよ」

俺「なんだよ協力って?」

おっさん「俺達トゥクトゥクは店と契約をしているんだ。お客を店まで運べばガソリンを入れられるチケットを貰える仕組みなんだ。今からエメラルド寺院に行く前に、兄ちゃんをその店に連れて行くから中にちょこっとだけ入ってくれないか?それだけで俺がチケット貰えるんだ。頼むよ。勿論買い物なんか何一つしなくていいからさ」

俺「えー。なんだよそれー」

おっさん「頼む!この通りだ!」

俺「俺本当に金無いから、マジで何も買えないよ?」

おっさん「大丈夫だ!すぐ出てきていい」

俺「んじゃいいよ」

俺は適当な屋台の土産屋にでも連れて行かれるものだと思っていた。


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だが俺が連れてこられた店はタイシルクの高級店だった。しかも入り口はカーテンで中が見えないようになっており、怪しい雰囲気がプンプンしている。

俺「おっさん、カーテン閉まってるよ?休みじゃないの?」

おっさん「大丈夫だ。やっているから中に入れ」

俺「いやいや、お前絶対俺を騙そうとしてるだろ?」

おっさん「そんな事はない。ここは政府公認の店なんだ。入り口を開けて少しでも怪しいと思ったら戻って来い」

俺「もし怪しかったら絶対に入らないからな」


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俺は店の入り口に向かった。途中コンビニで買ったカップラーメンの袋を持って。

恐る恐る中を覗くとそれはそれは高そうなタイシルクがズラリと並んでいる店だった。完全に場違いである。Tシャツ短パンにコンビニ袋をぶら下げて入るような店じゃない。

女性「いらっしゃいませ~」

中から綺麗な女性が出てきた。そして俺は案内されるがまま中へ入った。


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店内にはアロワナが優雅に泳いでおり、4~5人いる店員が明らかに場違いの俺を見ている。

女性「どんなシルクをお求めですか?」

俺「あの・・・俺・・・」

女性「フィアンセやお母様にプレゼントとしてどうでしょうか?」

俺「あの・・・」

女性「こちらのシルクなどお求め易いお値段となっておりますよ」

値段を見ると5万円程である。買えるわけが無い。俺の財布の中身は1500円だ。

俺「・・・・・ネー」

女性「はい?」

俺「・・・・マネー」

女性「マネー?

俺「ノーマネー!!

俺は女性スタッフに1500円しか入ってない汚い財布を見せた。因みにこの財布はベトナムで強盗に襲われた直後、露店で買った布の財布である。俺の財布の中身を見たスタッフは深くため息をつき、入り口の扉を開けた。そして俺は解放されたのであった。

俺「おいおっさん!!」

おっさん「おおお、早いな」

俺「完全に場違いじゃねぇか!しかも恥かかせやがって!」

おっさん「そう怒るなよ。ほら、この通りチケットも貰えたしエメラルド寺院へ行こうぜ」

俺「もう絶対寄り道しても俺は降りないからな」

おっさん「ああ、大丈夫だよ」

おっさんはチケットを貰ったからか、それから随分とご機嫌だった。10分ほどしてトゥクトゥクは止まった。

おっさん「ここだ」

俺「へ?ここ?」

おっさん「ああ、ここが入り口だから中に進んでくれ。そして見終わったら俺はここで待ってるから戻ってきてくれよ」

俺「うん。分かった」

俺は中へ進んだ。


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だが中には寺院は無かった。皿を洗ってるおばさんに話を聞く。

俺「あの・・・ここ・・・エメラルド寺院ですか?」

おばさん「あー?なんだって?ここは取り壊し中の小学校だよ」

俺「あのクソ野郎・・・・」

俺は走っておっさんの下へ戻った。


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だがそこにおっさんの姿は無かった。随分と郊外まで連れてこられたのでトゥクトゥクすら走っていない。俺は炎天下の中大通りを探して歩いた。そして交差点に止まっていたタクシーでカオサンへと戻った。怒りに震えながら。

宿に戻ると既にチェックインできる時間となっていた。今からバックパックをまとめて一眠りすれば夜中に目が覚めるだろう。俺は荷物をまとめ、ベッドに横になった。そして最初から最後まで騙され続けたこの旅を振り返った。悔しかったが俺にも責任はある。簡単に人を信じ過ぎた。そんな事ばかり考えていたら眠れなかった。

しかしこれ以上外に出てカモになるのはもう勘弁だ。俺は宿でビールを買い、一人酒盛りを始めた。酒でも飲めば眠れるかもしれない。すると宿のスタッフに声をかけられた。

スタッフ「やあ、ラオスはどうだった?」

俺「あああ!あの時の!本当にあの時はありがとう、ラオスは・・・まぁまぁかな」

スタッフ「そうか、元気そうで良かったよ。それで今日日本に帰るんだって?」

俺「うん、そうなんだ。またタイに来たら絶対ここの宿に来るよ」

スタッフ「ありがとう。で、飛行機は何時なんだ?」

俺「それが朝の4時なんだよね。ここから空港まで1時間はあるじゃん?2時には空港に居たいんだけど夜中の1時とかにタクシーいる?」

スタッフ「それは大丈夫さ。ここカオサンは旅人が大勢集まっている。君も1時か2時にカオサンに来たんだろ?旅人が夜中にカオサンに来るって事は載せてきたタクシーがいるってことさ」

俺「そっか。それもそうだよね」

スタッフ「それで、今暇そうだけど暇かい?」

俺「へ?俺?見ての通り何もすることがないよ。でも外に出るのはもう嫌。飛行機までダラダラしてるよ」

スタッフ「これから宿のスタッフとゲームするんだが人が足りないんだ。混ざらないか?」

俺「ゲーム?」

スタッフ「ああ」

俺「ゲームって何?」

スタッフ「出来るかな?ちょっとこっちに来てくれ」
















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スタッフ「これなんだけど」




麻雀・・・だと?

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Oが居なくなってから俺は二晩女子ドミで1人過ごした。日中は特に何もする気が起きずメコン川へ行っては景色を眺め、宿に戻ってはロビーに山積みにされた旅人達が置いていった小説などを読みあさった。ここまで毎日が瞬時に終わった感じがしていたのに、ラオスに来てから時間が過ぎるのを長く感じる自分がいる。このまま帰国の日までこんな生活を続けても全く意味が無い。俺は三度タイへ戻る事を決心した。


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あれからシャワー事情は把握したのだが、トイレだけは未だ理解できない。便座がない。どうやって大をするんだ。これまで俺は空気椅子の格好で大をふりしぼっていた。が、空気椅子である。思うように事を成す事ができず、それでも頑張って事を済ませると決まって「ひょうたん型」のアレが出た。一度和式のようにこの便座部分に座り頑張った事があったが安定感がなく、捕まる場所もないのでやはり出たのは「ひょうたん型」であった。食事中の方がいたら大変申し訳ないと思う。


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昼に宿をチェックアウトした俺はバックパックを担いで外へ出た。昨晩降った雨のせいで道路はグチャグチャだ。宿近辺の地図は頭の中に入っている。タイへ戻る方法は調べていなかったが、きっと来たときのバス会社へ行けばバスは出ているはずだ。


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トボトボと俺は歩いた。タイはもしかしたら再び訪れる機会があるかもしれない。ベトナムもいまや観光地としての地位を確立しているので訪れるかもしれない。カンボジアもアンコールワットがある。また何かの機会で来るかもしれない。だが、ここラオスに来る事はもうないんだろうと思うと少し寂しくなった。先日のモメ事があったにも関わらず俺がラオスを好きだと思うのは何故だろう。それはきっとこの1ヶ月以上の旅の間で忙しく過ぎた時間、心身共に打ちのめされていた自分を休ませてくれた土地だったからに違いない。あのバイタクのおっさん事件さえなければ・・・。もっと良かったのに・・・・。




チクショー!!




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そうこうしている間に俺はバス会社の前へと到着した。会社の前には俺が乗ってきたのと同じバスが停車しており、その前にはこれから乗り込むのであろう欧米人の姿もあった。

俺「あの、タイに行きたいんだけどここからバスって出てる?」

バス会社「ああ、ちょうど目の前に止まっているバスはタイのバンコク行きだ」

俺「おおお!乗りたいんだけどいくら?」

バス会社「残念だけど満席なんだ。その次でもいいかい?」

俺「だって3~4人しかいなかったよ?なんで満席なのさ?」

バス会社「このバスはここだけじゃないんだ。他の宿の前にも回って旅人を乗せながらタイへ向かうのさ。ラオスとタイの国境でも数名乗せるんだ。悪いがこの次のバスでいいかい?」

俺「そっか・・・じゃあ仕方ないよね。次のバスはいつなの?」

バス会社「6時間後だ。タイへのバスは一週間に1本しか運行していないから、これを逃すと来週になる。乗るかい?」

俺「乗る!乗ります!」


俺はバス会社にタイから乗ってきた金額+50バーツを支払った。ラオスではタイバーツも使えるのだ。何故50バーツ高いかと尋ねると、タイまでの移動の間に食事休憩が1回あり、そこでの食事代なのだそうだ。嘘か本当か知らないけれどこのバスに乗らないことには俺は帰れない。俺は代金を支払った。

バス会社「じゃあ、6時間後にここの前にいてくれ」

俺「うん。分かったよ」

その後俺はネットカフェやら屋台やらでどうにか時間を潰し、6時間後バス会社の前へ向かった。時刻は夕方5時、バス会社のシャッターは閉まっていた。「また騙された!」そう直感で思った俺はバス会社のシャッターを叩きまくった。すると中からおっさんが出てきた。

おっさん「なんだ!?」

俺「なんだじゃないんだけど!俺ここでバスのチケット買って、5時にここに来いって言うから来たのに店は閉まってるしバスもいないじゃないか。どうなってんだよ」

おっさん「どれ、チケットを見せてみろ。ふむ、確かに5時にここだな。もうちょっとで来るはずだ、ここで待ってなさい」

そう言うとおっさんは店の中へ戻っていった。俺は待った。そしてバスが来たのは30分後だった。中には既に大勢の欧米人が乗っている。

ドライバー「お前?乗るのか?」

俺「乗ります。これ、チケットです」

ドライバー「よし、乗りな」

中に入ると満席で椅子が一つも空いていない。俺はドライバーにその旨を伝えた。

ドライバー「国境まで20分だ。悪いが立っててくれ。国境から大きなバスに乗り換えるから、そしたら席も空くはずだ」

金を払っているのにどこかおかしいが、欧米さんの前で小心者の俺は立ったまま国境へ向かった。


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国境に到着し、タイへの入国手続きを済ませる。その後どこに向かったら良いのか分からないので欧米人についていくと大型バスがそこにはあった。まるで日本で走っているような立派なバスだ。このバスなら熟睡できる!俺の胸は高鳴った。バスは広々としており、2人分の座席を1人で使ってもOKだった。俺はバックパックを足元に置き、リラックスした。だが忘れてはいけない。タイからラオスに来たときのバスは散々だった。そしてこのバスも立派なれど同じバス会社。何があっても不思議ではない。


バスは静かに走り出した。乗り心地の良いサスペンション。フカフカのシート。適度に効いたエアコン。そして爆音の音楽。






やはり・・・。








しかし慣れというのは恐ろしいものである。その音楽も今の俺にとっては子守唄だ。俺は気持ちよく眠った。今まで板みたいなベッドに寝てきたのでこのバスの座席が非常に気持ちいい。本当に俺はスヤスヤと眠った。だがしかし、またもや恒例のマイクパフォーマンスで乗客全員が起こされた。


ドライバー「はい、起きてください!ここでご飯を食べます」

時計を見ると丁度夜中の12時だ。周りの欧米人も目をこすっている。渋々バスを降り、案内されたレストランへと入る。ドライバー曰く、ここで1時間の休憩を取るようだ。その間バスはガソリンを入れに行くようで、このレストランで1時間待つことになった。俺は困った。なにせ俺は英語がろくに話せない。周りは欧米人バックパッカーばかり。勿論会話にも入れなければ同じテーブルに座ることもできない。


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結局俺は欧米人グループを眺めながら1人飯を食い、日本から持ってきた電波圏外の携帯電話を耳にあて会話をするフリをして1時間耐え忍んだ。


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地獄のような1時間を過ごし、再びバスは走り出した。そう何度も起こされると眠るものも眠れず、だが眠らないと真っ暗になったバス車内では退屈を持て余してしまう。俺はとにかく目閉じ眠ることに専念した。食事休憩が終わってからバスの中の音楽は鳴らなかった。おかげでどうにか俺は眠ることができた。














「みなさ~ん!起きてくださ~い」












今度はなんだ・・・。やっと眠ったのに何でこう何度も起こすんだ。


ドライバー「順調過ぎて予定より4時間早く到着しました。タイですよ~」

周りを見渡すと完全にタイ。しかも見覚えのある街並みだった。カオサンだ。いつの間にかカオサンまでバスはたどりついていたのだった。しかし外は大雨だった。うむを言わさずバスから降ろされる。時計を見ると午前4時。今更宿なんか探せない。俺は困り果てた。


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仕方が無いので俺はカオサンにある飲み屋で朝まで耐えることにした。カオサンは眠らない。どこかしらに必ずやっている店がある。そして2時間もすれば朝になる、それから宿を探してチェックインすればいい。俺はカオサンを歩き出した。すると飲み屋の方から声がする。

女性「どこ行くの~?」

俺「ああ、こんな時間だから宿がなくてどこかで朝まで飲んで時間潰そうとしてたんだ」

女性「じゃ、一緒に飲まない?私も仕事終わって暇なのよ」

おいおい、なんだこの流れは。タイ人の女の子に逆ナンされてるぞ俺。しかもメチャクチャに可愛いじゃないか。

俺「あのさ、いいけど俺お金ないよ。大丈夫?」

俺は財布の中身を見せた。

女性「大丈夫よ、本当にプライベートで飲みたいだけだから」

俺「ほんと?そんじゃ行こう」

俺はその女性と適当にバーへ入った。女性の名はターニャだった。23歳でバーで仕事をしているらしく、今ちょうど仕事帰りなのだそうだ。ターニャは俺の下手くそな英語をちゃんと聞いてくれた。聞かれた事に俺が答えられないで困っていると、別の簡単な単語で説明してくれたり、メモを使って筆談で会話してくれた。俺はメチャクチャに楽しかった。


1時間程で4~5杯の酒を飲み、気分が良くなってきた俺にターニャが寄ってくる。

ターニャ「ねぇ、彼女いるの?」

俺「え?日本に?いないよ~」

ターニャの手が俺の太腿に伸びる。

俺「え・・・あ・・・・ターニャ?」

ターニャ「私の事嫌い?」

どどどどどうなってるんだ?何がどうなった?

俺「ターニャ?酔っ払ってる?」

ターニャ「酔ってないわよ。チュッ」

ターニャは俺の頬にキスをした。そしてターニャの手が太腿から俺の股間へと伸びる。

俺「ちょちょちょちょ、ターニャ!ここお店だしまずいよ」

ターニャ「大丈夫よ」

俺「え?!ちょ、マジで!?」

ターニャ「はい」

今度はターニャが俺の手をとり、ターニャの太腿へ乗せる。ミニスカートのターニャの生足に触れる俺の手。

俺「・・・・。」

既に俺の頭の中はあんな事やこんな事でフル回転していた。

ターニャ「ねぇ、私のも触って?」

俺「え?」

ターニャ「早く」

そう言ってターニャは俺の手を自分の股間へと導いた。それと同時に俺の唇にキスをしてきた。本能で俺もベロンベロンに嘗め回した。周りの欧米人の視線も気にせずに。そして酔っていたのか、俺の手はターニャの股間最深部へと伸びた。





ん?




ターニャ「うふふふ」




んんんん?



ターニャの股間には俺にもついているアレがついていた。



俺「タ・・・ターニャ?」

ターニャ「うふ、私男なの」










俺は気を失った。
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眠れん。眠れんぞ。

先程から隣の部屋で女性の喘ぎ声が聞こえる。その声は例えるならば猫の鳴き声。とにかく凄まじいのだ。こちとら対角線とは言えど異性と同室で寝ているのである。気が気ではいられない。俺は1人部屋を出、1階にあるロビーで煙草を吸っていた。本当はビールでも飲みながら気持ちを落ち着けたいところだが妄想は膨らむばかりだ。

しばしぼーっとしていると男性がやってきた。日本人だ。

俺「あれ?日本人ですよね?」

彼の名前はT、ラオスが気に入ってここで沈没している23歳だ。

T「あれ?はじめましてだよね?もしかして個室?」

俺「あ、いや今日来たんだけどドミ全部埋まってて今女子ドミにいるんだ」

T「女子ドミ?マジで?おいしいじゃん。で、女のこいるの?」

俺「一応2人きりだよ」

T「なに?もうやっちゃった感じ?」

俺「そそそそんなことできるわけないじゃん・・・フヒヒヒwそれよりさ、隣の部屋から女の人の喘ぎ声が聞こえてきて気が変になりそうでさ。ここの宿、こんなことしょっちゅうあるの?」

T「あ~、またあいつか」

俺「あいつ?」

T「メキシコ人のおっさんがいるんだよ。マリファナ大好きな。そいつがラオス人の女買ってきてやってるのさ」

俺「そゆことか・・・・」

T「俺も何回か声聞いたことあるけどあれはやばいよな~」

俺はカンボジアのトカゲを思い出した。あいつにも苦しめられたが今回はそれ以上だ。このまま部屋に戻っても眠れっこないので俺はしばらくTと話をした。Tは最近視界がおかしいらしい。左目の視力がどんどん悪くなってきているそうだ。自分でも怖いので一旦日本に帰ろうか悩んでいると話していたのが印象的だった。1時間程会話しただろうか、俺はそろそろ終わった頃だろと思い、Tと別れて部屋へ戻った。









だが喘ぎ声はまだ続いていた。








すげぇなメキシコ人。俺はシャワーを浴びる為に風呂場へ行き頭を冷やした。そして自分の敏感な部分を必要以上に石鹸で洗い、その後訪れた賢者タイムのおかげで眠りにつくことができた。



翌朝、目覚めるとOの姿は既になかった。ロビーに行ってみても誰の姿も無い。周りを見渡すとラオスの情報誌が机の上に置かれていた。俺はラオスについての情報は何も持っていなかったので、ここぞとばかりに情報を集めた。そしてこの宿の位置関係も分かった。この宿からメコン川までは目と鼻の先、このまま寝ててもただ時間を無駄にするだけと思った俺は荷物を部屋に置き、情報誌片手に宿を出た。


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ここラオスは他の東南アジアと比べて時間がのんびりと流れている。農作業をする人々の横を牛が歩いていたり、道沿いに椅子を出してうたた寝をする老人がいたりする。街並みはタイの田舎町といった雰囲気だ。


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そのまま俺は歩き、メコン川のほとりへたどり着いた。今日は1日情報収集をしよう。ここラオスのビエンチャンには何があるのか、何が出来るのか。俺は持ってきた情報誌を川のほとりで眺めた。

女性「何か飲まない?」

唐突に後ろから声をかけられた。

俺「え?」

女性「お水、コーラ、ビール、なんでもあるわよ」

俺「じゃ、水もらおうかな」

物売りの女性だった。気付くとメコン川のほとりにぽつぽつと屋台や出店が出ていた。


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衛生面に問題はありそうだが、あの腹痛を乗り越えた俺にもはや怖いものは無い。俺は屋台で朝食をとった。その後、また歩きながら宿へと戻った。

O「おはよ~、どこ行ってたん?」

俺「あ、おはよ~。メコン川まで歩いて行ってきたよ。ついでに朝食食べてきた」

O「そっか。今日って何か予定あるの?」

俺「この雑誌見てたんだけど、なんか遺跡あるみたいなんだよね。いった?」

O「行ってないな~なんかここ凄いね」

俺「でしょ?行かない?」

O「暇だしいこっか!私明日出発するし見ておこうかな」

Oはこの後別な街ルアンパバン目指して出発するらしい。少し寂しい感じがするが仕方ない。彼女には彼女の旅があるのだ。俺も俺の旅をするだけだ。

そして俺達は遺跡へ向かう為にバス乗り場へと向かった。バス乗り場には多くのバスが停車しており、各方面へ向かって絶えず出ている。だがその乗車率が尋常じゃない。300%を超えているのではなかろうか。あの中に乗り込んで1時間以上揺られるなどと考えたくもない。ここはバイクタクシーをチャーターするしかない。道端に停車しているバイタク1台1台と交渉すると安価で乗せてくれるバイタクを発見。俺達は乗り込んだ。

バイタクは砂埃を巻き上げながらラオスの田舎道を疾走する。穴の空いたマフラーの排気音でOと会話もままならない。結局そのまま1時間程走ってバイタクは遺跡へと到着した。

おっさん「着いたぞ」

俺「早いね?1時間半以上かかるんじゃなかったの?」

おっさん「着いたんだから文句ないだろ?」

俺「まぁ、確かに。で、ちゃんとここで待っててくれるんだろうね?」

おっさん「ああ、待ってるから見て来い」

だが周りを見渡すと遺跡がどこにも見えない。

俺「おい、おっさん?遺跡どこよ?」

おっさん「ここを真っ直ぐ行け。遺跡があるから」

O「ここ、入り口なのかな?」

俺「でも写真で見た遺跡って大きくなかった?どこにも見えないよ?」

O「おじさん、ここ本当に遺跡なの?」

おっさん「そう言っているだろう?」

O「とりあえず、行ってみようか」


こうして俺とOは中へと入っていった。


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そこは完全に遺跡ではなく公園だった。

O「ここ、ブッダパークって書いてあるよー」

俺「なんだよここ・・・あいつ、ぶっとばしてくる」

O「待って待って、ここ面白そうじゃん。せっかくだしちょっと見ていこうよ」

俺「そう・・・?うん。分かった」


こうして俺達はこの変な公園を散策することとなった。


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これ・・・公園じゃん。中途半端な作りの像がなんともチープだ。ふと後ろを振り返ると大きな寝仏が横たわっている。


俺「ねぇO?」

O「?」

俺「俺、あれ登ってくるから写真撮って」

O「あれ?駄目だよ怒られるよ」

俺「大丈夫だよ誰もいないしさ。いくよ」


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俺は仏像に登り始めた。


僧侶「コラァー!!!」


即どこから出てきたのか俺は僧侶に怒られた。凄い剣幕で。そして俺達はこの公園を後にしたのだが、女の子の前であそこまで怒られた事に俺はイライラきていた。もとはと言えばあのおっさんが悪い。金払ったのにこんな公園連れてきやがって。俺の怒りはおっさんへ向いた。


おっさんの下へ戻るとおっさんはのん気に昼寝をしていた。


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怒りに満ちていた俺は「起きろコラァ!」とバイクを蹴り飛ばした。おっさんが飛び起きる。

俺「お前なぁ?ここ全然遺跡じゃねぇだろ!お前頭悪いんじゃねぇのか?」

俺は日本語で怒鳴りつけた。

O「やめなよ、とりあえず今日はもう帰ろうよ」

俺「おい、お前分かってんのか?あのな、金半分しか払わないからな。間違ったお前が悪いんだ」

俺は続けて怒鳴った。勿論すべて日本語である。


次の瞬間、おっさんが俺に鉄拳を放った。


バキッ


O「キャーー


吹っ飛ばされて転がる俺。一瞬何が起こったのか理解できなかったが、即起き上がっておっさんに殴りかかる。華麗にかわすおっさん。そしてまたぶん殴られる俺。


バキッ


O「キャァーーーーーー


2発で勝負は決した。おっさんはOから金を貰い、何を言ったか分からないが俺に捨てセリフを放って走り去った。

O「ちょっと、大丈夫?」

俺「ふえええええ・・・・」

O「怪我してない?いける?」

俺「ううううう・・・・」

O「他のバイタク呼んでくるね。待ってて。はい、これ水。口の中すすいで」


そしてOが呼んできた別のバイタクで俺達は宿へ戻った。宿へ戻り俺はベッドに倒れこんだ。その後、Oが夕飯を食べに誘ってくれたが俺はベッドから起き上がろうとはしなかった。腕っ節も心も弱い俺はどちらもおっさんにKOされたのだった。

そしていつの間にか俺は眠りについていた。目が覚めた翌日、既にOの姿は無かった。ロビーで宿の台帳を見るとチェックアウトしたサインがしてある。今、この記事を書いてて心から思う。そしてここで言わせてくれ。


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すまん、Oと。